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アリババ傘下の企業向けコミュニケーションツール「釘釘(DingTalk)」がこのほどAV(オーディオビジュアル)事業部を新設し、同事業部内に音声ラボラトリーを設立した。同ラボラトリーは音響学の専門家である馮津偉氏が率いる。
馮氏は以前、アリババが設立したAIや自然言語処理などの基礎・応用研究を行う「阿里巴巴達摩院(Alibaba DAMO Academy for Discovery)」で通信音声や音響学を研究。アリババ入社前は世界の音声・ビデオ会議で先行する「ポリコム」社で音響設計や信号処理のチーフエンジニアを務めていた。
AV事業部の新設は、釘釘が会議ツールに大きな期待を寄せていることを意味する。
オンライン会議は2020年のコロナ感染拡大で急速に広がり、アリババのほかテンセント、TikTokを運営するバイトダンス(字節跳動)、ファーウェイも参入している。
中小企業と個人ユーザーには無料版を提供しているため、テック大手は会議ツールプロダクトが企業に切り込む足掛かりとなる点を重視している。
大手で会議ツールの運営に携わるある人物は、会議関連の SaaSサービスは業界内の多くの大手企業と接点を持つきっかけになり、さらに多くの企業向けサービスの提供につながるとの見方を示す。
釘釘は比較的早くからAV機能を活用した会議の分野に参入していた。16年には音声通話などの機能をリリースし、17~19年に相次いでビデオ会議、グループ内ライブ配信、ビデオ会議関連のハードウエアおよびオンライン教育の授業などをリリースした。
20年にコロナ感染の急拡大に伴い、釘釘のビデオ会議、ライブ関連のツールも急成長。同社が20年3月に発表したデータによると、釘釘でのオンライン会議数は1日に2000万回以上で、利用者は延べ1億人を超えた。
釘釘がAV事業部を立ち上げたのは、会議やライブ関連のソフトやハードウエアの機能向上のほか、外部のビデオ会議設備メーカーを取り込んでエコシステムを構築するためだ。また、組織変更によって組織の競争力を強化する意味もある。
同事業部の主な目標はユーザー体験と競争力の向上で、音声ラボラトリーは音声技術とアルゴリズムのイノベーションおよび次世代ビデオ会議の模索に注力している。
このほか、釘釘は新しい会議ツールやエコシステムの開放にも積極的だ。
釘釘が今年10月に会議ツール「釘閃会」やドキュメント作成ツールなどを発表したことは、ドキュメント、音声や映像に注力する戦略の現れとみられる。うち、釘閃会はビデオ会議、スケジュール、プロジェクトなどのコラボレーション機能をドキュメントでつなぎ、迅速な会議の立ち上げや情報共有、意思決定のプロセスを連結させている。
また、釘釘の葉軍総裁は「エコシステムをできるだけ全面的に開放する」と述べ、AV関連事業の進め方にも変化が現れている。今年7月のスマート会議室「Rooms」リリース時にAV技術および認証基準を開放すると発表し、Maxhub、TCL、ファーウェイなどのハードウエアのパートナー企業がエコシステム認証に参加した。
(翻訳・二胡)
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