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中国における5G通信普及の見通しについて、三大通信事業者の一つ中国電信(チャイナ・テレコム)科学技術委員会の韋楽平主任は、「2019年に中国国内で5Gの試用を開始し、2020年に商用化を実現する。また2021~2026年の間に大型基地局(マクロセル)を数百万規模、小型基地局(スモールセル)を1000万規模まで増やす」と述べた。これは3月に開催されたデジタルケーブルテレビ事業者向け国際会議での発言だ。ここで言及されたスモールセルとは何か?また、5G時代におけるスモールセルの役割とは?スモールセル関連の設備やプロバイダのビジネスモデルは、5G時代にどう変わるのか?
その答えを探るべく、4G/5Gの仮想化ソリューションを提供する「佰才邦技術(Baicells Tecchnologies)」を取材した。
5G時代におけるスモールセルの重要性
スモールセルは、もともと通常の基地局の補完的役割として、人口密集地や一般家庭等の細分化されたニーズに応えるために誕生した。現在主流のマクロセル(通常は鉄塔上に設置される)と比べ、出力が低くカバー範囲は狭いが、場所を選ばず自在に設置することができ、平均消費電力が低いという特長がある。
佰才邦の孫立新董事長は、「海外では3G時代からすでにスモールセルの大規模な実用化が進んでいた。当時中国でスモールセルが注目されなかったのは、3G向け市場の成長を待たずに通信業者が急速な4G展開を進めたこと、また、マクロセルに室内ネットワークを組み合わせる方式が定着し、これを変えるには大きなコストが必要だったことが原因だ」と語った。
では、5G時代になり、なぜ再びスモールセルが関心を集めているのだろうか。孫董事長によれば、次の理由が挙げられるという。
■ 4Gから5Gという周波数帯の変化により、基地局を高密度に設置できるスモールセルの重要性が高まった。カバー範囲が数十メートルと狭く、地域内に密集して設置できるというスモールセルの特性は、高周波帯を使用する5G時代の高密度かつ低消費電力というニーズに合致する。
■ 5G時代はトラフィックの約8割が屋内で発生する。スモールセルは屋内競技場、駅、空港といった環境下で、場所を選ばずフレキシブルに設置することができる。
■ 通信キャリアのネットワーク運営コストを削減できる。
孫董事長は「仮に5G時代でも4G同様に広範囲をカバーするマクロセル方式を採用すれば、基地局設置にも運営にも莫大なコストが必要だ」と指摘する。
スモールセルにはコンパクト、低消費電力、設置が簡単という特徴があるため、コストを抑えながら5G時代に想定される多様なシーンでのスピーディな普及を促進できる。
ただし、4Gと5Gは当面は共存すると見られ、瞬時に5Gに入れ替わることはない。
スモールセルとMEC:仮想化+スモールセルはMEC導入の新たな糸口に
5G時代の到来により、クラウドコンピューティングによる集中型のデータ処理から脱却し、利用者に近いエッジ側でデータを処理するというエッジコンピューティング(MEC)も注目されている。
5G時代では、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)のように、超高画質かつ低遅延で双方向通信の実現が求められるシーンが多い。特に大量のトラフィックが集中する低遅延双方向通信において、MECを活用して負荷を分散することにより、コアネットワークの負担を軽減できるほか、高いリアルタイム性を求める利用者のニーズを満たすこともできる。
孫董事長によれば、「スモールセルは5G無線ネットワークの重要なノードであり、分散設置、仮想化、ハード・ソフトの分離が可能という特長から、MEC導入の糸口となる」という。同氏はさらに、スモールセル関連の事業モデルについて、その活用範囲とエコシステムについて次のように説明した。
■ スモールセルの活用が見込まれるのは、空港、駅、屋内競技場、商業施設など屋内で人やトラフィックが密集し、高度な並列処理が必要とされるエリアだ。さらに、AIや他の技術と結合させたソリューションを通信事業者が提供できれば、更なる普及が期待できる。
■ エコシステムに関しては、今後の発展の方向性は「オープン」かつ「スマート」な無線ネットワークであり、これは市場競争が正しく機能することにもつながる。
孫董事長は「だからこそ佰才邦はO-RAN Alliance(Open Radio Access Network Alliance)を支持し、中国移動(チャイナ・モバイル)、インテル、レノボと提携し、クラウド基地局の開発を進めている」と語った。
(翻訳・愛玉)
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