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中国で「二次元」と呼ばれるアニメ・漫画・ゲーム関連コンテンツ。2018年は、二次元コンテンツに携わる企業でビッグニュースが続いた1年だった。
具体例を挙げると、動画共有サービス「ビリビリ動画(bilibili)」がナスダックに上場。そのライバルと言われていた「AcFun」は、短編動画アプリ「快手(Kwai)」に買収された。二次元に特化したコミュニティサイト「半次元(bcy.net)」は、ニュースアグリゲーター「今日頭条(Toutiao)」に買収された。ユーザー数の伸びが徐々に失速する中、彼らの今年の課題は「収益化」となるだろう。
二次元コンテンツ企業の中でも収益化に向けて順調に歩を進めているのは、2014年に設立された二次元コミュニティサイト「第一弾(DiYiDan)」だ。現在のアクティブユーザー数は2200万人、これまでに蓄積されたオリジナルコンテンツは1億点以上に上る。
設立翌年の2015年、プロダクトの大枠を整えて初期ユーザーを獲得した第一弾は、「掲示板コミュニティ」「オタク系コンテンツ」「検索」の3本柱でサービスを開始した。コミュニティ内は、漫画、ゲーム、音楽、コスプレなど12のカテゴリに細分化された。
また、この時期には、純粋な二次元コンテンツから周辺コンテンツにまで射程範囲を広げたクロスメディアのプラットフォームが続々と出現した。前出のAcFunをはじめ、多くの事業が資金調達に成功し、マネタイズに転換し始めた時期だった。
2016年、事業が第2フェーズに突入した第一弾は、製品の改良を重ね、マンパワーも急速に拡大してユーザー数を伸ばしてきた。同年12月にはゲームデベロッパー「游族網絡(Youzu Interactive)」から5000万元(約8億3000万円)の戦略的投資も受けている。
創業者の王整氏は、同社の成長の理由について、早期からコンテンツのジャンル拡充やユーザー管理に努めたからだと分析する。第一弾は初期の段階から、二次元以外にペットやグルメなど若年ユーザーに人気のジャンルを開拓してきた。王整氏によると、「確かに初期ユーザーには二次元愛好者が多く、関連のコンテンツが比較的多かった。しかし、コミュニティとしては取り扱うジャンルを制限したことはない。若者の関心に沿った趣味やカルチャーを包括したコミュニティと位置付けている」という。
第一弾のユーザーは18~20歳が中心で、コミュニティに独特の空気を作り上げている。この世代は上の世代よりも連帯感を重視する傾向があり、コミュニティならではの空気感がユーザーを惹きつけている。
現在は二次元、日常、映画・音楽、ゲームの4カテゴリで運営し、その4カテゴリがさらに120ジャンルに分割されている。特にオタク分野に特化しているわけではなく、コミュニティ初心者でも、必ず自分の興味に合致するジャンルが見つけられるという。
2018年初め、第一弾はシリーズB+で1億2000万元(約20億円)を調達し、マネタイズに舵を切り始めた。主に広告、ゲーム、ECの三本柱で収益を得ている。広告事業ではすでにゲームメーカーを中心とした固定クライアントを獲得しており、ゲーム事業では国内の大手モバイルゲームメーカーと提携し、主に配信事業を行っている。すでに10数タイトルを取り込んだほか、初めて配信を手がけた「牧羊人之心 -KarDia tou Abel」は、月間アクティブユーザーが2000万人に達している。
冒頭で挙げたビリビリ動画やAcFunがコンテンツリソース主体で運営するプラットフォームであるのに対し、第一弾はソーシャル機能を売りとしたプロダクトだ。十分なアクセス数とコンテンツ量を築いた後は、どのようなリソースを開拓していくのだろうか?
IP(知的財産)に関する意識が近年高まる中、IPエコシステムの構築が大手プラットフォームにとって必須事項になっている。
こうした流れを受けて、第一弾は多くのジャンルにまたがるKOL(Key Opinion Leader、インフルエンサー)の育成体制を確立した。アニメ、漫画、ゲーム関連の各ジャンルに強いユーザーを集めて、コンテンツ制作や拡散のノウハウを教え込み、優れたオリジナルコンテンツを提供してもらうのだ。彼らとは独占契約を締結し、企業やブランドとの提携機会を取り持つ。すでに、お笑い、動画、小説、4コマ漫画、音楽、声優、漫画評論などを手がける600人のKOLを抱えるまでに成長しているという。
コミュニティ内に投稿された小説や漫画、イラストなどの人気コンテンツの発掘、商品化も手がけている。第一弾から誕生した初のオリジナル漫画作品「妹妹消失的第100天(妹が消えてから100日目)」は「騰訊動漫(Tencent Animation & comics)」など40のプラットフォームで同時連載を展開し、全体で10億回のアクセスを記録した。
現在、第一弾のメンバーは約100人。2018年からは特にコンテンツ審査業務に力を入れているという。不適切なコンテンツの通報があった場合、約30分で対応可能な体制を整えている。今年の目標はさらなるユーザーの拡大で、コンテンツはさらにニッチ分野を開拓していくという。
(翻訳・愛玉)
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