ファーウェイのスマートカー事業 自動車メーカーとの提携拡大で目指すものは

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ファーウェイのスマートカー事業 自動車メーカーとの提携拡大で目指すものは

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通信機器大手ファーウェイ(華為技術)が「華為智選(ファーウェイスマートセレクション)」で販売を支援するスマートカー事業の布陣を広げているようだ。「奇瑞汽車(Chery Automobile)」「江淮汽車(JAC)」のほか中国自動車大手「北京汽車集団(BAIC Group)」傘下の電気自動車(EV)ブランド「アークフォックス(極狐)」などとスマートカー事業で提携することが決まっている。

そのうち奇瑞汽車とは少なくとも2車種、江淮汽車とは1車種での提携が決まっており、アークフォックスとはファーウェイが開発した自動車向けソリューション「HI(ファーウェイ・インサイド)」で提携するほか、スマートカー1車種でも提携が決まっているという。

上記に関してファーウェイに問い合わせたが、現時点で回答は得られていない。

ファーウェイの自動車事業は自動車メーカーとの提携範囲によって3つに分けることができる。まずは部品販売。独自開発の「Harmony(鴻蒙)OS」やドメインコントローラーなどがこれにあたる。次に「HI」などモジュール化されたソリューションの提供だ。これはアークフォックスや「広州汽車集団(GAC Motor)」との提携や、ファーウェイが「長安汽車(Changan Automobile)」、車載電池大手「寧徳時代(CATL)」と立ち上げたEVブランド「阿維塔(AVATR)」が代表例だ。そしてファーウェイと自動車メーカーの結びつきが最も強いのが華為智選のスマートカー事業だ。現時点ではすでに小康工業集団(Sokon Group)傘下のEVメーカー「金康賽力斯汽車」との提携で「セレス・ファーウェイSF5」を発売している。また同社と立ち上げた新EVブランド「AITO」から中型SUV(スポーツ用多目的車)「問界M5」を発売しているほか、このほど第2弾モデルとなる大型SUV「問界M7」も発売した。

自動車部品やHIソリューションでの提携方式であれば、ファーウェイは明らかにサプライヤーという立場だが、華為智選のスマートカー事業では、ファーウェイは自動車メーカーと提携する結びつきの強いパートナーという立場となる。

華為智選では車種の位置づけ、コア部品の選択、販売やサービスの体制に至るまで、ファーウェイが大きく関与しており、スマートカーは最終的にファーウェイの実店舗で販売される。これに対して自動車メーカーは、完成車プラットフォームの開発と製造の方に照準を合わせている。

同社のスマートカー事業を主導するのは余承東(リチャード・ユー)氏だ。昨年、ファーウェイの自動車関連事業部と消費者向け事業グループは再編を行い、余氏が両部門の最高経営責任者(CEO)を兼任することとなった。華為智選のスマートカーはファーウェイの自動車事業が将来的に力を入れていきたい提携モデルなのだろうというのが業界の見方だ。

現時点でファーウェイは華為智選事業で金康賽力斯との提携を公表しているが、ファーウェイの自動車事業はそこで歩みを止めることはないだろう。

金康賽力斯の親会社である小康工業集団は商用車の要素が強く、ファーウェイのスマートカー事業にとって足がかりとなる。奇瑞や江淮などは乗用車の分野での実績がより豊富で、ファーウェイにとってスマートカー事業の新しい段階となるだろう。

もちろん、提携範囲を広げていくことは金康賽力斯との提携を中断することを意味するものではない。消息筋は36Krに対し「ファーウェイと金康賽力斯はさらに多くの車種で提携を進めているところだ」と明かした。

公式に発表されたデータから見ると、ファーウェイのスマートカー事業は順調に成長しているようだ。金康賽力斯と共同で発売した問界M5は今年3月に納車が始まったが、5月単月の納車台数は5006台、累計納車台数も1万1296台にのぼる。EV大手の「NIO(蔚来汽車)」「理想汽車(Li Auto)」なども月間販売台数は1万台を超えたところにすぎない。問界M5の販売実績はファーウェイのスマートカー事業の拡大を後押しするものとなるかもしれない。

しかし自動車業界では一般的に1車種の開発に千人余りが関わるため、同時に複数の車種に関する提携を締結したことはファーウェイの自動車チームにとって効率が課題となるだろう。

情報筋によると、ファーウェイの消費者向け事業グループはすでに多くのリソースがスマートカー事業を支援しているという。例えば工業デザインチームは自動車の設計に参加しており、問界M7は同チームのデザインによるものだという。しかしそれだけでは足りないことは明らかで、ファーウェイの自動車チームは更なる拡大が必要となるだろう。

ファーウェイがスマートカーソリューション事業部門を正式に設立したのは2019年9月、その位置づけは「部品の供給」であり、自動車を作るのではという外部の憶測に対しては何度も「車の製造はしない、自動車メーカーの支援だ」という立場を表明してきた。

しかし部品やHIソリューションの提供からスマートカーへと少しずつ歩みを進めている状況を見ると、ファーウェイは従来の単なるサプライヤーという役割を徐々に脱しているようだ。情報筋によると、スマートカー事業の中で、ファーウェイは製品の位置づけ、鍵となる部品の開発、販売チャネルに関わるだけでなく、充電、電池交換などの関連サービス体系も徐々に構築しているという。これにより自動車メーカーとファーウェイはライバル同士になるのではないかという疑念が業界では生まれている。

とはいえ現状では、スマートカー事業で提携している自動車メーカーはファーウェイの力を必要としている段階だ。両社の価値を組み合わせる時期であり、ファーウェイにとっても準備期間となるだろう。

「ファーウェイ自動車事業」の最終モデルは2、3年後に明らかになるのかもしれない。
(翻訳・山口幸子)

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