テンセント(騰訊)の初スマートスピーカープロジェクトが中止 組織構造再編に関係か

36Kr Japan | 中国No.1スタートアップメディア日本版

中国最大のタートアップメディア、36Krの日本版です。先端企業の技術開発、業務提携、ファイナンス状況など中国の「今」を現地から届けるとともに、日本人向けの解説などのオリジナル記事を発信します。36Kr日本版を見れば、中国が分かります。

ビジネス注目記事

テンセント(騰訊)の初スマートスピーカープロジェクトが中止 組織構造再編に関係か

続きを読む

現在、テンセント(騰訊)は3回目の組織改造の最中である。開始からすでに半年近くが経過している。各部門及び事業グループの業務統合は今も続いているが、統合がもたらした影響は製品の運命を直撃している。関係者からの情報によると、2018年4月に発表されたスマートスピーカー「聴聴」のプロジェクトはすでに休止に追い込まれている。この製品は当時の「移動互聯網事業群(モバイルインターネット事業グループ 略称MIG)」傘下の「智慧創新業務事業部(スマートイノベーション事業部)」が開発したものだ。

「聴聴」発表より8か月遅れてスマートディスプレイ「Dingdong」が発売された。後者はスマートスピーカー分野において、「聴聴」に次いで開発されたハードウェア製品で、「雲与智慧産業事業群(クラウド&スマート産業事業グループ 略称CSIG)」傘下の「智慧平台産品部(スマートプラットフォーム製品部)」が開発したものだ。興味深いのはCSIGはテンセントが組織構造再編を宣言した後に新設された事業グループである点だ。同グループの設立から2か月足らずで「Dingdong」が発売されたが、これはCSIGの最初の一撃と言えるだろう。

クラウド業務とIoTはテンセントにおいて今後核となる業務であり、「Dingdong」の「聴聴」に対する優位性は明らかだ。

初の自社開発スマートスピーカーとして、「聴聴」はテンセントがAIとスマートホーム分野の開発を模索する中で、大きな期待が寄せられていた初の一般ユーザー向けの製品だと言える。にもかかわらず、最終的にこのプロジェクトが休止に至った理由は2つの部門の微妙な関係にあり、そしてテンセントの全体的な構造再編に関係している。

同一事業グループに所属したが、思惑が違う

聴聴とDingdongの関係はEchoとAlexa、Google HomeとGoogle Assistant、HomePodとSiriの関係に似ているように見えるが、実はそうではない。元々両者は同じくMIGに所属していたが、聴聴はDingdongの音声技術を全く使っていない。

組織構造再編以降、聴聴はスマートイノベーション事業部から互動娯楽事業群(インタラクティブエンターテイメント事業グループ 略称IEG)へ編入された。そしてDingdongは、新たに設立されたCSIGに、スマートプラットフォーム製品部ごと編入された。

相関性の高い2つの製品ラインが2つの事業グループに分かれ、さらにDingdongが誕生したことは、多くの人を困惑させた。しかし、これは理解できないことではないと考える社内関係者は多い。

これまでテンセントの事業グループ制度は各部門/製品グループがそれぞれ主体的にプロジェクトを立ち上げて、迅速にそのプロジェクトを進行させていた。各グループリーダーは自分の製品チームを持ち、グループ間で激しい競争を繰り広げる。言わば競争文化だ。このような組織のメリットは短時間で大事なプロジェクトに資源と人材を集中できることだ。

しかし、テンセントの組織構造再編以降、問題が顕在化した。テンセント内部の関係者によると、部門間の類似業務が合併されても、部門リーダーが配下のスタッフを手放さないため、人員の流動性はゼロである。また、各部門のリーダーも他部門の人材を奪ってはならないのだという。

これも組織構造再編に伴い生じた問題とみてよいだろう。そして似たような問題はこれからも徐々に浮き彫りになってくると思われる。

各事業グループの使命

IEGに編入されたスマートイノベーション事業部は、スマート製品をゲーム等成熟した文化エンターテインメント業務に適応させていくことに重心を置く方向だ。

昨年12月のテンセントユーザーデー(騰訊用戸開放日)に、スマートイノベーション事業部は自社開発したVRヘルメットと二次元バーチャルアナウンサー開発のための動作追跡をするウェアラブルデバイスを初めて展示した。リーダーの呉丹氏が当初インタビューで語っていたように、「聴聴」のほか、ウェアラブルデバイスも開発中であり、より多くの使用シーンを模索しているのだ。

では、スマートイノベーション事業部は、IEGでいったいどのような役割を演じているのだろうか。

社内関係者によると、この部門は予備研究を行っているとのことだ。つまり、インキュベーターであり、利益を稼ぐ業務部門ではない。上述で触れたハードウェアデバイスも直接販売するものではない。ゲームに適応させるほか、マイクロソフトのようにメーカーに技術を提供する可能性もある。

スマートスピーカー事業とゲーム事業の協業限界、さらにインキュベーターとしての業務的位置づけなどの事情が聴聴プロジェクトの中止につながったのだ。

Dingdongが属するスマートプラットフォーム製品部リーダーの李学朝氏が紹介したように、Dingdong AIアシスタントは、スマートテレビ、スマートスピーカー、スマートロボットなどの製品に応用されている。将来、DingdongはIoT分野において、より多くのパートナーと提携するだろう。

スマートハードウェアはテンセントの主力事業ではなく、SNS、文化エンターテインメント業務のように注目されるものでもないが、IoT時代のソフトウェア・ハードウェアの一体化、コンテンツの提供、AI技術などにとって、欠かすことのできない重要な部分である。

情報企業Canalysが発表した「2018年第3四半期における中国スマートスピーカー市場報告」によると、当該四半期における中国国内のスマートスピーカー出荷量は580万台に達し、前期比1.0%増加した。そのうちアリババ系の天猫精霊(TMALL GENIE)の出荷数は220万台、シャオミの小愛(シャオアイスマートスピーカー)の出荷数は190万台、バイドゥ(百度)の出荷数は100万台となっているという。

Dingdongは発売されてからまだ間もなく、販売台数はこの3社にはるかに及ばない。今後各社に追随できるかどうかはまだ未知数である。
(翻訳・桃紅柳緑)

関連キーワード

メールアドレスを登録して中国最新情報入手