売り上げ好調でも損失拡大の「愛奇芸」、春はいつ来る?

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売り上げ好調でも損失拡大の「愛奇芸」、春はいつ来る?

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予想以上の売り上げ増だが損失は拡大

動画共有サイト「愛奇芸(iQIYI)」の2018年第4四半期決算報告によると、当期の総売上高は70億元(約1170億円)で、ブルームバーグのコンセンサス(業績予想)を5.4%上回った。しかし、米国会計基準(GAAP)による営業損失は33億3千万元(約556億円)に拡大し、純損失も34億7千万元(約580億円)に膨らんだ。ブルームバーグの業績予想では営業損失34億2千万元(約570億円)、純損失35億5千元(約590億円)であった。今年第1四半期における同社の業績予想は総売上高68億~71億元(約1135億~1185億円)とされており、ブルームバーグの予想66億元(約1100億円)よりも高い。

広告規制と景気後退が広告事業の成長を妨げる

昨年第4四半期の愛奇芸のオンライン広告収入は、前期比8%減の22億元(約367億円)で、会計基準変更の影響を除くと前年同期比9%増となった。 同社CEOの龔宇氏は「経済環境の悪化で広告事業の成長については慎重にみているが、今年も一部の広告についてはシェアを維持できるだろう。ただし、景気停滞は広告主の予算に依然として影響している」と述べている。

広告業界への監督規制の強化を受け、同社は規制違反の広告を整理しており、これも広告収入に影響している。昨年第3四半期の愛奇芸のオンライン広告収入は、前年同期比および前期比で減少した。 愛奇芸はその主因を、規定違反の広告の整理だとしている。

現在も愛奇芸にはまだ多くのグレーゾーンの広告が残っており、修正は継続中と見られる。同社がこれらの広告を規制の範囲内に修正し続けた場合、広告収入は2019年も引き続き減少する恐れがある。

愛奇芸の「グレーゾーン」広告

コンテンツ事業の見通しは改善するも、損失は拡大

昨年第4四半期、愛奇芸のコンテンツ制作・調達費は前年同期比97%増の65億元(約1085億円)に上った。この急増は、同社のコンテンツ重視の姿勢を反映したものだが、同時に多大な損失の最大の要因となった。

しかし、俳優の出演料が規制され、かつて1億5千万元(約25億円)以上ともいわれたトップ俳優でも出演料の上限は5000万元(約8億円)となった。同社もこの規制により自社制作ドラマの制作費が抑えられるとしている。また、2018年に多くの主力コンテンツを調達し終えたため、2019年の購入数は昨年より減少する見込みだという。このため、コンテンツ制作・調達費は比較的コントロールされていきそうだ。

愛奇芸のコスト構成

このように改善の兆しはみられるものの、当期の売上総利益率の悪化は、コンテンツのコスト高が主な要因だ。

愛奇芸の売上総利益率

売上総利益の減少により損失はさらに拡大し、2018年第4四半期の営業損失は33億元(約550億円)と前年同期比288%増、前期比28%増となった。

愛奇芸の営業損失

会員数の増加は予想を上回る

昨年第4四半期、愛奇芸の有料会員は前年同期比72%増、前期比8%増の8740万人となった。良質な連続ドラマと「双十一(独身の日)」関連の販促が会員急増の主な要因だ。有料サービスに対するユーザーの理解が広まりつつあることと会員向け優待の拡大により、有料会員は今後も成長を維持し続けるとみられる。

『東方のディズニー』へ、夢実現は未だ遠い

愛奇芸はエンターテインメント全分野への事業拡大を目指している。同社の四季報によると、総収入に占める「その他の収入(有料会員、広告、コンテンツ販売以外)」の割合は昨年第4四半期には16%に達した。

しかし、「東方のディズニーになる」という夢にはまだ遠い。モバイルインターネット専門市場調査会社「QuestMobile」のデータによると、同社で月間アクティブユーザー(MAU)1億人を超えているアプリは愛奇芸のメインアプリのみだ。MAU100万人以上のアプリもメインアプリ以外には、電子書籍「愛奇芸閲読」、ショート動画「納逗」と幼児向けアプリ「愛奇芸奇巴布」の3つしかない。

愛奇芸閲読は昨夏の大ヒットドラマ「延禧攻略(瓔珞<エイラク>~紫禁城に燃ゆる逆襲の王妃~)」の恩恵を受けユーザーを増やしたが、一方で「納逗」のアクティブユーザーは減少を続けており、2018年末のMAUは年初比で47%減少した。

愛奇芸はコンテンツ供給のために投資を続けていく必要があるのに加え、エンターテイメント産業の各分野に相乗効果をもたらす方法も早急に考えていく必要がある。

愛奇芸グループの各アプリのアクティブユーザー
愛奇芸グループの主要アプリMAU

(翻訳・神江乃緒)

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