バーチャルヒューマン「Ling」の開発元「「XMOV」、ソフトバンクVF2などから約160億円調達 メタバースのインフラ構築目指す

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メタバースのインフラ構築を手がける「魔珐信息科技(XMOV)」が6日、シリーズBおよびCで合計1億3000万ドル(約163億円)を調達した。シリーズBの出資者は清新資本(Fresh Capital)、錦沙資本(Jinsha Capital)に加え、セコイア・キャピタル・チャイナと五源資本(5Y Capital)が3シリーズ連続で今回も出資した。1億1000万ドル(約138億円)を調達したシリーズCは、ソフトバンク・ビジョン・ファンド2と有名戦略投資機関が出資を主導し、北極光創投(Northern Light Venture Capital)、Index Venturesも参加。指数資本(Index Capital)が単独で財務アドバイザーを務めた。

2018年に設立された魔珐信息科技は、CGとAI技術を中核とするテック企業だ。バーチャルコンテンツ制作のインテリジェント化、バーチャルヒューマンの制作・運営技術、バーチャルライブ関連の独自技術やバーチャルヒューマンのプラットフォームなどを手がける。

創業者でCEOの柴金祥博士によると、同社は以下の3つのプロダクトを展開する。

1つ目はバーチャルコンテンツの共同制作を行うインテリジェントクラウドプラットフォーム「XMOV」。エンドツーエンドのインテリジェント化ツールを通じてメタバース向けコンテンツの制作をより容易にし、生産力を上げ、コンテンツの量産化を加速させる。2つ目はプロフェッショナル用とコンシューマー用の2種類で展開する「Avatar」で、バーチャルライブやSNSでのインタラクション向けに高度に標準化したフルスタックのプロダクトだ。3つ目はAI技術をベースとしたバーチャルヒューマンのプラットフォーム「AI Human」。バーチャルヒューマンをワンストップで「作り、育て、動かせる」プラットフォームで、プロフェッショナル用とコンシューマー用に分かれる。生成したデジタルヒューマンはバーチャルカスタマーサービスやバーチャル販売員、バーチャル教師、バーチャル人事担当者、ライブコマースのホスト、バーチャル研修などさまざまなシナリオに活用可能だ。

魔珐信息科技はAIを用いた独自かつフルスタックのアニメーション表現技術、インテリジェント化したモデリング(外観・形状作成)およびスキニング(骨格の動きと本体の変形の関連付け)技術、インテリジェント化したバーチャルコンテンツの共同制作技術、バーチャルライブ技術、バーチャルヒューマン技術を積み上げてきた。仮想世界のインフラ構築や、高品質・高効率でインテリジェント化されたコンテンツ制作で多くの壁を突破している。

現在は川上産業の多くのプロダクションや、ゲーム会社、エンターテイメント関連会社、テレビ・映画制作会社、インターネットプラットフォーム企業、消費財メーカー、テック企業などを含めた川下産業の顧客と提携し、産業の各パートに携わる企業とエコシステム構築を進めている。

魔珐信息科技は現在、ゲーム・エンターテイメント・消費財・Eコマース・金融・テクノロジー・教育・医療・文化観光などの業種の200社以上を顧客に持つ。

すでに共同制作プラットフォームでオリジナルのバーチャルヒューマン「翎(Ling)」を生み出したほか、アリババ、テンセント、中国中央電視台(CCTV)、ロレアル、菓子ブランドの「趣多多(チップスアホイ)」、乳製品ブランドの「伊利(Yili)」「蒙牛(Mengniu)」、AI製品メーカー「iFLYTEK(科大訊飛)」など有名企業のイメージキャラクターやバーチャルコンテンツの制作を担当している。

バーチャルライブ関係でも多くのバーチャルキャラクターを生み出しており、テンセントの「霊狐」、アリババの「章魚娘」、ビリビリ動画(bilibili)の「薩拉托加」、シャオミ(Xiaomi)の「小愛同学」などが挙げられる。バーチャルヒューマンはバイトダンス(字節跳動)、OPPO、新華社、チャイナモバイル(中国移動)、中国建設銀行、中国光大銀行、華夏銀行、太平保険(Taiping Insurance)などで採用されている。

柴CEOによると、魔珐信息科技はフルスタックの技術力を使って3Dバーチャルコンテンツの量産やインタラクションを可能にし、制作をインテリジェント化して、プラットフォーム化したソリューションとして提供している。将来的にはよりサービスやプロダクトを拡充して「バーチャル+α」の応用シナリオを開拓していく。

柴CEOは米カーネギーメロン大学ロボティクス研究所で博士号を取得し、魔珐信息科技を創業する以前は米テキサスA&M大学の終身教授としてCG、3Dバーチャルヒューマン、AI分野で20年以上研究に携わってきた。魔珐信息科技のコアメンバーはコンピューターサイエンス研究機関のマイクロソフトリサーチやテキサスA&M大学、清華大学、上海交通大学、浙江大学などの出身だ。
(翻訳・山下にか)

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