アップルがインドでiPhone最新機種を生産、供給支える中国への影響は

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米アップルが今年2月にインドで「iPhone 13」の量産を開始すると報じられた。「iPhone 11」「iPhone 12」に続き、インドでiPhoneの最新機種が生産される見通しだ。

アップルがインドで進めているiPhone 13の試験生産はまだ検証段階にあり、試験生産の結果が好ましくない場合、生産計画は問題が解決するまで延期されるという。

このニュースについてインドのメディアは、インドが持つ工業の実力をアップルが再認識したことと、インド製が中国製に追いつきつつあることを示していると好意的に報じた。

インドでの生産は本当に可能か

インドの製品に対して無意識に抵抗感を持つ中国人ネットユーザーは多く、インドが依然として遅れた国で、ハイテク機器の品質がお世辞にも良いとは言えないと考えている。しかし、インドが持つ工業の実力は直視しなければならない。

インドは中国の次に人口ボーナスが多い国だ。インフラ整備や教育投資が不足しているため、産業の優位性を急速に確立することは難しいが、将来的には製造業において中国の地位を脅かすのは間違いない。

2012年に「国家電子産業政策」を発表したインドは、世界の電子機器生産に占める割合を2012年の1.31%から2018年の3%へ倍以上に高めた。割合は中国(37.2%)に比べれば小さいが、急速な伸びは注目に値する。

多くの企業がインドは中国に次ぐ電子機器消費市場に成長すると考えている。人口の多さや国の成長率を見ると、この予測が現実になる可能性は高い。

安価な労働力や生産コストを求めるにせよ、インドという新興市場に参入するにせよ、携帯電話メーカーは先手を打つ必要がある。インド政府は数年前から国内で販売する携帯電話に国産の部品を3割以上使うよう求め、一部の輸入部品には高い関税を課している。

このため、シャオミ(小米科技)やOPPOなどの中国系ブランドを含む携帯電話メーカーはインドに組み立てや部品の生産ラインを設けざるを得なくなった。数多くの携帯電話メーカーが参入したことで、インドは電子機器製造業のレベルアップに成功し、携帯電話のサプライチェーンを確立した。

中国メディア「財経(Caijing)」のまとめによると、インドで携帯電話産業の関連企業は200社、貿易企業は500社を超え、50万人以上の雇用を生んでいる。インドでは中国メーカーのシェアが74%で、シャオミやOPPOなどが長らく上位にランクインしている。

だがインドの製造業が抱える問題は少なくない。具体的には、中国に劣るサプライチェーンの完成度、水道と電気の不安定な供給、インフラの未整備、技術職の人材不足などだ。

インドは現在、iPhone生産の10~20%を担っているが、2020年以降はコロナ禍の影響で生産が滞っている。ただ、インドで生産されるiPhoneのうち7割ほどが国内に供給されているため、世界の供給量に大きな影響は及んでいない。

一方、中国でのiPhone生産はコロナ禍の影響をほとんど受けず、100%近い生産能力を維持しており、世界の供給ニーズを満たしている。このためアップルは昨年、一部の生産ラインを中国に戻し、生産能力の不足を補った。

アップルは以前から中国以外の国でiPhoneを生産したいと考えていた。サプライチェーンのストレス耐性を高め、何らかの理由による全面的な生産停止を避けるのが狙いだ。

しかもインドは中国より人件費が安い。アップルは今後数年をかけて中・低価格帯機種の生産ラインを移し、インドにある工場の生産能力を増やす一方、中国には引き続き中・高価格帯機種の生産ラインを残そうとしている。

作者:雷科技(WeChat ID:leitech)、TSknight

(翻訳・神戸三四郎)

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