脳と機械を接続するBMI技術開発の「脳虎科技」が資金調達、高齢化や脳疾患で需要広がる見込み

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脳と機械を接続するBMI技術開発の「脳虎科技」が資金調達、高齢化や脳疾患で需要広がる見込み

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ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)技術開発の「脳虎科技(NeuroXess)」が、エンジェルラウンドとプレシリーズAで9700万元(約17億5000万円)を調達した。リード・インベスターは「セコイア・キャピタル・チャイナ・シードファンド(紅杉中国種子基金)」、コ・インベスターは「涌鏵投資(Yonghua Capital)」、「聯新資本(New Alliance Capital)」、「脳智創聯」。

BMIは、脳と機械をインターフェースでつないで情報の直接的なやり取りをする。非埋め込み型に比べ、埋め込み型(侵襲式)は神経信号の質と神経コントロールの精度など重要な性能において優位性があるが、埋め込みによる損傷と長期的な安定性が課題だ。海外では埋め込み型BMIの開発の模索やテストが進んでいて、その中でもイーロン・マスク氏が設立したNeuralinkが最も代表的だ。

Neuralinkは2021年4月、埋め込み型BMI技術の活用によりサルがジョイスティック(ゲーム用レバー)を使わず思考だけでポンというピンポンゲームをプレイする映像を公開した。脳コントロール研究の大きな進展だ。中国では、埋め込み型BMIはまだ初期段階にあり、フレキシブル電極、バイオ素材、埋め込み方法、神経デコーディングなどさまざまな分野で技術的課題の解決が待たれる。

脳虎科技は陶虎氏と彭雷氏が共同で設立した。陶氏は中国のBMI、AI、マイクロナノセンサー分野で権威のある専門家で、中国科学院の研究員であり、これまでに率いたチームはマイクロナノセンサー、バイオメディカル素材、BMIなどの分野で優れた論文を発表し、特許も数十件申請している。彭氏は連続起業家で、以前設立してCEOを務めたSaaS企業「客如雲(keruyun)」は19年アリババに買収され、彭氏もアリババの生活関連サービス部門で副総裁を務めた。脳虎科技の従業員は約30人だ。

BMI業界の参入ハードルは極めて高く、主に人材確保と資本力が課題になる。BMIは複数の学科にまたがる総合型の技術で、素材、コンピュータ、電子工学、認知科学、臨床医学などさまざまな学科の人材を必要とする。また、研究開発への投資も極めて大きく、基盤技術の企業は投資回収に10年以上必要とすることもある。

脳虎科技は設立当初からコア技術の開発能力を備えている点が強みだ。例えば、チップ設計、フレキシブル電極加工、手術ロボットなどのコア技術やコアデバイスが挙げられる。脳虎科技も自主開発の道を進み、マスク氏のNeuralinkとの競争に挑もうとしている。

NeuroXessとNeuralinkの比較

脳虎科技は複数の病院と共同で研究を進めており、うち2つの病院では倫理審査が終了し、今後臨床研究の情報を発表していく予定だ。

BMIは、近年世界で注目されている。深刻化する高齢化や脳疾患などの問題は、BMIの需要をもたらす。一部の適応できる疾患を対象とした医療向けの市場は数十億ドル(数千億円)規模だが、適応できる疾患が増加すれば市場規模は数十倍成長することが見込まれる。

(36Kr Japan編集部)

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