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「メタバース元年」と呼ばれた2021年、業界はメタバース構築の話題で持ちきりだった。2022年に入り、メタバースがコンセプトから実現段階へと移行する中で、既存のテクノロジー企業の多くがメタバース構築の土台となりつつある。2015年に設立された3D地図プロバイダー「AIRLOOK(埃洛克航空科技)」もその一つだ。
AIRLOOKはこの2年ほどに誕生したメタバース関連のスタートアップとは異なり、創業時は高精度3D地図に関連した事業をメインに展開、スマートシティ建設やスマート技術を応用した文化観光を始めとする幅広い分野をカバーする。
AIRLOOK創業者の王硯沢CEOは、3D地図のオーダーメード事業が依然として同社の重要な方向性だとしつつ、メタバースブームの到来で多くのゲーム会社やソーシャルプラットフォーム、映像制作会社などが、仮想空間やインタラクティブな体験を効率よく作り上げるために3Dマップやデジタルツイン技術の活用を望むようになっていると語る。これはまさにAIRLOOKの得意分野だ。
例えば中国の動画配信大手「愛奇芸(iQIYI)」のオリジナルドラマ「風起洛陽~神都に翔ける蒼き炎~」では、AIRLOOKが全シーンを3Dマップとして復元し、高精度のデジタル資産に作り上げた。作中では多くのシーンがバーチャルプロダクション(リアルの人物とCGの背景をリアルタイムで合成して撮影する手法)で制作されており、ドラマの制作コストを大幅に削減できた。制作側はデジタル化したシーンを撮影後にユーザーに開放して二次創作やインタラクティブ体験に活用してもらうこともでき、地図そのものの可能性を広げることにつながっている。
企業が使うコンテンツ開発ツールは業種によって異なり、ソフトウエアに必要な地図フォーマットもそれぞれ違うため、従来の方式で地図開発を進めるなら大量の資金やリソースを継続的につぎ込む必要が出てくる。このため王CEOらはツールやプラットフォームをアップグレードするという手法をとり、クラウドレンダリング版の地図オープンプラットフォームを独自に開発し発表した。これは汎用性・拡張性の高いフルスタックの開発プラットフォームで、開発サイクルの長さや運用環境構築の複雑さ、高精度レンダリングのコスト高といった3D地図の問題を解決するものだ。このプラットフォームはそれまでのオーダーメード開発を大きく変えるもので、マップ構築、画像レンダリング、配信を統合して3Dマップを汎用化・量産化したいという市場のニーズにいち早く応えられるようになっている。
メタバースが描く世界観はいずれ実現するが、そこに至る過程で、デジタルツインや3D地図プをベースにした「仮想の空間」を通じてメタバースに対する人々の理解を深め、コンテンツ制作者の作業を効率化できるというのが王CEOの考えだ。
AIRLOOKでは6年以上をかけて地図作成プロセスを磨いてきた結果、中規模都市の3D地図ならスタッフ4人が1週間でスキャンを完了できるようになっており、その後データを統合することで業界を超えた地図の活用を実現している。
中国自然資源部が発表した「実景3D中国建設の全面的推進に関する通知」の中では、2025年までに地級市以上の都市で解像度5cmの3D都市モデルを構築することが明確に打ち出されている。AIRLOOKは3D地図の活用範囲を今後も広げていき、各業界で3D地図の革新的な応用を進めていく考えだ。これらの3Dリアルマップはスマートシティなど従来のビジネスに加え、映画やライブ配信、ゲーム、オンラインコンサート、デジタル展覧会などでも幅広い活用が見込まれており、ユーザーがメタバースの魅力をより身近に感じられるようになるはずだ。
(翻訳・畠中裕子)
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