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「不景気になるとメイク用品が売れる」という、いわゆる“リップスティック効果”が注目されている。化粧品業界は成長スピードも速く、成長の余地も大きい。化粧品は再購入率も高く、ポテンシャルの高い商材と言える。また、近年の中国では国産コスメブランドの成長も著しい。
36Krは今回、化粧品ブランドのインキュベーター「美兮(MEIXI)」を取材した。
美兮の創業者、楊菊氏は2008年から化粧品小売業に携わってきた。当初はスキンケア用品のサプライヤー業務を主としていたが、国内の主要な大口顧客を抱えるようになった2010年ごろから、海外ブランドの販売代理業務をスタート。韓国、日本、スイスなどの十数ブランドを取り扱うようになる。その後、オリジナルブランドを立ち上げ、2016年には自社ブランド部門をスピンアウトさせた。そして、コスメブランドのイメージキャラクター(芸能人やインフルエンサー)をマネジメントするようになる。
販売代理事業を行う中で、楊氏はタオバオ(淘宝)などのECに出店する中小業者の悩みに直面する。彼らの多くは新ブランドのPR方法や、顧客を呼び込むノウハウを知らない。これを受けて、楊氏は2015年にコスメ系ECのコンサルに特化した子会社を設立。ブランド側とのコミュニケーションやイベントの開催方法、商品紹介ページの最適化、商品のUSP(独自のウリ)の見出し方、セルフメディアやKOL(インフルエンサー)との提携方法などを指導している。
美兮は、サプライヤー、販売代理、自社ブランド運営、ブランドインキュベーションという4つのプロセスを経て進化してきた。現在は3つの子会社を抱え、それぞれブランド及びビジュアル戦略、生産と供給、流通やブランドマネジメントを担当。新規ブランドの企画やコンセプトワークからパッケージング、生産から流通に至るまでなどを手がけている。
代理店からインキュベーターへ転身した理由について、楊氏は以下の3点を挙げた。1)多くのブランドがヒット商品を出した後、生産体制を急拡大すると品質管理が追い付かなくなる。2)美兮が過去に手がけたコスメ系オンラインショップは同質化が激しく、各店舗の個性が失われていく傾向があった。3)海外ブランドの初期ユーザーは中国人ではなく、美的感覚の面で中国人との間にズレがある。
他の多くのEC系インキュベーターとは異なり、美兮はむしろオリジナル性を重視した「ブランドマネジメント会社」であろうとする。また、長年にわたって積み上げてきたサプライチェーンの運営力を生かして、原料の仕入れ段階までをも請け負う。さらに、流通経路の選択、プレゼンテーションの方法、新商品発表のタイミング、既存の流通経路やセルフメディアリソースの活用法までを考慮しながら新ブランドを開花させていく。
美兮は現在、傘下に4つのブランドを抱える。うち2つは自社ブランド、残り2つはインフルエンサーとのコラボブランドだ。新商品の仕掛けもスピーディーで、発売8週間で10万セットを売り上げた「MISS JUZI 暖男帖(漢方薬剤やアロマオイルを配合したカイロ)」や、発売12週間で5万本を売り上げた「FE天鵞絨唇釉(リップグロス)」などのヒット商品がある。
楊氏は、メイクアップ商品にとって重要なのは独自のデザイン性だと考える。また、最も難しいのが成分配合やカラーバリエーションの設定だという。東洋人の黄味がかった肌色は、多くの海外ブランド製品と相性が悪い。使用感に関するニーズも多様化しているため、単なる有名ブランドの模倣品ではなく、ローカル事情に合致する製品の開発が求められると感じている。
楊氏はこれまで化粧品輸入業に10年携わり、化粧品の団体購入サービス「聚美優品(JUMEI.COM)」や、ディスカウント化粧品に特化したEC「楽蜂網(lefeng.com)」に人気商品を供給してきた。COOの楊元勝氏はEC運営で長年のキャリアを持ち、自身で手がけたキャリーバッグのブランドは、大手EC「天猫(Tmall)」で3年連続売り上げ1位を記録した。その他、美兮には人気芸能人を担当してきた撮影チームや、受賞歴豊富なアートディレクターなどが所属する。
(翻訳・愛玉)
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