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近年、バーチャルヒューマンを目にする機会が増え、日中両国でも大きな盛り上がりを見せている。今回のオンラインセミナー「バーチャルヒューマンが提案する未来体験とDX」では、世界中でクラウド技術を提供するテンセントクラウド、日本社会のDX化に積極的に取り組むKDDIの2社から、バーチャルヒューマンを支える技術と活用事例について紹介されている。
中国では旅行やエンタメなどサービス型のバーチャルヒューマンが人気
中国ではネット大手に限らずスタートアップ企業が次々と市場参入しており、資金調達も非常に活発だ。公開データベースによると、2021年初頭から22年2月末までに中国国内で 「バーチャルヒューマン」関連の資金調達は42件、累計投資規模は33億8900万元(約658億円)を超える。関連報告書によれば、2030年には同市場規模が2700億元(約5兆円)に達する見込みで、今後ますます多くの企業や資本がバーチャルヒューマンの競争に参入してくると考えられる。
中国の実用シーンから見ると、バーチャルヒューマンは主にパフォーマンス型、サービス型、キャラクター型の3つに分類される。特にサービス型バーチャルヒューマンの実用化が進み、バーチャルアナウンサーや、バーチャル旅行ガイド、デジタル俳優など様々な場面で見ることができる。中国らしい事例として取り上げられたのは、大手不動産会社に入社した新人バーチャル社員が、一般の新人社員に比べて売掛金回収で成果を上げ、同年の新人賞を獲得したというニュースで、中国国内で非常に話題になったという。
自然なバーチャルヒューマンを生み出すのに必要不可欠な2つの重要技術
テンセントジャパンの付昂氏からは、メタバース空間におけるテンセントクラウドの技術活用という視点で、クラウドレンダリングの技術と、バーチャルヒューマンの技術について解説があった。
クラウドレンダリング技術については、繊細な3D世界を表現するのに必要不可欠な技術であり、テンセントクラウドではIaaSとPaaSのソリューションを提供している。バーチャルヒューマンに限らずクラウドゲームやスマートシティなど多くのDX分野で応用が可能だ。
次にバーチャルヒューマン技術に関しては、テンセントでは特に顔融合技術を提供している。これはリアルの人間の顔をバーチャルの顔に置き換える技術のことで、新しいバーチャルキャラクターを作り出すことができる。例えば欧米人の顔をアジア人の顔に置き換えたり、3Dキャラクターにしたり、男性から女性、若者からお年寄りに変えるといった、エンターテイメント性の高い応用も可能となる。
注目すべきは、バーチャルに変換した表情が本物の人間のように違和感がないだけでなく、光や影までも自然に再現できることで、この点からもテンセントの技術力の高さがうかがえる。
テンセントのクラウドレンダリング技術とバーチャルヒューマン技術を組み合わせることで、バーチャルキャラクターを活用した高品質なリアルタイムのライブ配信も可能となり、バーチャル展示会やバーチャルコンサートなど、今後の展開が楽しみな技術に仕上がっていた。
人間のタレントと同様に活動の幅を広げるバーチャルヒューマン「coh」
続いてKDDIの5G・xRサービス企画開発部、山崎あかり氏と藤倉皓平氏からは、KDDIの新しいクリエイティブチーム「au VISION STUDIO」で取り組んでいる「バーチャルヒューマンの日常化」の事例が紹介された。特に注目は、現在KDDIが自社のタレントとして展開しているオリジナルのバーチャルヒューマン「coh(コウ)」のプロジェクトだ。バーチャルヒューマンの彼女は既にinstagramのアカウントを開設、KANEBOのメイクモデルや、日本科学未来館の期間限定ガイドなど、人間のモデルと変わらない仕事ぶりで精力的に活動しており、過去の仕事の紹介もinstagram上で公開しているという。
他にもアパレル業界の課題である、大量のサンプル品の廃棄問題を解決するために、バーチャルヒューマンを活用した商品企画やサンプル製作のDX化を推進する事例を紹介。テクノロジーを活用してカーボンニュートラル社会を目指すKDDIの姿勢が感じられた。
今回取り上げたのはほんの一例で、日中両国ではすでに多種多様なバーチャルヒューマンが各業界で活躍しており、それは今後も広がっていくことが予想される。本物の人間と変わらないバーチャルヒューマンが私たちの日常生活に溶け込む社会が、数年後には訪れているかもしれない。
(36Kr Japan編集部)
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