「日本で食べた生卵」再現しヒット、中国の高級卵ブランドが110億円調達

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生食用卵ブランド「黄天鵝(Yellow Swan)」を展開する「鳳集食品集団」(旧「貴州鳳集生態農業科技(Guizhou Fengji Ecological Agriculture Technology)」)が1月28日、シリーズCで6億元(約110億円)を調達したと明らかにした。卵ブランドとしては過去数年で最大の調達額を記録した。

鳳集食品集団は高品質な卵の生産と高付加価値加工を手掛けており、黄天鵝はここ数年でブランドとして急成長を遂げている。米市場調査会社のフロスト&サリバンによると、同ブランドは2021年、中国の中・高価格帯の卵市場で販売量第1位となった。また、英市場調査会社のKantar Worldpanelによると、中国では黄天鵝ブランドの生食用卵の市場浸透率が70%に達している。

中国は世界で最も卵の生産量と消費量が多い国だ。年間生産量は3100万トンを超え、市場規模は約3000億元(約5兆4000億円)に達している。しかし、中国の卵市場は市場集中度が極めて低く、ブランド化された卵の割合は5%未満となっている。「種類は多いがブランドはほとんどない」のが現状だ。一方、欧米や日本などは市場集中度が高く、卵のブランド化や卵製品の開発も進んでいる。

鳳集食品集団が発表した「中国生食用卵白書」によると、中国では中・高価格帯の卵の消費者層が拡大し続けている。2020年は8割近い消費者が1個あたり1.5元(約27円)以上の卵を1回以上購入。うち生食用卵の割合は5割近くに上った。新世代の消費者が、より安全で美味しく栄養価の高い高品質な卵を求めていることが示された。

鳳集食品集団は、卵業界で多くの経験を積んだ幹部を中心に、鶏の飼育から商品開発・生産、ブランド構築、販路戦略までを手掛ける。特に創業者の馮斌氏は鶏卵業界に20年近く従事してきた。彼は日本で初めて生卵を食べた後、「生食用卵」というブランドで消費者にアピールできるとひらめく。また日本の生食用卵規格を中国に導入しようと考え、1年近くに及ぶ日中共同研究の末、中国で初めて生食可能な卵の規格を確立したという。

黄天鵝の卵製品(鳳集食品集団提供)

黄天鵝ブランドの卵はすでに北京や上海、南京などの大都市を中心とする十数都市の市場に浸透している。また、アリババ系スーパー「盒馬(Hema)」のほか、EC大手の京東(JD.com)やアリババ系ECモール「天猫(Tmall)」、生鮮食品EC「叮咚買菜(Dingdong Maicai)」ではトップクラスの販売量を誇る。

欧米や日本などでは卵の高付加価値加工の割合が全体の3〜5割を占めるというが、中国では5%に届かない。そんな中、鳳集食品集団は2021年に黄天鵝ブランドから中国初の無添加エッグタルト「大師小点」を発売するなど、高付加価値加工事業の展開を進めている。同社の今後の成長に投資家の期待も高まっている。

(翻訳・田村広子)

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