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2018年12月初めに36Krが報じた「馬卡龍玩図(Makaron)」(以下、馬卡龍)がApp Storeで「中国年間優秀アプリ」に選ばれた。馬卡龍は上海のAIテクノロジー企業「上海懿天網絡科技(Versa)」が開発した、画像切り抜き(トリミング)機能に優れたフォトアプリSNSだ。
36Krの取材に対して、同社の創業者兼CEOの蔡天懿氏はシリーズAで数千万ドル(数十億円)規模の資金をテンセントから調達したことを明らかにした。同社はこれまでにエンジェルラウンドで「真格基金(ZhenFund)」および「臻雲創投(POWERCLOUD)」、シリーズPre-Aで「セコイア・キャピタル(紅杉資本)」からそれぞれ出資を受けてきた。今回調達した資金によって同社はテンセントと協力しながら製品開発を加速させる方針だ。
馬卡龍はこの1年間、画像識別精度をさらに向上させてきた。特に被写体とそれ以外の物を識別する機能が向上しており、次の画像が示すように、頭の輪郭や髪の毛などの細部を認識できるようになった。さらに、被写体が持つカバンなども正確に識別できるようになっている。
輪郭識別機能に加えて、アップデート版では、背景にある関係のない人物を消去して、人物が消えた部分を補完する機能も備わった。
注目すべき点は、動画の切り抜き機能も2019年第1四半期にはリリースされる予定であることだ。うまくいけば、馬卡龍は画像および動画の「編集ツール+コミュニティプラットフォーム」に進化を遂げるはずだ。
モバイル版「Adobe+Instagram」へ
しかし、「純粋なツール、純粋なコミュニティでは限界がある」というのが投資家や業界の考えだ。前回の取材で蔡氏は「PhotoshopとInstagramをかけ合わせたようなモバイル向けアプリを作りたい」と抱負を述べていたが、今回の取材では「Photoshop」ではなく、「Adobe」と言い方が変わっていた。
実際に、AdobeのAIテクノロジー「Adobe Sensei」はユーザーエクスペリエンスを向上させており、対応する端末もパソコンやタブレットなど複数のプラットフォームに拡大している。被写体の顔の特徴を認識することで表情を自由に変えたり、背景を透視処理したりと、活用できる範囲は非常に広い。
とは言え、両社の利用者に対するスタンスは決定的に異なっている。Adobeの顧客ターゲットは主に企業やプロのデザイナーであるのに対して、馬卡龍が狙うユーザーは「創作したいが、自力ではできない人たち」だ。
また、Instagramのようなコミュニティ性については、蔡氏は「『ツール-コミュニティ』という伝統的な考え方では通用しない時代になった。ユーザーが最もほしいコンテンツを見つける必要に迫られている。そのためには、コンテンツを差別化することが必要だ。我々のやり方は、AIに基づいた多様な遊び方を提供すること。多様な遊び方を提供できれば、自ずとコンテンツも多様化していく。そしてその多様化がコミュニティを構成する基本要素となる。我々が考える『AI -ツール-コンテンツ-コミュニティ』だ」と考えを述べている。
企業向けサービスで収益化
馬卡龍は一般ユーザー向けのアプリだが、同社の収益の大部分は主に企業向けサービスによるものだ。蔡氏は、同社には優れた技術能力があり、APIや法人顧客にカスタマイズしたサービスなど、収益化に向けた体制を構築済みであることを強調している。
一部の中国国内トップ企業のコミュニティプラットフォームにはすでに同社のAPIが使用されており、さらにテンセントから紹介された企業にも積極的に働きかけている状況だ。蔡氏によれば、今年の売上高はすでに500万元(約8000万円)を超えており、2019年の目標額は4000万元(約6億5000万円)だという。
(翻訳・飯塚竜二)
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