【中国の若者が見が見た北京五輪】会場入りにPCR検査4回、圧巻の開会式。羽生君の登場ワクワク

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北京冬季オリンピックで熱戦が繰り広げられていますが、新型コロナウイルスの感染対策のため、選手や大会関係者、取材スタッフは完全隔離されており、開催都市の雰囲気はあまり伝わってきません。北京市に隣接し、スキーやスノーボードの会場となっている河北省で教師をしている王夢夢さん(27)に、盛り上がりぶりや生活への影響をつづってもらいました。

私が暮らす河北省では、北京冬季五輪のスキーやスノーボード競技が行われています。五輪の開催は素晴らしいことですが、新型コロナウイルスが流行し、家の近くでは感染者も出ています。心配で、無事に終わってほしいという気持ちが大きかったのです。

しかし開会式のオープニングで大勢の女性たちがダンスをする「広場ダンス」のパフォーマンスを見て、ワクワク感が一気に高まりました。

広場ダンスは中国人がリラックスする方法の一つで、夜になると街の至る所で見かけることができます。参加も自由で、踊っている人たちの後ろについて、真似して体を動かせばいいのです。広場ダンスの楽しそうな雰囲気がオリンピックの開会式でも伝わってきて、嬉しい気持ちになりました。

広場ダンスは中国の大衆的な文化です。

最後の聖火点火式は、どのように世界を魅了するのだろうとずっと期待していましたが、トーチがそのままオリンピックの聖火になり、「これで終わりなの?」と少しがっかりしました。

翌日ニュースを見て、その狙いが分かりました。2008年北京夏季オリンピック大会では、中国体操界のスター選手である李寧がワイヤーで宙を舞いながら聖火に点火し、世界を驚かせました。しかし、その大きな火を維持するため、1時間あたり約5000立方メートルのガスが必要で、同大会と今回の冬季五輪の総監督である張芸謀(チャン・イーモウ)氏は環境のことを考え、今大会では火の代わりに光を使うことを国際オリンピック大会(IOC)に提案したそうです。その案が却下されたため、小さい炎「微火」を聖火にすることを再び提案し、実現したとのことでした。

この小さな炎の二酸化炭素排出量は、08年夏季大会の聖火の5000分の1だそうです。中国は二酸化炭素を多く輩出している国ですが、脱炭素に取り組む決意を世界に示したと思います。

実は私の住む地域でも、冬の爆竹が禁止されました。年越しの風物詩がなくなり寂しい気持ちでいましたが、聖火の小さな炎を見て環境を守るために必要なのだと納得しました。

「選手団のコート」がトレンド入り

開会式はとても素晴らしく、中国のSNSでは「永遠に張芸謀を信用する」というハッシュタグがトレンド入りしました。私の周囲の人たちも、皆テレビで開会式を見ていました。

北京の大学院に在籍している鄭寧さん(仮名、27)は、15年に北京での五輪開催が決まったときからずっと楽しみにしていて、ボランティアにも応募したそうです。

残念ながらボランティアには選ばれず、鄭さんはテレビで開会式を見ていました。印象に残ったのは入場する各国選手団のユニフォームで、イギリス選手団はコートの下に国旗の模様があるニットを着ているのがとてもおしゃれ、ジャマイカは国旗に使われている緑と黄をユニフォームの上下にしているのが、祭典らしくて素敵だと話していました。「選手団のコート」のハッシュタグもトレンド入りしていて、大勢の人が注目していたようです。

選手入場の際に踊っているパフォーマーの男女、そしてプラカードを持っている女性の帽子、どれも五輪という世界的な大会にふさわしく、鄭さんは「プラカードを持つ女性の帽子が欲しい」と探していました。

一方、私の弟(16)はあまりオリンピックに関心がありませんでした。ただ、高校の宿題で開会式の感想を書かないといけないので、テレビで見ていました。

弟はテクノロジーを駆使した演出に感心していましたが、それよりも大会公式マスコットの「ビンドゥンドゥン」と「シュエロンロン」に興味を持っていました。パンダ好きの弟はビンドゥンドゥンのファンなのです。

「ビンドゥンドゥン」は日本のアナウンサーがとても愛していることが中国で大きく報じられました。「ビン」は「氷」、「ドゥンドゥン」は「ぽっちゃり」という意味です。

「シュエロンロン」は赤い灯篭をモチーフにしています。シュエは「雪」、ロンは「融」で、大きな家族である世界を温めるという気持ちが込められています。

開会式の観戦は小学校や高校の宿題に

オリンピックは中国にとって非常に重要な祭典で、私が勤務する小学校でも、大会にちなんだ宿題を出しています。

開会式を見ることそのものが宿題で、開会式をテレビで見ている様子を撮影し、写真を学校のグループチャットに提出しなければいけません。また、好きな競技を見て、絵を描く宿題も出ています。

私が住んでいるところは会場にも近いし、コロナ禍でなければ実際に競技を見に行ったり、街でのイベントに参加したり、もっと盛り上がったのかなと思います。

ボランティアに応募したほどオリンピックへの熱意が高い鄭さんは北京にいるのに、五輪の雰囲気を味わうどころか、昨年9月以降申請しないとキャンパスから外に出られなくなったそうです。通常は2月末に春学期が始まりますが、今年は3月下旬まで冬休みが続くとのことでした

別の友人は、在学する大学の呼びかけで開幕式のリハーサルに参加しました。それもリハーサル前後に計4回のPCR検査を受けるなど、超厳戒体制だったそうです。

私の義父(50)は、「コロナもあるし、政治的な問題もあるし、大会を成功させるのも簡単ではない。五輪を通じて世界がもっと平和になればいいなあ」と話していました。中国がホスト国になる初めてのオリンピックで、お祭り騒ぎだった08年時とは、色々なことが違います。

心配は尽きませんが、選手たちが全力を尽くし、メダルを獲得することを願っています。実は私の周囲の人たちは、日本のフィギュアスケートの羽生結弦選手以外はよく知らないのですが、大会で多くのスターが現れることを期待します。

(画像はいずれも北京冬季オリンピック大会組織委員会のウェイボ公式アカウントより)

王夢夢:河北省衡水市出身、在住の27歳。大学で日本語を専攻し、2016~17年に筑波大学に交換留学。貿易会社勤務を経て、地元に戻って現在は小学校教師。

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