誰でも秒速で音楽クリエイターに、楽曲制作アプリ「閃歌」はAIが作曲支援

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中国ではカラオケ・モバイルアプリを利用するユーザーが2017年に1億4000万人に達し、デジタル音楽の生産額は580億元(約9300億円)を超えた。しかし、業界関係者は生産額、生産能力の双方ともまだ大きな成長の余地があると考えている。

2018年5月にローンチされた音楽系アプリ「閃歌」は、誰でも簡単に楽曲を制作できるニュータイプのアプリだ。ユーザーは創作を楽しめ、運営側は低コストで大量のオリジナルコンテンツを蓄積できる。

ユーザーは好みの音楽ジャンルを選び、実際に歌ってメロディを登録。歌詞を入力すれば作品は完成だ。楽曲制作以外の機能としては、作曲のためのレクチャーや人気曲コンペ、ボイスチェンジャー、音楽SNSなどがある。しかし、創業者でCEOの董明氏によると、現在の登録ユーザーは10数万人、月間アクティブユーザーは1万4000人、1人当たりの利用時間は1日平均5~7分。大規模に展開しているとは言い難い。

閃歌はアーティストの卵を発掘するプラットフォームでもあり、登録された楽曲を完成度別にA~Dまでの4段階でランク付けしている。登録された約1万曲のうち、Aランクの作品は5%にあたる500曲ほどだ。将来性が見込めるクリエイターは10数人、ネット上で話題となる可能性がある楽曲は10数曲。現在、人気アカウントには数百から数千のフォロワーがついており、人気上位の曲は再生総数が10万回ほどだ。

楽曲制作を依頼したい企業に替わってアプリ上で作品を募集する収益モデルも検討している。その他の収益源としては、広告、スポンサード、著作権取引、コンテンツ有料ダウンロード、アーティストのプロモーションなどを想定している。

現在アップロードされている楽曲はほとんどが50秒以内の短い作品で、プロの手によるものとは確たる差がある。ただし、アプリ自体がまだ黎明期。今後は音質やサウンドエフェクト、インタラクティブ性などが充実し、使い勝手がよくなる可能性がある。

「閃歌」創業者でCEOの董明氏

また、来年にはAIによる創作機能をリリースする予定だ。ユーザーの嗜好によって歌詞や旋律を提案したり、音程やテンポなどを自動修正したりする。

しかし、AIが作曲を支援してくれるなら、最初からAIが創作すればよいのではないか。アプリの運営目的を「AI技術+コマーシャル音楽」とするのか、「AI技術+音楽コミュニティ」とするのかで、事業スキームはまったく異なるだろう。

少なくとも、海外ではすでにAIを導入した音楽プロジェクトが存在する。

ソニーコンピュータサイエンス研究所(SONY CSL)が開発したAIソフト「Flow Machines」は、ビートルズの作風にそっくりな楽曲を発表して話題になった。世界初のAI作曲家として注目された自動作曲サイト「Amper Music」は、ジャンル、ムード、テンポ、楽器、曲の長さなどを指定するとAIがオリジナル曲を作曲してくれる。

閃歌の運営企業は、従業員12人から成る「広州唱作網絡科技」。董明CEOは15年以上のキャリアを持つミュージシャンで、大手企業のCM曲など500曲以上の作品を手がけてきた。同社は昨年シードラウンドで個人投資家から150万元(約2400万円)の出資を受けた。
(翻訳・愛玉)

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