バイドゥがつぎに仕掛けるのは、オフライン音楽イベント×モバイルアプリの融合

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中国ネット検索大手「バイドゥ(百度)」が、コンテンツエコシステム部内に新しいプロダクトチームを立ち上げたとの情報を36Krがキャッチした。新たな構想は、アプリとコンテスト型ミュージックイベントを連動させたオン・オフラインの融合だという。

この「音楽チーム」と呼ばれる小さなチームが仕掛けようとするのは、ショート動画共有アプリ「TikTok(抖音)」と「湖南衛視(Hunan TV)」の人気音楽番組でプロシンガーが歌唱力を競う「歌手(Singer)」のようなメディアミックスらしい。

以前、バイドゥが手掛けたショート動画プロジェクト「好看視頻(Haokan Video)」、「全民小視頻(Quanmin)」、「伙拍小視頻」はそれぞれ、ニュースアプリ「今日頭条(Toutiao)」系列の「西瓜視頻(Xigua Video)」、「火山小視頻(Huoshan)」、TikTokをベンチマークとしたものだった。しかし、今回はそれらとは異なる。バイドゥが挑むのは、既にあるものではなく、社会現象を引き起こすような全く新しい発想だ。

バイドゥは旧正月に約12億元(約200億円)をかけて、関連アプリのボーナス付きキャンペーンを開催した。

旧正月のキャンペーン期間中、バイドゥアプリはApp Storeの無料アプリランキングで急上昇し第1位に。旧正月三が日(2月5~7日)を過ぎると勢いをなくし、2月13日には33位まで下落した。

バイドゥには、テレビ番組「歌手」やオーディション番組「創造101」のようなオフライン向けプロモーションのノウハウはない。そのため、バイドゥに近い関係者は、プロモーションを外部に委託するのではないかと見ている。同社のスタッフによれば「ネットイース(網易)」系の「網易雲音楽(music.163)」のチームに接触したそうだが、音楽の著作権に関わるプロセスが非常に複雑なため、まだ具体的な提携には至っていないという。

今年2月26日、バイドゥは社内メールで、副総裁の沈抖氏をネット検索事業会社のユーザープロダクト担当とする人事異動を発表した。沈抖氏が検索とインフィードという2つの強力なエンジンを生かし、スーパーヒット商品を生み出してくれると李彦宏CEOは期待する。

沈抖氏は、2012年バイドゥに入社、2017年5月に副総裁に就任。これまではアプリ、インフィード広告、「百家号(Baijiahao)」、「智能小程序(スマートミニプログラム)」などのモバイル向けプロダクトをメインに担当していたが、今後は職務権限が百度PC検索などを含む一連のプロダクトへと一気に拡大される。

バイドゥは、これまでにも多くのモバイル向けプロダクトをリリースしているが、多くが他社のコンテンツをベンチマークしたものだ。2018年の例は、次の通り。

・2018年5月、ビューティー系SNSと美容サービス店情報が一体化したプラットフォーム「檸檬愛美(LEMON PRETTY)」アプリをリリース。ベンチマークはネット美容医療アプリの「新氧(So Young)」

・2018年末、次世代コンテンツ情報アプリ「看多多(Kanduoduo)」をリリース。ユーザーは、ニュースを閲覧したりタスクを実行したりすることで報酬を得られる。ベンチマークはニュースアプリの「趣頭条(Qutoutiao)」

・2018年12月、若者向け衣食住の情報を共有し交流する「西番(xifan)」をリリース。ベンチマークは「小紅書(RED)」

これらは、TikTokを運営する「バイトダンス(字節跳動)」の張一鳴CEOがいち早く始めたビジネスモデルとよく似ている。まず大量の交流型アプリでユーザーを集め、今日頭条やTikTokなどのスーパーヒット商品を輩出している。

バイドゥの挑戦は、これからも続く。ライバルのバイトダンスは、検索エンジン「360捜索(360 Search)」の元プロダクトマネージャー・呉凱氏を迎え入れ、検索事業に参入している。バイドゥとバイトダンスの検索事業をめぐる対決は、今後ますます激しくなるだろう。守備に入るのか、反撃に出て今日頭条の広告シェアを奪いに行くのか。いずれにせよ、バイドゥがモバイル向けプロダクトに勢力を拡大するのは確かだ。
(翻訳:貴美華)

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