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中国の国有自動車メーカー長安汽車(Changan Automobile)と通信機器メーカー大手ファーウェイ、車載電池メーカー世界最大手CATL(寧徳時代新能源科技)の3社が共同開発したスマートEV「Avatr11」と「Avatr011」が今月8日に発売された。
Avatr11はいずれもデュアルモーターが搭載された全3バージョンを展開。メーカー希望小売価格は34万9900〜40万9900元(約700万〜820万円)だ。
Avatr011は全世界でわずか500台限定のコラボレーションモデルで、中国国内での希望小売価格は60万元(約1200万円)。
Avatr11、Avatr011はいずれもミドルレンジ〜ハイエンドの純電気自動車(BEV)のSUV市場をターゲットとし、競合製品はテスラの「Model Y」、蔚来汽車(NIO)の「ES6」「EC6」、メルセデス・ベンツの「EQC」などだ。
発売元の「阿維塔科技(Avatr Technology)」はこのほどシリーズAで資金調達を実施したばかりで、国家緑色発展基金(NGDF)がリードインベスターを務めたほか、招商局資本(China Merchants Capital)など複数の有名投資機関から出資を受けた。株主の長安汽車も追加出資を行い、同社の持ち株比率は39.02%から40.99%に上がった。同じく株主のCATLは今シリーズには参加せず、持ち株比率は23.99%から17.1%に下がった。
公式データによると、今回の資金調達を実施したことで阿維塔科技は累計約50億元(約1000億円)を集めたことになる。市場予想では同社の評価額は100億元(約2000億円)に迫り、筆頭株主は長安汽車、第2位株主はCATLで変わりない。
大手3社の強力タッグ
Avatrは「化身」を意味する「アバター」から命名されており、すべてのユーザーがパラレルワールドでもう1人の自分を確立できるようにとの意味が込められている。
全体のデザインはかつてBMW7シリーズ、BMW6シリーズを手がけたカーデザイナーのNader Faghihzadeh氏を迎え、余計な装飾を排してすっきりとミニマルにまとめた。コラボモデルのAvatr011はジバンシーでクリエイティブディレクターを務めるマシュー・ウィリアムス氏との共同制作で、Avatr11をベースに超前衛的なファッションのコンセプトを取り入れた。
性能面では、長安汽車・ファーウェイ・CATLによる次世代スマートEVの技術プラットフォーム「CHN」が初めて手がけたモデルとして、大手企業3社の強みを結集した「新しいフレームワーク、強力な処理性能、高電圧充電」の3つを特徴に掲げる。
Avatr11が搭載するデュアルモーターのAWD(全輪駆動)システム「Drive ONE」はファーウェイが提供。総出力は578馬力に相当する425kWで、0〜100km/h加速(停止状態から時速100kmに加速するまでの所要時間)は3.98秒、テスラのModel Yと比べるとコンマ数秒劣る程度だ。
ファーウェイはDrive ONE以外にもフルセットのスマートカー向けソリューション「HI」も提供している。400TOPSの処理性能、360度死角なしのフュージョンセンシング能力などを有し、中国の複雑な交通環境により適したものだ。
航続性能に関しては、CATLの三元系リチウムイオン電池を採用することで大出力・高電圧の充電に対応した。最大出力は240kW、わずか10分間の急速充電で航続距離は200kmに達する。
「長安汽車が製造し、ファーウェイがインテリジェント制御システムを、CATLが電池を提供する」という夢の協業が実現したことで、Avatrは「選ばれし者」の風采を放ってはいるが、コアコンピタンス(中核的競争力)が突出して優れているわけではない。
現在の中国市場では価格10万元(約200万円)前後の車種のほうが浸透率が高い。大部分の消費者はコストパフォーマンスをより重視し、デビューしたばかりのAvatrは明らかに価格面で劣勢だ。
35万〜40万元(約700万〜800万円)の純電気SUV市場は、蔚来汽車のES6、EC6、テスラのModel Y以外に、メルセデス・ベンツやBMW、アウディなどの高級ブランドも参入を狙っている。スケールメリットも中核技術も持ち合わせている各社と対峙するAvatrは、あらゆる面で競争に挑まなければならない。
原文:WeChat公式アカウント「格隆匯新股(ID:ipopress)」
(翻訳・山下にか)
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