WeChatが「ストーリー」などSNS機能を拡充、バイトダンスに対抗できるか

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2018年末、微信(WeChat)が大々的にアップデートされた。iOS版WeChatの7.0.0バージョンでは、新機能として投稿後24時間で削除されるショート動画「時刻視頻(タイムカプセル)」を追加。また、「看一看(トップ・ストーリーズ)」の機能も拡充された。

ポニー・マーCEOも「意味が分からない」と評した新機能

今回、WeChatが追加した新機能「時刻視頻(タイムカプセル)」は、24時間で自動的に消える最大15秒の動画を投稿する機能。1アカウントにつき1日9本まで投稿できる。インスタグラムやフェイスブックの「ストーリー」機能に相当するものだ。同機能については、ポニー・マー(馬化騰)CEOも「良さが分からない」としたが、それでもテンセントはリリースに踏み切った。

時刻視頻の動画にはスタンプ、テキスト、BGM、位置情報を追加できる。また、動画を投稿してもモーメンツ(タイムライン)には表示されず、シェアもできない(インスタグラムなどと同様、プロフィールアイコンの表示が変化することで通知される)。つまり、閲覧者が能動的にアクションを起こして初めて動画にリーチする仕組みだ。

ユーザー同士の交流で動画のニーズは高まっている。インスタグラムや「TikTok(抖音)」の人気は言うまでもないが、「テンセントもこの流れに乗るべきだ」との声は絶えず聞かれてきた。実際、2017年9月までの時点で、WeChatのモーメンツに投稿された動画は約6800万本に及ぶ。

一人より、みんなで楽しみたい

今回のWeChatのアップデートでは、公式アカウントの投稿記事に「好看(レコメンド)」ボタンが追加され、記事をダイレクトに保存できるようになった。「好看」に追加された記事は自動的に「看一看(トップ・ストーリーズ)」に同期される。「看一看」では話題の新着ニュースやコラムなどが閲覧できるが、今回の機能拡充によって、記事を誰がレコメンドしたかが逐一表示されるようになった。

この機能拡充の背景には、公式アカウントが増えすぎたために、各記事の露出機会が減ったという事情がある。記事が「好看」や「看一看」に表示されることで、ユーザーの目に触れる機会を増やす意図があるのだろう。

テンセントを猛追する新興企業バイトダンス(字節跳動)が運営するニュースアグリゲーター「今日頭条(Toutiao)」は、一人一人のユーザーの興味に合致するコンテンツを自動表示することで人気を博した。このモデルは収益につなげやすい。今日頭条に一歩後れを取ったテンセントは、変革への決意を強めていることだろう。

今日頭条との差別化を図るには、ユーザーへのレコメンドに特化した今日頭条に対して、テンセントの強みであるSNSの特性を十分に発揮する必要がある。今回のWeChatのアップデートは、インタラクティブ性の強化につながる。

引き続きWeChatで戦うテンセント

今日頭条とTikTokを運営するバイトダンスは、過去1年間で「アグリゲーション」「ショート動画」という二大トレンドを作り出した。テンセントとの競争もますます激しいものになっているが、流れは完全にバイトダンスにあると言える。一方で、評価額750億ドル(約8兆円)のユニコーン(バイトダンス)と、時価総額3兆香港ドル(約41兆5600億円)の老舗(テンセント)では、「格が違う」と評する向きもある。

テンセントは早くからSNSやデジタルコンテンツ、インターネットプラス(インターネットによる産業活性化)を核心事業に掲げ、これらを生命線と位置付けてきた。本来なら、QQ、WeChatなど既存プロダクトに続く製品を生み出し、バイトダンス躍進の芽を摘んでおきたいところだ。

しかし、これまでの試みはいずれも結実しておらず、WeChatを超えるイノベーションが生まれていないのは明白だ。最終的にはWeChatを拡充することで勝負するしかない。

今日頭条やTikTokは技術面で優れているだけではなく、ユーザーのニーズを鋭く見抜いた上で、ユーザー体験を向上させる努力を続けている。WeChatも同様に、単なる技術の革新ではなく、技術を活用した結果、「どのようにユーザーを満足させられるか」を追究していくべきだろう。
(翻訳・愛玉)

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