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AIを活用した自動運転走行データの自動タグ付けツールを開発する「博登智能(BODENAI)」がこのほど、エンジェルラウンドで数千万元(数億~十数億円)を調達した。浙江見識創業投資管理(Vipassana Fund)などが出資した。
博登智能は自社開発したデータのクローズドループ・ツールチェーンを活用し、AIアルゴリズムの自動アノテーション(データに情報タグを付加すること)機能と組み合わせることで、独自の知的財産権を持つ自動運転の走行データ処理プラットフォームを開発した。このプラットフォームは市場の95%以上のセンサーを介したデータの収集、保存、前処理、アノテーション、モデル学習・配置などデータパイプライン全体をサポートし、データのクローズドループを構築する。
これまでデータ処理は利益率の低い労働力依存型の業種と見なされてきた。しかし自動運転レベル3、4の開発が進む現在、車両1台につき1日最大4000ギガバイトのデータが発生するとのインテルの試算もあり、基礎データサービス市場の拡大が見込まれている。
膨大なデータに対して手作業のアノテーションではとても追いつかない。博登智能の創業者兼CEO趙捷氏は「自動運転の開発に欠かせないデータは、処理を自動化して効率を大幅に上げる必要がある」と考えた。
こうして、アノテーションの効率化が博登智能のサービス開発の足がかりとなった。同社の主力サービスであるアノテーションプラットフォーム「BASE」は、データのアノテーション、プロジェクト管理、スタッフスケジューリング、プロセス設定、進捗統計、アルゴリズムトレーニングを統合し、ワンストップでスマートデータサービスを提供する。最新版のバージョン4.0では、画像状態管理モードを採用するなどの改良が施された。
創業者の趙CEOは自動運転に関わる研究室に勤務した経歴があり、自動運転分野のノウハウを持っている。そのためBASEには自動車メーカーの実際のニーズにより近いデータ処理能力が備わっており、顧客のコスト削減と効率化をサポートできる。手作業のアノテーションに比べてコストを30~40%削減でき、処理効率は30%向上するという。例えば3D画像のアノテーションの場合、1日当たりの平均処理能力は手作業が1万枚以上なのに対し、AIを活用した自動アノテーションなら2万枚以上になる。
趙CEOは、BASEプラットフォームを支えているのはデータ収集・校正、AIデータ処理ソフト、自動クローズドループシステムに関わる基幹技術だと説明する。「初期段階からアルゴリズム開発に力を注ぎ、その技術的な成果をすぐさま知的財産権に変えてきた。完成車メーカーとの提携においてサービスの拡大を進め、新規事業のセンサー校正ではすでに受注を獲得できており、自動クローズドループシステムの構築にも役立っている」
市場調査会社IDCによると、中国のAIデータ処理サービス市場は2025年までに123億4000万元(約2500億円)規模に成長するという。市場の見通しを受けて、博登智能ではアノテーションコストを省くために、2~3年をめどに教師なし学習のデータ処理手法に注力し、独自のデータセットを構築する計画だ。長期的には高付加価値や技術ハードルの高いサービスの模索を続けるほか、自動運転分野でのビジネスチャンスも探っていく。
今後、自動運転分野では二次元画像データや三次元点群データの処理が必要になり、業界への参入ハードルはさらに高まるとみられる。自動運転レベル3以上では大量の三次元点群データが必要だが、そのアノテーションを行うにはさまざまな技術的課題を克服しなければならない。しかもAIプラットフォームの米「Scale AI」やナビゲーションマップ「四維図新(NavInfo)」、AIデータサービス「海天瑞声(Speechocean)」などの企業が自動化システムや高精度地図の分野に力を注ぐようになっており、今後の競争激化が予想される。新規参入組にとって大きな挑戦となることは間違いないだろう。
(翻訳・畠中裕子)
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