AIでがんを遠隔診断する新興、アリババ系ヘルステック会社から資金調達

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AIでがんを遠隔診断する新興、アリババ系ヘルステック会社から資金調達

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医療AIを手がける「蘭丁智能医学股份(Landing Intelligence Medical、以下「蘭丁」)」がシリーズDで3億2000万元(約57億円)を調達したことがわかった。出資を主導したのはアリババ傘下の医療・ヘルスケア企業「阿里健康(AliHealth)」で、ほかに「以太創服(Ether Capital)」も出資に参加している。

蘭丁は比較的歴史の長い医療AI企業で、孫小蓉博士によって設立された。孫博士は過去に米ニューヨークのメモリアルスローンケタリングがんセンターに勤務したほか、カナダのブリティッシュコロンビア州がん研究所の研究員、中国・武漢の華中科技大学同済医学院の教授を務めた。海外で長年に渡りがんの病理画像を研究してきた同氏は、病理学分野にAIを活用できる可能性を見出し、中国に帰国して起業した。CTOの龐宝川氏は武漢大学蘭丁人工知能細胞病理診断研究センターの副主任で、共同創業者の汪鍵氏は米ロックフェラー大学など複数の大学で関連の研究に従事してきた。

病理検査は最も信頼性の高いがんの診断方法だ。中国の市場規模は約500億元(約8900億円)で、そのうち細胞病理検査が75%を占める。また、中国では病理医が極端に不足している。米国では国民1万1000人につき1人の病理医がいるが、中国では13万6000人に1人で、米国の10分の1にも満たない。病理医の分布も不均衡で、その大部分が三級甲等医院という中国の等級で最高クラスの医療機関に在籍しており、一級医院で就業登録する病理医は全体の1%に過ぎない。そのため政府は病理医が複数の医療機関で就業することを推奨するとともに、AIを活用して病理診断の効率や精度を上げることを求めている。

蘭丁は臨床上の実際の需要に基づき、AI技術を用いたがんの早期診断を行っている。病理標本の作成とスキャニング、AIによるクラウド診断から報告書の照合、作業プロセス全体の品質管理までを行う。製品とサービスは三つに分かれている。一つ目はフルデジタル化管理、プロセス追跡、インテリジェント診断、デジタル化品質管理、遠隔診断、報告書の照合・発送を含むAI診断サービス、二つ目は血液細胞画像分析装置、デジタル病理分析装置、携帯型顕微鏡画像スキャナーなどの診断支援用機器、三つ目は染色液、固定液、保存液、検体採取用使い捨て綿棒などの消耗品だ。

病理検査のAIクラウドプラットフォームにアップロードされた標本は臨床検査の第三者機関に送られ、アノテーション(データの注釈付け)が行われる。蘭丁はすでに数千万件に上る良質なデータを積み上げている。

蘭丁が開発した細胞病理検査のAIクラウド診断技術は、子宮頸がんのスクリーニング検査のフルプロセスを網羅しており、事業化の検証も済んでいる。同社の主な収入源も、中国政府が大規模に展開する子宮頸がんスクリーニング検査プロジェクトとなっている。

蘭丁は12の子会社を有している。中国国内にAIの大型ラボ5カ所と中小規模のラボ67カ所を設立しており、これまでにのべ300万人分のAIクラウド診断を行ってきた。同社の製品は600以上の総合病院で使用されている。さらにクラウドプラットフォームを通じてAI診断サービスも提供しており、事業ネットワークは中国全土に広がっている。これまでに1000万人近い中国の女性に、質が高く低コストな子宮頸がんスクリーニング検査を提供してきた。

今後の展開について孫氏は、AIによる子宮頸がんスクリーニング検査を3億人のターゲットに行き渡らせる目標の達成を目指すとともに、甲状腺がん、乳腺がん、胃がん、大腸がんなど罹患率の高いがんの早期診断やスピード診断にも拡大していきたいと述べた。さらに、阿里健康のプラットフォームと連携し、AIによるクラウド診断事業を個人向けにも展開していきたいという。
(翻訳・愛玉)

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