TikTok国際化における隠れたリスクとは

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TikTok国際化における隠れたリスクとは

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TikTokを運営する「バイトダンス(字節跳動)」にとって、IPOと売り上げ1000億元(約1兆6000万円)の目標を掲げる2019年は間違いなくプレッシャーの大きな一年になるだろう。

IPOも1000億の売り上げ目標も、達成するためには国際化が最も重要な鍵だ。

国際化に関しては、TikTokはWeChatの先を行っている。Tiktokの海外でのダウンロード数は10億を超え、今年1月のダウンロード数上位3市場はインド、アメリカ、インドネシアだ。バイトダンスは、3年以内に海外ユーザーの数が国内を上回ることを期待している。

2018年4月、バイトダンス創立者・張一鳴氏は、「第1回数字中国建設峰会(Digital China Summit)」で、

TikTokの海外事業を紹介した

しかし、国際化には多くの問題がつきまとう。特にヨーロッパやアメリカには、ソーシャルメディアアプリが陥りやすい落とし穴があり、TikTokにとっても障壁となるかもしれない。

米国政府は、バイトダンスが買収したソーシャルネットワーク動画アプリ「Musical.ly」(既にTikTokと統合)が児童らの個人情報を違法に収集したとして連邦取引委員会(FTC)に提訴していたが、2月27日に和解が成立した。TikTok側が支払った和解金は570万ドル(約6億3千万円)に上った。

他社の失敗から学ぶこと

報道によれば、北米TikTokの責任者は「今回の和解により提訴のために制限されてきた事業をより大規模に実行できる」としている。 Tiktokはこれまで、パーソナライズド広告を停止していた。

米国だけを見ても、中国とは青少年のプライバシー保護条例に大きな違いがある。米国の未成年者保護に関する法律は詳細に規定されているが、中国の未成年者保護法は子供のプライバシーについて具体的な規定をしていない。

Tiktokは今後、米国の児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)に従わなければならず、アカウント開設者が13歳以上であることを確認しなければならないという難題をクリアする必要がある。同社は先月末、青少年ユーザーのためのプライバシー保護措置を追加した。対応する年齢に適したTikTok環境を提供するもので、青少年向けの環境下では個人データの共有は許可されない。

また、Tik Tokがヨーロッパで市場拡大を目指すのであれば、欧州連合(EU)の一般データ保護規則(GDPR)を回避することはできない。歴史上最も厳しいと言われるこの規制により、グーグルとフェイスブックも提訴されている。

フランスの規制当局である情報処理及び自由に関する国家委員会(CNIL)は今年1月、グーグルに5000万ユーロ(約62億円)という巨額の制裁金を科すると発表した。グーグルがユーザーの同意を得ずにパーソナライズド広告のデータを収集したというのがその事由だ。

フェイスブックは昨年、5000万件のユーザーデータ漏洩という問題を起こしたが、同社はGDPRに基づき漏洩発覚から72時間以内に各方面に通知した。それを怠れば、GDPRにより16億3千万ドル(約1800億円)もの制裁金が科される可能性があったからだ。

TikTokがヨーロッパで事業を展開しようとすれば、こうしたリスクにも注意が必要だ。

様々な権利侵害リスク

エンターテインメントコンテンツアプリという性質上、Tiktokはコンテンツについて基本的なチェックを行う義務がある。アプリ内のコンテンツが権利を侵害していると通知を受け取った場合、「セーフハーバー条項」の適用を受けるためにそのコンテンツを速やかに削除しなければならない。この条項は多くの欧米諸国で設定されており、デジタルコンテンツのサービスプロバイダーは、権利侵害の通知を受けた後、速やかに該当するコンテンツを削除すれば違法行為とはみなされないというものだ。

また逆にユーザーのコンテンツが他に転載されたりした場合の権利保護など、TikTokは知的財産権について様々なリスクを抱える。

国により異なる風土

著作権侵害の問題に加え、海外進出の際には各国の社会的風土も考慮しなければならない。異なる文化の下では、ユーザーのコンテンツに対する受容度も変わってくる。

昨年7月、インドネシア情報通信省は不適切なコンテンツの問題で、TikTokを一時ブロックした。また今年2月、インド政府関係者が「若者の堕落を招く」としてTiktokをブロックすべきだと発言している。ツイッター上では「anititiktok(アンチTiktok)」というハッシュタグがあり、フォロワーの大部分はTiktokが宗教的価値観に反すると考えるインドネシアとマレーシアのユーザーだ。

ダウンロード数からすれば、Tiktokの海外進出は順調に見える。東南アジア諸国には競合相手が少なく、エンターテインメントの需要を取り込んでいる。 Tiktokのダウンロード数の25%はインドからのものだ。今年1月には新規ユーザーの43%がインドで、昨年同期の9.5%から急成長した。

だが、海外事業で収益を上げるにはまだ時間がかかりそうだ。バイトダンスがインドのテレビやオンライン広告に注ぎ込んだ資金は既に数千万ドルに上るが、インドでの広告収入は非常に限られている。米国市場の競争は激烈で、同社は昨年、グーグルだけで3億ドル(約330億円)以上の広告費を投じたが、米国でのダウンロード後30日のユーザー維持率はわずか10%でインドの30%に比べかなり低い。

ITメディア「The Information」の報道によれば、TikTokの海外進出によりバイトダンスは2018年に12億ドル(約1320億円)を失ったという。急速な発展の後、どのように各国の規制とビジネスのバランスをとっていくのか、その挑戦はまだ続く。
(翻訳・神江乃緒)

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