新興EV「威馬汽車」、シリーズCでバイドゥから490億円調達 スマートカーのR&Dセンターを共同設立へ

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中国のEVメーカー「威馬汽車(WM Motor)」がシリーズCで30億元(約490億円)を調達したことがわかった。リードインベスターは中国のIT超大手バイドゥ(百度)で、他に「太行産業基金(TAIHANG INDUSTRIAL FUND)」や「線性資本(Linear Venture)」などが出資した。資金はユーザー体験(UX)の向上や技術開発に投じる。

同社の累計調達額はおよそ230億元(約3800億円)で、今回の調達後に評価額がさらに上昇する見通し。なお、バイドゥはシリーズBでも同社への出資を主導している。

威馬汽車は、バイドゥの自動運転オープンプラットフォーム「Apollo」にパートナー企業としても名を連ねる。両社は今年1月、米ラスベガスで開催されたデジタル技術の総合見本市「2019 CES(コンシューマー・エレクトリック・ショー)」で、長期的戦略パートナーシップを締結したと発表。今年はさらに、スマートカーに特化したR&Dセンターを共同設立し、レベル3~4の自動運転ソリューション開発に挑む。

威馬汽車はさらに、スマートコックピットの開発に際して、ドライバーや同乗者を含むHMI(ヒューマンマシンインターフェース)の全面的アップグレードに着手する。また、無線ネットワーク通信(OTA)を3カ月に1回の頻度で最新状態に更新していく。

EVによる新興自動車メーカーの台頭の下、威馬汽車を含むトップ企業はすでに納車段階にまで漕ぎつけている。新興メーカー各社にとって、よりよいユーザー体験の構築は特に重要だ。威馬汽車も、今回調達した資金をこれらに投入していく。なお、同社は今年1月にSUV「EX5」2005台を納車しており、中国国内新興メーカーとしては最大の納車台数を達成した。

同社は既に、顧客を中心に据えた新たな販売チャネルを構築済みで、体験センター(Space)、ユーザーストア(Store)、メンテナンスステーション(Station)、サービススポット(Spot)で構成される「新4Sモデル」を立ち上げ、累計50社と提携関係を結んだと発表している。これらは北京、上海、広州など主要都市50近くをすでに網羅しており、さらに21都市でEX5の納車体制を整えている。パートナー企業は年内に100社まで達する計画だ。

また、傘下のスマートモビリティブランド「GETnGO(即客行)」が、新エネルギー車関連のモビリティサービスを全国で展開することも発表した。現在、GETnGOのアプリには全国180都市の充電スタンド8万カ所が登録されている。

昨年後半から各業界で投資が冷え込んでいるなか、新興自動車メーカーにとってはとくに厳しい局面が続いている。「蔚来汽車(NIO)」創業者の李斌氏はかつて、「200億元(約3300億円)はEV開発にかかる最低金額だ」と漏らし、「小鵬汽車(Xpeng Motors)」創業者の何小鵬氏は「200億元という額では、資金としてはまったく足りない」と語った。

威馬汽車創業者の沈暉氏も過去に「自動車メーカーを興すには少なくとも300~400億元(約4900億~6600億円)が必要だ」と述べている。このほど調達した資金は、苦境にあっても成長を続ける起爆剤になるだろう。
(翻訳・愛玉)

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