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静脈注射剤の自動調剤システムを開発する「博為医療機器人(BROADCARE ROBOT)」が、シリーズA+で数千万元(数億円)を調達した。同社はこれまでにもエンジェルラウンドとシリーズAの2回、それぞれ数千万元(数億円)規模の資金を調達している。
博為医療機器人は2015年末に深圳市で設立された。創業者の靳海洋氏はハルビン工業大学で博士号を取得後、独ハンブルク大学で博士研究員として研究活動を行った。同社を設立するまで長年にわたり医療用ロボット業界の研究に従事し、最終的に自動調剤ロボットで事業を興すことに決めたという。博為の従業員は約60人で、3分の1を研究員が占める。
病院内での静脈注射剤の調剤はこれまで主に二つの方法があった。一つは外来・入院の各部門で看護師が行う方法で、もう一つは調剤センターで薬剤師が病院全体の調剤を一本化して行う方法だ。しかし、医療従事者が医薬品を取り扱うことに伴う曝露など労災のリスクも高いこと、品質管理が難しいこと、調剤の精度は医療従事者個人の経験や技術、作業時の疲労度などさまざまな要素から影響を受けるため品質が揃わないことなどが問題点として存在する。調剤業務はスマート化が進んでいないうえ、既存設備は操作方法がバラバラで相互に連携できず、中間プロセスを精密に監督・制御する方法もなく、全プロセスを自動化するのは不可能だった。とはいえ、薬物投与のプロセスを人が管理するとヒューマンエラーを避けられない上、トレーサビリティの面でも難点がある。
同社は静脈注射剤の自動調剤に照準を絞り、これまでの数年で調剤ロボット、自動仕分け・包装機器、自動配送・洗浄機システム、管理ソフトウェアと4つの製品ラインを発表してきた。中核にあるのは調剤ロボットで、アンプル瓶・バイアル瓶(薬品の密封容器)の両方に対応する総合型ロボットと、アンプル瓶・バイアル瓶のいずれかに対応するデスクトップ型ロボットの3種類を展開する。総合型ロボットは自動洗浄システムも搭載し、病院内での使用や設置の利便性も考慮して、専有スペースが競合製品の3分の1から4分の1で済むコンパクト設計になっている。
「医師の処方が静脈薬物調合センター(PIVAS)に伝えられれば、その後は全面的に我々が引き継いで管理する」。靳氏によると、処方薬のラベリングから仕分け、調剤、各科への配送などは博為の機器やソフトウェアシステムが全過程を管理・制御でき、全面的なスマート化、データ化を実現した。
同社の製品は主に静脈薬物調合センター(PIVAS)、化学療法剤の調剤室、薬局、資材倉庫などに導入され、医療従事者の労災を減らし、調剤の質を高め、調剤過程を規範化させることに役立っている。同社の製品は主に入札方式で病院に販売されている。
靳氏によると、現段階では収益化の方法は二つで、一つは機器やソフトウェアの販売、もう一つは調剤スマート化ソリューションの販売だ。前者は臨床現場の需要に完全特化した製品で、価格は数十万元から数百万元(数百万円〜数千万円)、後者の客単価も数千万元(数億円)単位だ。すでに中国全土の約60の病院に導入されているという。
中国では静脈注射剤の調剤事業は巨大な潜在市場となっている。中国の医療機関で最高等級に位置づけられる「三甲医院」では、1日に投与される静脈注射剤が6000バッグから1万バッグを超えるケースもあり、中国全体で年間100億バッグ以上が投与される。静脈注射剤の自動調剤システムの市場浸透率は今後3〜5年で約10倍、市場規模は1000億元(約1兆7700億円)以上の規模になるとみられる。同社の競合としては、ナスダック上場企業の米「Omnicell」や、「衛邦科技(WEIBOND)」、「桑谷医療機器人(SANGGU)」などが存在する。
(翻訳・愛玉)
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