「二次元コンテンツ」はカネになるのか、ビリビリ動画とタオバオが提携

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アリババ傘下のEC「タオバオ(淘宝)」と動画共有サイト「ビリビリ動画(Bilibili)」が、戦略的パートナーシップを締結した。プレスリリースによると、タオバオによるコンテンツマーケティング事業とビリビリのIP(知的財産)事業を組み合わせて、コンテンツ・商品・ユーザーによるエコシステムを構築していくという。

具体的には、ビリビリ公認のコンテンツクリエイターに対して、タオバオのマーケットプレイスで発信の場を提供する。ビリビリが抱える多くのオリジナルコンテンツも商品化し、タオバオのプラットフォームに載せていく。ビリビリはアニメやゲーム関連の「二次元コンテンツ」を収益化していく考えだ。

ビリビリはまだ赤字

今年初め、ビリビリがナスダックに提出した上場目論見書では、同社の収益の8割以上をゲーム関連が占めていることがわかった。しかし、現在ではこの比率を68.5%にまで下げている。同社は今年、アニメコンベンション、コンサート、観光ツアーなどの開催、映画製作、会員システムなど収益の多様化を図ってきた。

ビリビリの陳睿CEOは2016年時点ですでに有料会員制へシフトすると宣言している。多くの動画共有サイトが採用する広告モデルを見限ったわけだ。ただし、同社の2018年第3四半期の当期純損失は2億5000万元(約40億円)であり、いまだ赤字が続いている状況だ。

同じく第3四半期の決算報告によると、ビリビリの月間アクティブユーザー(MAU)は前年同期比25%増の9270万人で、1日あたりの平均滞在時間は85分。しかし、過去1年間のMAUの伸び率だけを見ると、四半期ごとに91%、57%、47%、35%と減少しており、勢いは落ちている。ビリビリにとって黒字化は喫緊の課題で、今回タオバオと提携を決めた理由もここにあるだろう。

フォロワー獲得×収益獲得

タオバオとビリビリの提携は、水面下ではかなり以前から交渉が進んでいた。ビリビリの強みは、いわゆる「Z世代(1995年以降生まれ)」への訴求力。ユーザーの熱狂度やコミュニティのつながりの強さも特徴だ。また、UGC(ユーザー生成コンテンツ)のプラットフォームとして、クリエイターからの支持も根強い。

一方のタオバオはECとして15年の歴史を持つが、同じアリババ傘下の天猫(Tmall)に押され気味であり、ユーザーの若年化でブランドイメージの一新を図りたいところだ。「二次元コンテンツ」と言われるサブカルチャー分野には2015年ごろから注目していたという。

タオバオが毎年12月12日に行っているセール「双12」では、今年、AGC(アニメ、ゲーム、コミック)関連の売り上げが前年比90%増を記録。一部の出店者は100万元(約1600万円)以上の取引額を達成した。また、タオバオは同月20日、国内最大のAGCイベント「中国国際アニメ・マンガ展(CICAF)」と共同でコンテンツ商業化プラットフォームを立ち上げると発表した。

タオバオとビリビリが互いのリソースを活用するという今回の提携関係だが、両社の協力は実は個人ユーザーのレベルではすでにはじまっていた。

ビリビリで活躍するトップクリエイターの一部がタオバオに出店し、多数のフォロワーがタオバオに流入する現象が散見されていたのだ。彼らはビリビリをフォロワー獲得の場として、タオバオを収益獲得の場として上手に使い分けている。今後は個人単位でなく、社をあげてこうした交流が進むことになる。

今年初め、ショート動画共有サイト「TikTok(抖音)」とタオバオが同様の連携を試験的に行った。フォロワー獲得のプラットフォームと収益獲得のプラットフォームによるシナジーには、大きな可能性が秘められていることがわかっている。タオバオが有する強大なサプライチェーンと、ビリビリが蓄積してきた膨大な二次元コンテンツが相互作用を発揮し、「IPビジネスの収益化」という一大ミッションを成し遂げられるかどうかに、業界の注目が集まっている。
(翻訳・愛玉)

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