軽量燃料電池開発の中国「Hydrogen Craft 」、ドローンやポータブル電源で実用化

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水素燃料電池スタックを開発する「氫航科技(英語名:Hydrogen Craft )」がこのほど、シリーズAで数千万元(数億円)を調達した。「微光創投(Welight Capital)」がリード・インベスター、「興華鼎力」がコ・インベスター、「黒曜資本」がアドバイザーを務めた。

氫航科技は2017年11月設立で、軽量の水素燃料電池スタックの開発、生産、実用化を手掛ける。実用化の方向性として、航空機搭載用電源、水素エンジンを利用した航空機やポータブル電源、水素の貯蔵、水素発電、水素エンジンのバイク、水素エネルギーを利用した船舶、車両などがある。同社は航空機用エンジンから始めて後にポータブル電源、小型車両などに広げ、周辺産業への依存度を抑えている。

国家エネルギー局と国家発展改革委員会は今年3月23日、合同で「水素エネルギー産業の中・長期発展計画(2021~2035年)」を発表し、水素エネルギーは将来の国の重要なエネルギーだと明確に位置付けた。また、「中国の水素エネルギーおよび燃料電池産業白書(2019年版)」では、水素の需要量を2050年までに現在の2000万トン余りから約6000万トンへ引き上げ、水素エネルギー産業の生産額を10兆元(約190兆円)以上にするとしている。さらに、「中国水素エネルギー産業発展報告2020」によると、2050年の水素の末端販売価格は1キログラムあたり20元(約40円)に下がり、水素ステーションは1万2000カ所、水素燃料電池を使用する自動車の台数は3000万台に達する見込みだ。

水素エネルギーはグリーンエネルギーであり、開発や利用が急速に進んでいる。中国では小型電池スタックの潜在顧客であるドローン企業が7万社、ロボット企業が10万社以上存在し、年間400億元(約7600億円)の需要がある。中国が電動二輪車の巨大市場であることを考慮すると、今後の需要増も相当規模になる。

川下の産業チェーンが現段階では整っていないため、氫航科技は慎重に成長戦略を策定した。同社は、小型ドローンの産業チェーンを利用して水素エンジンを使用したドローン製品を設計、開発。空冷式燃料電池の起動時間、高・低温環境の適応性などの難題を解決し、水素エンジンのドローンで空冷式燃料電池を安定して使用できるようにした。同社の水素エンジンドローンの完成度は業界トップクラスだ。同社の水素エンジンのマルチコプターは電力、エネルギー、海事などの分野で利用されている。大型航空機では、氫航科技は水素エンジンのプロバイダーとして、中国の大手航空機メーカーや「中国航空工業集団(AVIC)」傘下のヘリコプター設計研究所などと提携する。

氫航科技は、水素の利用先の開拓にも注力している。同社のポータブル電源製品はこのほど、零下40度での保管、零下25度での起動、55度での使用など過酷な高・低温環境での適応性テストに合格、空冷式燃料電池では達成が難しい指標をクリアした。ポータブル電源では国有企業と非常用電源の技術で協力し、サンプル機の開発テストを終えている。日本から輸入した同規格の燃料発電機よりも60%以上軽量化し、低騒音で二酸化炭素は排出しない。

水素を動力源とする車両では、水素二輪車、小型物流車などの電池交換モデルでの実用化に注力する。氫航科技は気体を供給する企業と戦略的提携を結び、大規模で低コストの水素調達体制も構築する予定だ。氫航科技は燃料電池スタックの年産能力が1000台で、31件の特許を取得している。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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