スターバックスが「シェアオフィス」に 上海に中国初のコンセプト店

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スタバの店内で会議をする――オフィスワーカーに新しい選択肢が生まれた。

スターバックス中国がシェアスペースをコンセプトとした中国大陸初の店舗を上海ラッフルズシティのオフィスビルにオープンした。同店舗はノマドワークや商談などのニーズに応えるのが狙いだ。スターバックスにとって、中国における「シェアオフィス」モデル展開の足掛かりとなる。

今回スターバックスが出店に当たり手を組んだのは不動産大手「凱徳(CapitaLand)」グループ傘下でシェアオフィスやビジネスコミュニティを手掛ける「奕橋Bridge+」だ。

新店舗の総面積は約200平方メートルで、座席は約100席。店内は有料会議室、半個室の個人用ワーキングスペース、ソファスペース、休憩エリアの4つに分けられており、各スペースとも電源コンセントやデスク上の読書灯が完備されている。

有料会議室は4人用が3室、8人用が1室。会議スペースには有孔ボードや防音材を使用しており、外部からの騒音を抑えながらプライバシーを保つことができる。会議室は独立した照明と換気システムを採用し、部屋ごとに照明や温度を調節することが可能だ。会議室は凱徳星アプリや奕橋Bridge+のミニプログラムから事前に予約し、店頭でQRコードをスキャンして利用する。

スターバックスは設立初期から「サード・プレイス」のコンセプトを取り入れており、コーヒーやドリンクを販売するだけでなく、一種のライフスタイルも広めてきた。

広々とした店内や静かで落ち着いた環境、一定の間隔を空けた座席などはこれまでスターバックスが多くの人に社交や仕事の場として選ばれてきた要因だ。今回、同社がシェアオフィスを打ち出したのも自然な流れで、SNSでは「(シェアオフィスを手掛ける企業として)スターバックスは最適だ」との声もある。

スターバックスはサード・プレイスにオフィス機能を取り入れようとしている。日本市場ではすでに取り組みを始めており、昨年4月、山手線の高輪ゲートウェイ駅に「SMART LOUNGE」をオープン、正式にシェアオフィスを打ち出した。しかし同店舗は今回オープンした上海店のようにプライバシー性が保たれる会議室がない。

スターバックスがずっと取り組んできたサード・プレイスだが、そのビジネスモデルの競争力は年々弱まってきており、中国国内では新興コーヒーチェーン「瑞幸咖啡(luckin cofee)」に代表される低価格・テイクアウト中心のビジネスモデルや、その他のティードリンクブランドとの競争に直面している。そのため同社も「フォースプレイス(オンライン体験による新たな空間)」を模索し始めており、店舗の形態や配送サービスでも新しい取り組みを行っている。

2018年にはアリババと提携して30分以内の配送を実現するデリバリーサービス「専星送(Starbucks Delivers)」を打ち出している。また2019年5月からは北京、上海両都市の代表的なショッピングエリアで「オンライン注文、店舗受取り」のビジネスモデル「啡快(Starbucks Now)」をローンチ。続いて座席の少ないテイクアウト専門店舗も出店している。

シェアオフィスをコンセプトとした新店舗はスターバックスの店舗エコシステムに新しい風を吹き込むことになるだろう。
(翻訳・山口幸子)

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