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先日、「奇瑞汽車(Chery Automobile)」のAIカー「EXEED(星途)TX」が発表された。これは、中国インターネット検索最大手バイドゥ(百度)のApollo小度(Xiaodu)車載OSを搭載した初の量産車だ。このOSは量産車向けのIoTソリューションだ。その目玉機能は以下の通り。
1.車載顔認識システム
自動的にドライバーの顔を識別し、座席、音楽の曲目リスト、車内灯などを調整する。また、顔認証決済システムも搭載され、ユーザーの顔を識別すれば、運転中に映画チケットの購入、食事のデリバリー注文などもできる。
2.AR(拡張現実)ナビゲーション
画像認識と空間認識技術に基づいて、ARナビゲーションで前方の交差点で直進するか曲がるかを指示したり、正確に車線を特定し車線変更を誘導したりする。
3.IoT家電との接続
ユーザーは運転中に家電製品を遠隔操作することも、逆に家の中から、車のドアロック、窓の開閉をすることもできる。
これまで発表されていたバイドゥの車載システムは、各メーカーの車載組込みシステム(ECU)の一つとして提供されてきた。例えば、北京現代(Beijing Hyundai)のラフェスタ(LA FESTA)やツーソン(Tucson)などは、既存のシステムのフレームにバイドゥのシステムを組み込んだものだった。
2018年バイドゥ世界大会(Baidu World Technology Conference)では、起亜(KIA)の新型「スポーテージ」をベースしたアップグレード版「小度OSスマートコックピット」が展示された。今後、バイドゥは自動車メーカーの要求に従ってシステムを開発するのではなく、トータルOSソリューションの提供者になっていくだろう。
この大会では、このシステムに関心を持ったフォード、長城汽車(GW)、現代(ヒュンダイ)、起亜などのメーカーが、初めての顧客となった。バイドゥは「今回のデビューは、小度(シャオドゥ)OS量産時代の出発点に過ぎない。これから2ヶ月間に、このOSを搭載した量産新車種が続々と発表される予定だ」とした。
しかし、バイドゥには強力なライバルがいる。アリババと上海汽車グループがたちあげたIT企業「斑馬(Banma)」はすでに、アリババのIoT向けOS「AliOS」に基づき、4年間開発を続けており、フランスのシトロエン、上海汽車グループのブランド「栄威(Roewe)」などとの提携も行っている。また、バイドゥより10日前にテンセントが発表したスマーカ―システム「Al in Car」は、初搭載車の「東風風行T5」がすでに販売を開始。小度車載OSを搭載したEXEED TXは、2017年のフランクフルトモーターショーで初公開されたが、正式発売は今年の予定だ。
バイドゥApolloの進展からすると、小度車載OSの強みは自動運転プラットフォーム戦略の延長にありそうだ。テンセントやアリババと比べて、小度車載OSシステムの利点は百度地図(バイドゥマップ)、百度雲(バイドゥクラウド)や音声AIアシスタントDuerOSを使えることだ。テンセントやアリババの得意な生活サービスやソーシャルの分野で正面対決を避けるように、バイドゥの車載システムは独自の道を進んで行くしかない。
(翻訳:小林香奈子)
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