コロナで需要増、メンタルヘルスサービス「KnowYourself」が数十億円調達

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コロナで需要増 メンタルヘルスサービス「KnowYourself」が数十億円調達

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メンタルヘルス関連のサービス「KnowYourself」を手がける「知我探索教育科技」がこのほどシリーズBで数千万ドル(数十億円)を調達したことがわかった。今回調達した資金はプロダクトの技術開発やマーケティング、プロモーションに充てられる。

心理コンサルティングやメンタルヘルスケアなどの業界は急速に成長してきており、メンタルヘルスサービス専門のプラットフォーム「壹心理(Yixinli)」やオンラインで心理カウンセリングを行う「簡単心理」などの業界トップ企業はすでにシリーズBやCで資金を調達済みだ。KnowYourselfもこれまでに「真格基金(Zhen Fund)」「海納亜洲創投基金(SIG Asia Investment)」「斯道資本(Eight Roads)」などから複数回の出資を受けている。

KnowYourselfは2016年に設立。テンセント(騰訊)のSNSアプリ「WeChat(微信)」の公式アカウントを使って市場に参入した。現在では累計1500万人のユーザーを持つ。創業者の銭庄氏は北京大学社会学部を卒業。米コロンビア大学社会福祉大学院を修了したのち帰国して起業している。

KnowYourselfの事業は今やWeChatの公式アカウントだけにとどまらない。同社の事業は逆ピラミッドのような形で構成されている。最大のアクセス量を持つ公式アカウントからそれぞれのニーズに合わせて各プロダクトへユーザーを誘導しているのだ。同社のプロダクトにはメンタルヘルスケアアプリ「月食」、オンライン・オフラインで展開される全国規模のグループセラピー「自我探索茶会」、メディテーション(瞑想)プロダクト「呼吸瞑想ミニプログラム」、実店舗「城市修行心理瞑想館」、そして昨年から始まった企業向けの事業などがある。

以前のインタビューで銭氏はよく「心理学というものを重く捉えすぎないでほしい」と話していた。彼女はユーザーとのやり取りの中で、欧米に比べて中国人は内向的であり、精神的な疾患をひた隠しにするような人もいるため、事業を重苦しく展開するのは適さないと気付いたという。

そこで銭氏は同社の一連の事業の構築において、多くの事業を「プレ診断サービス」と位置づけた。KnowYourselfの事業を通してユーザーが快適で不安のない生活を送れることを目指す同氏は「我々はメンタルヘルス事業を分割して研究開発の難度を下げた」と話す。

例えば、同社の自我探索茶話会は西洋の心理学界で用いられるグループセラピーが原型だという。銭氏はこれを中国に導入した後、ユーザーが気軽に利用できるように改良し、現在のプロダクトを形成した。

KnowYourself茶話会

KnowYourselfの自我探索茶話会はベテランユーザーとメンタルヘルス関連事業の従事者から進行役を募り、現在では二カ月ごとに進行役が400~500人増えている。これらの進行役によって中国の30以上の都市で年間数千回ものイベントが企画されており、同イベントの人気ぶりを示している。

また、KnowYourselfにはCBT(認知行動療法)に基づいて開発したプロダクトもある。このプロダクトでは毎日15分間のバーチャルコーチとの対話とコミュニティアシスタントとのやり取りなど、専門的な技術によってユーザーに知的能力の向上を実感させる。その効果について行った大規模なユーザー調査の結果、効果は統計学的に有意だとわかったという。

同社傘下の多くの事業を展開するプラットフォーム型アプリ「月食」は、ほとんどマーケティングを行わない中でもユーザーが50万人を超えており、利用時間は1人当たり平均20分だという。銭氏は同社がほぼ損益分岐点に達していることを明らかにした。

3年前ならメンタルヘルス分野でのスタートアップは小規模なプロジェクトに過ぎなかっただろう。しかし新型コロナウイルスの流行や、中国で続く都市化などの要因からこの業界は大きな成長のチャンスを迎えている。銭氏は新型コロナウイルス流行によるステイホーム生活やストレスの増加に伴い、メンタルヘルス関連プロダクトのニーズが日増しに増えていることを実感しているという。

「この市場には将来的に大きな成長の余地があると信じている」と銭氏は話した。

(翻訳・山口幸子)

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