Facebookを追い落としたTikTok 中国生まれは何が違うのか

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バイトダンス(字節跳動)が運営するショート動画投稿アプリ「TikTok」の世界でのダウンロード数が、2021年8月、初めてFacebookを上回り世界一となった。今年2月にMetaが公表した2021年第4四半期の業績によると、Facebookのデイリーアクティブユーザー数(DAU)は初めて減少し、CEOのザッカーバーグ氏はTikTokが非常に手強いライバルであることを認めた。

Facebookが失ったユーザーはTikTokに奪われてしまったのか。Facebookにとって中国のライバルはTikTokだけなのだろうか。

この数年、中国のインターネット企業は、音声と動画を使ったリアルタイムでインタラクティブな娯楽モデルを次々に開発し、着実に東南アジアや中東、日本、韓国、さらにはFacebookのお膝元、欧米にも広げていった。

Facebookの中国のライバル

ショート動画SNSを世界中に広げたTikTokのほか、ライブ配信「Bigo Live」、音声メインのボイスチャット「Yalla」、東南アジア・中東向けSNS「MICO」、マッチング率のより高い1対1ビデオチャット「LivU」、マッチングアプリ「Soul」の海外版「Litmatch」など、新しいプロダクトが様々な国の若者が交流するプラットフォームとなっているが、これらはいずれも中国発だ。

Bigo Live

モバイルデータを分析する「data.ai」によると、2021年のSNSアプリ売上ランキングでは、Bigo Liveが1位を獲得した。

ライブ配信SNSでは中国企業が圧倒的な強さを見せ、海外ユーザーの時間を奪ってしまった。data.aiのレポートによると、世界のユーザーがライブ配信に費やす時間は4年間で10倍に増えた。

音声メインのSNSでも中国企業が実力を見せつけた。data.aiによると、世界でのダウンロード数TOP5のうち4つは中国のアプリだ。

全体としては、先進国ではTikTokとFacebookの真っ向勝負、発展途上国ではさらに多くの中国企業が密かに市場を奪っている状況にある。

抑えきれない勢力の広がり

こうしたライバルは、どのようにして成長してきたのか。

インターネット産業の発祥地として、米国の技術力は世界をけん引してきた。しかし産業の発展に伴い、特に中国国内での競争を経て、中国企業の技術力はアメリカと肩を並べるほどになっている。

「泥藕資本(NEEO Fund)」の創業者である杜欣氏は、中国企業は技術とイノベーションの能力でアメリカを逆転しているとし「国内市場の圧力が高まり動きが激しくなると、さらに強いイノベーション能力を持たない限り生き残ることはできない。海外進出はこうした力があふれ出たもので、だからこそ独自の方法を海外でも応用できる」と語る。

具体的には、動画や音声の「リアルタイムクロック(RTC)」技術でも中国企業が優勢な状況だ。技術以外では、運営効率の良さも中国企業が他に先んじる足掛かりとなった。

ローカライズに関する考え方も中国企業とアメリカ企業では根本的に異なり、全く違う姿勢で臨んでいる。

欧米企業は自身のカルチャーに非常に自信を持っており、インターネットを含め、欧米文化の産物を世界に持ち込んで、ユーザーが適応するように仕向ける。一方中国企業は、各地の異なるニーズをスタート地点として、その場所で必要とされる製品を作る。ある製品を世界中で売るとしても、通常はそれぞれの市場に合わせ、ローカライズした製品を展開する。

また、中国企業の実用化能力が高いことも指摘される。

ゲームはその典型的な例だ。海外のゲーム開発者は、まずゲームコンテンツを考え、それから商売のロジックを徐々に整えていく。しかしほとんどの中国の企業は全く反対で、まず売るためのロジックを完璧に作り上げ、コスト回収に力を注ぐ。このため中国のゲームは金儲けの能力が特に優れている。

SNSも同じで、ライブ配信などは金を集めるための中国の典型的方法であり、音声チャットの実用化も実に様々だ。

中国企業は金を稼ぐのが上手い。海外に進出している中国企業の実用化能力は、世界でも類を見ないものだ。これは世界で生き残っていくために極めて重要なことだが、近視眼的で利益に目を奪われることのないようにするべきだという指摘もある。

いずれにせよ全体としては、中国企業は「一招鮮、喫遍天(ひとつの技能に長けていれば、どこでも生計を立てることができる)」 というグローバル化のモデルを打ち破った。なんということもない企業が、それぞれの場所で細やかに活動し、世界の主要マーケットに拡大していく。

中国で次のTikTokは誕生するだろうか。杜氏はその可能性は大きいと考えており「長期的に見れば、中国でインターネット分野の人材が増えることは間違いなく、世界のユーザーに最高の製品を提供するだろう」と語った。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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