中国発ドローン大手「XAG」、アグリテック路線強化 農場無人化を試行

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ソフトバンク・ビジョン・ファンドも出資している、農業用ドローンを開発する中国「XAG(極飛科技)」がCSR(企業の社会的責任)に関する2021年のレポートを発表した。レポートによるとXAGは21年、農業用無人化機器を8万台以上運営し、累計9億9000万ムー(約66万平方キロメートル)の耕地で稼働させ、7万5000人あまりにドローン研修証明書を授与した。

農業の生産性を上げるためにドローンや無人走行車両を用いて農薬散布作業を行い、21年だけでも農作物の損失を1043万トン減らし、水を3060万トン、燃料を3億6000万リットル節約し、二酸化炭素排出量を96万トン減らしたという。これらは2084万人の1年分の食糧、42万人の1年分の水使用量、車両60万台の1年分の二酸化炭素排出量、樹木5327万本の1年分の炭素固定量に相当する。一連のデータを見れば、テクノロジーは伝統的な農業にコストダウンや生産性向上をもたらすことができるとわかる。

「XAG2021年CSRレポート」の内容

具体的にはドローンがどのように農業従事者を助けるのか?広東省広州市ではある農業技術管理センターの指導の下、ドローンを使った春季の作付け作業が行われた。XAGのドローンのスマート播種システムが田んぼに直接種まきをし、育苗や移植などのプロセスを省いたことでパフォーマンスがより精密になり均質化しただけでなく、作業効率が人による作業の30倍に達した。江蘇省鎮江市では昨春の作付け期に小麦農家がXAGのドローンを使って250ムー(約0.17平方キロメートル)以上の畑で農薬散布作業を行い、本来は人手で5〜6日かかる作業をわずか10時間で終わらせた。

XAGはアグリテック企業を目指している最中で、無人農場プロジェクトに着手しているという。ドローンを通じて遠隔で農地の地図を取得し、その地図を用いてドローンや無人走行車両の経路を設計し、正確に散布作業を行う。スマートマップを活用し、決まった時間、決まった場所で播種、施肥、散布作業が行えるのだ。21年4月には天山山脈南麓でXAGのスタッフ2人が3000ムー(約2平方キロメートル)の綿花畑を管理する「超級農場」プロジェクトを試行した。伝統的な綿花畑と比べ、人的コストを60%、用水量を90万トン、化学肥料の使用量を31%、農薬の使用量を36%減らせたという。

XAGの共同創業者の龔檟欽氏は、同社をアグリテック企業に成長させる第一歩として超級農場を打ち出すとしている。超級農場は水田、果樹園、スマート農業の実験田、保護林、XLoftの5つで構成され、水田では前出の綿花畑同様に全プロセスの「無人化」を目指す。

XAGの従業員数は21年時点で1419人で、本部のR&Dチームがその60%を占める。昨年3月にシリーズC++で高瓴創投(GL Ventures)から3億元(約60億円)以上を調達し、上場準備に入った。しかし今年5月、上海証券取引所は同社の科創版(スターマーケット)への上場審査を中止したと発表。主要顧客や製品販売、農業用ドローンによる売上高などに関する情報を補足する必要があるとしている。

(翻訳・山下にか)

ソフトバンクG出資のドローン「XAG」、上海科創板に上場へ。農業用でDJIと競合

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