人気ニュースアプリ「今日頭条」 無料電子書籍に本格参入

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ニュースアプリ「今日頭条(Toutiao)」などを運営する「バイトダンス(字節跳動)」が、無料の電子書籍の分野に進出を始めた。

バイトダンスが1月末にリリースした無料電子書籍アプリ「番茄小説」が、App Storeの書籍カテゴリーでトップ3に入り、各アプリストアでも上位にランクインした。

バイトダンスが電子書籍市場を狙う理由は、昨年5月にニュースアプリ「趣頭条(Qutoutiao)」から独立した電子書籍アプリ「米読」が、成長市場を後押しする新たな勢力になるとみたからだ。

モバイル関連データ統計会社「Quest Mobile」によると、昨年12月、米読の月間アクティブユーザー(MAU)が、アリババ系の「書旗小説」を抜き、電子書籍アプリとして第3位につけたという。電子書籍業界は、これまでモバイル端末向け電子書籍大手の「掌閲(iReader)」、テンセント系の「QQ閲読」、「書旗小説」の課金タイプが上位を占めていた。一方で、無料電子書籍アプリ「七猫小説」が無料アプリ総合ランキングの1位を獲得した。

オンラインユーザーが先細りするなか、米読の実績は確かに注目に値する。

有料コンテンツの限界

中国の電子書籍プラットフォームといえば「閲文集団(CHINA LITERATURE)」が有名だが、これを支えていたのが課金方式のビジネスモデルだ。閲文集団は、一時は業界で80%近い市場シェアを占めていたが、ユーザー数は減少傾向にあり最近では頭打ちとなっていた。

これを受けて、閲文集団は今年、無料で読める「飛読」をリリースする。パソコン経由で購読するネット書籍時代から課金コンテンツに親しんできた1980~90年代生まれのユーザーを取り込めば、この市場も期待できると考えたのだ。中国インターネット情報センター(CNNIC)のデータによれば、2018年のオンライン動画ユーザーが6億1000万人なのに対し、オンライン書籍はまだ4億3000万人の規模だといい、今後の成長が期待できる。

一方の米読のターゲットは、無料コンテンツに慣れている、いわゆる暇つぶしのツールを求めている層である。彼らのコンテンツの質に対する要求は高くない。

閲文CEOの呉文輝氏は「無料電子書籍が、不正にコピーされた海賊版だらけの業界を変える。その海賊版のユーザーを取り込んで、彼らの意識を改革することによって、ネット書籍市場の新たな有料ユーザーへと変えていく」と言う。無料ユーザーは順調に増えているが、コンテンツが良ければ有料でも売れるからだ。

米読も同様に、今後は有料ビジネスモデルを模索していくとみられる。

無料電子書籍の課題

「無料で閲覧できるプラットフォームには、安価で低レベルのものが多い。広告収益スキームを成り立たせるために、質の悪い無料コンテンツを大量に配信している」と呉文輝氏は言う。

今の無料電子書籍アプリは、コンテンツの品質が最も大きな課題である。

まずは問題なのは、質の悪いコンテンツがプラットフォームの発展を妨げていること。ある原作者は「閲文は大手プラットフォームだが、コンテンツに求める水準も報酬も高くない」と言う。プラットフォーム側がコンテンツのボリュームだけを重視する姿勢がうかがえる。

その次に、ライセンス供与の問題である。作家と独占契約した電子書籍運営会社が、別の無料プラットフォームにコンテンツを再許諾しているケースもある。無料サイトはこうした転載コンテンツを広告で収益を上げるが、原作者にはこの分のレベニューシェアが支払われず、品質も保証できないという。

一方、課金プラットフォームに掲載された有料コンテンツの作者にとっては、書籍出版やドラマ・映画化で更に収益を上げられるチャンスもある。その報酬は無料サイトの何倍にもなるという。人気作家が無料サイトに作品を提供しないのには、こういった事情がある。

電子書籍ビジネスは、ようやく違法コピー等の問題から抜け出し、作家が適切な報酬を得られるビジネスモデルを確立したが、再び「無料」か「有料」かという問題に直面する。ただ、これまでと違うところは、モバイル端末によって広告環境が変わったことだ。無料のユーザー層をしっかり掴めば、新たな広告市場が開拓できる。

無料コンテンツでユーザーの心をつかんだら、その次にやるべきことはやはり、プラットフォームの質を上げ、ネット作家たちが適切な報酬を得られるようコンテンツ事業をしっかりと立て直すことだ。
(翻訳:貴美華)

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