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アリババが展開する次世代スーパーの「盒馬鮮生(Hema Fresh)」が青果市場に参入した。
上海の五月花生活広場(May Flower Plaza)に盒馬系列の青果市場第一店舗目となる「盒馬菜市(Hema Caishi)」がオープンした。1000~2000平方メートルの店内にはメインの生鮮食品コーナーのほか、スーパー、惣菜、生活サービスなどのエリアが設けられている。
盒馬菜市ではメインの生鮮食品が最も目立つ中心エリアに配置されており、スーパーや惣菜店などはその左側に、ヘアカットやクリーニングなどの生活関連サービスは右側に並んでいる。
「買った食材をその場で調理」が売りの盒馬生鮮とは異なり、ここではイートイン・スペースを設けず、持ち帰って家庭の食卓に並べられるよう「出来たてを販売」するというモデルだ。
生鮮食品コーナーには手頃な生鮮食品が並んでおり、輸入品は基本的に置かれていない。盒馬菜市の最大の特徴は豊富なラインナップだ。卵だけでも多くの種類を取りそろえているほか、一般の青果市場ではあまり売られていないハーブも充実している。
盒馬菜市が目指すのは、日常生活で必要な物が全てそろう「ワンストップショップ」で、周囲3キロメートル圏内の住民がターゲットだ。
店舗は商業施設の地下1階にあり、周囲の店舗は全く異なるカテゴリのためライバルもいない。
盒馬鮮生と比べてみると、盒馬菜市は店舗が小さく、住宅街に隣接しているほか、よりポイントを絞った商品ラインナップになっている。
盒馬の店舗は小型化の流れ
ここ最近の盒馬の戦略を見ると、店舗業態の拡充を図ると同時に、店舗を小型化していることがわかる。盒馬菜市だけでなく、同社が展開を進めるコンビニ店舗「F2」などの業態でも、店舗面積は1000平方メートル以下に抑えられている。
大型店舗の盒馬生鮮は破竹の勢いで150店をオープンさせたが、さらに勢力を拡大するため、小型化した店舗を高密度に出店してより多くの人口をカバーする戦略に出た。
盒馬生鮮の売り上げ40%を占める生鮮食品部門を小型店舗としてスピンアウト。ここに、オンライン販売で離れてしまった客足を呼び戻す。オンライン販売では物流コストが収益を圧迫したという反省から、ユーザーの来店習慣を再び根付かせたいと考えている。
青果市場モデルは成功するか
上述のように盒馬はさまざまな小型店舗業態を試みているが、順風満帆とは言えない。
盒馬菜市や今後展開する予定の「盒馬小站」などは住宅街向けの店舗だが、住宅街の中に出店可能な物件を見つけるのが難しく、結局は商業エリアに出店するしかないという大きなパラドックスを抱えている。
青果市場という業態そのものに関しても不安が残る。一般の青果市場は小さな露天商の集合体で、リスクや収益は最終的に各店舗に分配される。どの店でも同じような物を売っているように見えるが、それぞれの店に看板商品があって商売が成り立つようになっており、その地域の住民も自分の行きつけの店舗を持っている。
対して、盒馬菜市は商品チョイスや利益コントロールを含め自社で全てを運営しなければならず、消費者との強い関係を構築することも難しい。
業界関係者によると、盒馬菜市はしばらくの間、店舗数を一桁に抑えてテストするとのことで、結果によっては計画を白紙に戻すこともあり得るとのこと。
市場環境が厳しさを増す中、盒馬は積極的に変革を進めている。しかし、最も急を要する問題は、全体の売上高の90%以上を占める盒馬生鮮だ。高い売り上げを維持できなければ、反動で損失が大きく膨れ上がる可能性がある。盒馬が近ごろ不採算店舗を整理しているのもこのためだろう。
(翻訳・畠中裕子)
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