B級グルメのザリガニ わずか3年で1000店規模のFCに拡大した「堕落蝦」

36Kr Japan | 最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア

日本最大級の中国テック・スタートアップ専門メディア。日本経済新聞社とパートナーシップ提携。デジタル化で先行する中国の「今」から日本の未来を読み取ろう。

ビジネス注目記事

B級グルメのザリガニ わずか3年で1000店規模のFCに拡大した「堕落蝦」

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

続きを読む

中国で近年、B級グルメとして人気の食材・ザリガニ。そのザリガニ料理を提供するフランチャイズチェーン「堕落蝦(duo luo xia)」を運営する「洪堡智慧餐飲科技(Humboldt Intelligence Catering Technology)」が、シリーズBで資金調達を完了した。出資したのは「帕拉丁股権投資(Paladin Equity Investment)」で、調達額は非公開。同社はシリーズAで「天図資本(Tiantu Capital)」などからも資金を調達している。

同社が傘下でフランチャイズ展開する堕落蝦は、2018年12月時点で全国215都市に1000以上の店舗を展開しており、なみいるザリガニ料理店でもトップクラスと言えるだろう。

中国農業部のデータによると、2017年のザリガニの生産高は前年比83.15%増の約2685億元(約4兆4400億円)。そのうち、飲食業などの第三次産業によるものは約2000億元(約3兆3100億円)に達している。

2016年に深圳市で開業した堕落蝦は、養殖場や飼料工場などに資本参加し、サプライチェーンの上流を抑え、安定した仕入れを確保している。創業者の李林渡氏によると、同社は湖北省や江蘇省などに大規模な養殖場を擁するほか、新たにセントラルキッチンを設け、年間約5000トンもの食用ザリガニを生産している。

こうした堅固な供給力を基盤に、今後は店舗展開を加速していく。現在、全国215都市で1000以上の店舗を運営しているが、年内にさらに多くの都市に進出し、店舗数を倍増させる計画だという。また、ザリガニ料理以外に串焼き料理のブランド展開も始動する。

ロイヤルティ0円のFC展開

フランチャイズ展開をスタートしてから3年で1000店規模にまで拡大した堕落蝦だが、その秘密は「フランチャイジーからロイヤルティを徴収しない」という点にある。その代わり、製品や運営システムの利用料として、レベニューシェアを徴収している。

商品はすべてセントラルキッチンから配送され、店頭で簡単な仕上げを施すだけで顧客に提供できるので、店舗に調理師を置く必要がない。安定した品質や食品の安全も担保できる。坪当たりの売上高も上げられる。堕落蝦の店舗面積は平均60平方メートル前後で、開業3~4カ月で初期投資を回収できるという。

ロイヤルティを徴収しないことによってFC加盟のハードルが下がり、店舗数の拡大を加速できたこと、また、フランチャイジーの経営状況がよりダイレクトに運営企業側の利益に反映されるために、運営企業側も製品やサービスの向上に絶えず努めるように促されるという利点がある。

実際、新たに加盟する店舗の半数以上が、既存フランチャイジーからの紹介によるものだという。運営側は、フランチャイジーの募集に労力を割く必要がほとんどないのだ。

店舗の生存能力を高めるため、堕落蝦はサプライチェーンの各部を厳しく選定・管理している。全商品をセントラルキッチンで管理する以外に、各店舗の管理システムもスマート化を進め、年内にも新システムを正式に導入する予定だ。

従来型の飲食系FCは、運営本部から各店舗への支援が不足していた。各加盟店への視察体制なども非効率的で、多くのフランチャイジーが事実上、自力で営業せざるを得ない状況に追い込まれていた。堕落蝦はオンラインを通じた標準化管理に努めており、例えば客からのクレームは店頭で処理せず、まず運営本部で対応する。

各店の営業データはすべて本部で共有され、収集したデータをベースにブランド戦略の改善を図る。李氏によると、今後は店舗設備のIoT化を進め、遠隔でのハンドリング体制を強化していく。

シーフードの供給体制を拡大し、次は串焼きチェーンへ

洪堡智慧餐飲科技が堕落蝦の成功を通して確立したノウハウは、新たな事業に転用できるひな形となった。同社はシーフード食材の供給体制を引き続き強化し、次は串焼き料理のブランドを展開する予定だ。液体窒素を用いた冷蔵・冷凍製品、無煙ロースター設備なども開発済みで、食材は産地で加工を施して各店へ送られる。

全国200都市以上にまたがる堕落蝦のFC展開に伴って築かれたコールドチェーンも生かすことができる。同社は現在、大型倉庫を8カ所に、支庫を40カ所に有する。将来的には、大小合わせて900都市での展開を目標に据えている。

国内の飲食業界を巡る状況について、李氏は「チェーン展開を実現できる飲食店はまだ少ない。ただ、食品の安全や雇用体制の改善、オンライン決済の普及など、チェーン店にとっては良好な周辺環境が整ってきた。優れたUX(ユーザー体験)の提供か、あるいは味と手軽さの両立か、飲食の業態は二分化されてきている」と語っている。無論、堕落蝦は後者で勝負をかける。
(翻訳・愛玉)

原文はこちら

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録

関連記事はこちら

関連キーワード

セミナー情報や最新業界レポートを無料でお届け

メールマガジンに登録