美図がソーシャルゲームに進出、赤字体質を脱却できるか

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先日、美顔自撮りアプリの「美図科技(Meitu Technology)」が、ゲーム開発会社「楽遊科技(LEYOU)」の完全子会社「Dreamscape Horizon Limited(DH)」の株式約30%を取得する計画だと発表した。今月20日、美図は新株を1株2.71香港ドル(約38円)で9億9140万株発行し、エクイティスワップでDHの株式31%を取得することを明らかにした。26億9000万香港ドル(約380億円)相当になる。

DH傘下の「Digital Extremes Ltd.(DE Canada)」と「Digital Extremes US,Inc.」はPCやPS4、Xbox One、Nintendo Switchなどに向けたゲームを開発している。DE Canadaがリリースしたゲーム「Warframe」は大ヒットし、2018年にはゲームプラットフォームSteamで上位100位ランクインした。

ゲーム事業は、美図の再生戦略の一環だ。

美図は、上場してからまだ黒字化していない。昨年11月、同社は2018年12月期の純損失が▲9億5000万~12億元(約156億4400万~197億6000万円)になるとし、前年の▲1億9700万元(約32億4400万円)に比べて赤字が大幅に拡大するとの見通しを発表した。

劣勢を挽回すべく、同社が打ち出したのは「ソーシャル」戦略だ。2018年8月に、今後10年間は「美」を追求すると共に、「ソーシャル」分野に進出すると発表。この戦略に欠かせないのがゲームだった。

発表によれば、楽遊科技は美図のユーザーに向けて、大規模な多人数同時参加型オンラインゲームなどを複数開発していくという。

美図傘下の「美図秀秀(Meitu)」などの写真加工アプリはツールとしての側面が強い。競争が激しい美顔アプリ業界で、同社の月間アクティブユーザーは2017年12月の4億1580万人から2018年6月の3億4990万人へと15.9%も減少した。

一方、ゲーム事業ではユーザーが定着してくれることが期待できる。有名アナリストのメアリー・ミーカー氏による「インターネット・トレンド2017」によれば、ユーザーが1日にデジタルプラットフォームで費やす時間は、ビデオゲームが51分、モバイルゲームが35分で上位を占めた。また、美図は女性ユーザーが圧倒的に多く、海外の月間アクティブユーザー1億1000万人のうち、男性ユーザーは約3000万にとどまることから、ゲーム事業を通して男性市場の開拓を進めていく考えだ。

ただし、規制強化によって業界が冷え込んだり、ユーザー離れを回避するために絶えずヒット作が求められたりと、ゲーム業界は一筋縄ではいかない。

美図はソーシャル分野へ進出する以外に、すでに赤字に陥っていたスマートフォン事業では、ライセンスをシャオミ(小米科技)に供与している。

スマホ事業を手放してソーシャル分野へかじを切った美図だが、ゲーム会社の株式を取得したことでユーザーの開拓や業績改善に弾みがつくだろうか。
(翻訳・畠中裕子)

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