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グーグルのナレッジ・インフォメーション部門を率いる上級副社長Prabhakar Raghavan(プラバカール・ラガヴァン)氏は、ある会議で「我々の調査では、若者の約40%がランチに行く場所を探すとき、グーグルマップやグーグル検索の代わりに、TikTok(ティックトック)やInstagram(インスタグラム)を利用している。」と話した。
このデータの発表を受け、ツイッター上では様々な議論が巻き起こった。TikTokの検索結果がより具体的なケースもあるため、TikTokを検索エンジンとして使うというユーザーもいた。
中国IT大手のバイトダンス(字節跳動)が手掛けているショート動画アプリTikTokは、エンターテインメントからユーザーの日常生活に関わる基本的なサービスの提供に事業の軸足を移行しつつあるようだ。では、海外で若者の生活の一部となりつつあるTikTokは、ユーザー数が拡大する検索事業で検索大手のグーグルを脅かすことになるのだろうか。
TikTokはグーグルのコアビジネスの脅威となるのか
モバイル検索ビジネスにおけるグーグルの地位は、現時点では非常に強固だ。Webトラフィック解析サイト「StatCounter」によると、今年6月のモバイル検索エンジンのシェアは、グーグル検索が95.3%で、2位のYandexの1.54%を大きく上回る。モバイル経由のグーグル検索はPCより優位となっている。(今年6月のPC経由グーグル検索のシェアは84.7%。)
グーグルも検索結果の表示形式を多様化している。グーグルのアルゴリズムの変化を分析する「MozCast」によると、モバイルとPC上のグーグル検索結果の約17%はYouTubeを中心とする動画の表示だ。グーグルは2020年末にTikTokとInstagramの短編動画コンテンツを検索結果ページに試験的に表示したが、他社との競合関係もあって合意に至らず、グーグルは同機能の提供を正式に開始していないようだ。
全体として、モバイル検索エンジンにおけるグーグルの優位性はすぐに揺らぐことはないだろう。一方、グーグルという言葉は長い間「検索」と結びついており、ユーザーの印象をすぐに変えるのは難しい。対してTikTokは、ユーザーが理解・受容しやすい動画やグラフィックの検索結果を提示し、1億人に上るユーザーがコンテンツ制作に参画しているが、専門の検索エンジンであるグーグルのデータベースとは依然大きな隔たりがある。また、TikTokのコンテンツはユーザーがトラフィック獲得を狙って制作するため、グーグルに比べて検査結果の客観性や権威性が乏しいといえる。
しかし、TikTokのようなソーシャルメディアがグーグルに代表される従来の検索エンジンに比べスキルの獲得や特定のカテゴリーの商品の「購買意欲喚起」に優れ、さらにTikTokがユーザーの行動変化に対応して収益を上げるようになったのは否定できない。
TikTokは今年3月、プラットフォーム内で広告検索のテストを開始した。ユーザーが特定のキーワードで検索すると、「スポンサー」ロゴが付けられたキーワードに関連するCMが検索結果の上位に表示され、ユーザーの注意を引きクリックを集めやすくなっている。
作者:WeChat公式アカウント「白鯨出海(ID:baijingapp)」
(翻訳・大沢みゆき)
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