アップルに挑む英デジタル製品「Nothing」、80億円調達 創業者は中国OPPO系

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アップルに挑む英デジタル製品「Nothing」、80億円調達 創業者は中国OPPO系

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英国の消費者(BtoC)向けデジタル製品を手掛けるスタートアップ「Nothing」はこのほど、シリーズBで7000万ドル(約81億円)を調達した。調達した資金は、Nothing製品のエコシステム(生態系)拡充や人員増強、英ロンドンでのデザインハブ設立に充てる。

Nothingは2020年、中国のスマートフォンメーカー「一加(OnePlus)」の元共同創業者、裴宇(カール・ペイ)氏らがロンドンで設立。創業以来、既に累計1億4400万ドル(約170億円)の資金調達に成功している。21年8月、第1弾としてカーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)を達成した完全ワイヤレスステレオ(TWS)イヤホン「ear(1)(イヤー・ワン)」を発売。流行に敏感な消費者やインフルエンサーを通じて急速に広がり、現在までに出荷台数は40万台を超えた。一加は、中国スマホ大手「OPPO」の傘下企業。

Nothingの共同創業者兼最高経営責任者(CEO)である裴氏によると、将来的にアップルと競合できるようなエコシステムの構築を目指す。ハイエンドでトレンドに沿ったトーンを確立させていく考えだ。ear(1)の販売戦略に関しては、初期は米オンラインマーケットプレース「StockX(ストックエックス)」を通じて製品販売を進め、その後、オフラインの高級百貨店や他の家電量販店にも徐々に浸透させていく方針という。

裴氏は消費者向けテクノロジー業界の現状について、「業界全体ではやや膠着(こうちゃく)状態にあり、同質化が激しい」と説明。Nothingでは違うことをしていくとした上で、「わたしたちには、中国の(生産)工程とサプライチェーン、欧米最強の工業デザインがある。これは非常に大きな強みだ」と強調した。

長期的な戦略に関しては、先見の明を持ち、かつ最も思慮深いユーザーに良いサービスを提供することで、より多くの消費者に訴求していく考えを示した。

また、相互接続する技術の研究開発が次に取り組む重点分野の一つであると言及。ソフトウエアとハードウエアをボトムアップ型の組織で勝負しているアップルと異なり、Nothingではより多くのパートナー企業を取り込みたいとした。同社は21年10月に米クアルコム子会社のクアルコムテクノロジーズとの提携を発表している。現在の状況を問うと、裴氏は「最近、当社のためにいくつかカスタマイズを行い、グリーンチャネルを開設して、ターゲットを絞った製品調整を支援してくれた」と明らかにしつつ、提携当初からの手厚いサポートに謝意を示した。

Nothingの現在の従業員数は約300人。創業パートナーとして、スウェーデンの電子楽器メーカー「teenage engineering(ティーンネイジエンジニアリング)」の共同創業者兼CEO、ジェスパー・クースフッド氏がデザイン責任者として就任しているほか、英家電大手ダイソンの元デザイン責任者だったアダム・ベイツ氏も加入している。Nothingによると、設立を計画しているロンドンのデザインハブはベイツ氏が率いるという。同社は今年中に従業員を500人まで増やす予定だ。

高まる期待 香港大手やアニモカなど出資

今回の投資ラウンドは、スウェーデンの大手投資ファンド「EQT」系のベンチャーキャピタル(VC)「EQTベンチャーズ」と香港のVC「C資本(Cベンチャーズファンド)」が主導し、米アルファベットのVC部門である「GV」、米アップルの携帯音楽プレーヤー「iPod」の開発を手掛けたトニー・ファデル氏率いる仏投資会社「フューチャーシェイプ」、ブロックチェーンゲームを開発する香港のスタートアップ「アニモカブランズ」、中国VCの「高榕資本」が参加した。

このうちCベンチャーズは、香港の大手複合企業「新世界発展(ニューワールド・デベロップメント)」の副会長兼最高経営責任者(CEO)、鄭志剛(エイドリアン・チェン)氏が共同創業者として名を連ねる。アニモカは、ブロックチェーンゲーム開発のほか、NFT(非代替性トークン)関連企業への投資などで知られる。ブロックチェーン技術を使った次世代型ネットワーク「Web3(ウェブ3)」を手掛ける注目のユニコーンとされており、今年2月には日本にも進出している。

鄭氏は今回の出資について「消費者向けテックの巨人が持つ覇権を崩し、現状に挑戦する野心的な旅に出るというNothingのミッション(使命)を支援できることに興奮している」とコメント。また、EQTベンチャーズのパートナー、テッド・ペアソン氏は「消費者向けテクノロジー業界は、あまりにも長い間、同じプレーヤー(企業)が支配し、退屈で新鮮味のない製品ばかりになっていた」と指摘。その上で、「Nothingは新しく、明るい未来の象徴だ。革新的なデザインに、カーボンニュートラルと先進的アプローチが融合することにより、わたしたちのテクノロジーの使い方や付き合い方を再考することにもつながるだろう」と期待を寄せた。

一部外国メディアは先に、Nothingが現在、自社製スマホの研究開発を進めているとの観測を報じている。4月にも関連の計画を発表するとみられている。

(36Kr Japan編集部)

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