電動自転車充電サービスの「小緑人科技」がシリーズBで数十億円を調達 地域密着型のサービスへ

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電動自転車の充電サービスを運営する「小緑人科技(Xlvren)」がシリーズBで「復星基礎設施産業発展集団(FOSUN INFRASTRUCTURE GROUP)」から数億元(数十億円)規模の資金調達を完了したことがわかった。同社はこれ以前にも「中関村大河資本(ZRC)」や「中関村科技園区海淀園創業服務中心(www.smebj.cn)」、「杭州浙大友創(zjzdyc.com)」、「中青創投資(CHINA YOUTH VENTURE CAPITAL)」など複数の機関投資家から資金を調達している。

小緑人は2015年に設立。電動モビリティの充電サービスを主力業務とし、広く利用されている電動自転車、電動バイク、電動三輪車を手始めに、3億人近いユーザーに屋外公共充電ネットワークを提供している。ユーザーは通勤に利用する個人から、宅配業者の「順豊(SF Express)」や「京東(JD.com)」など法人までカバーしている。

中国国内には現在2億台以上の電動自転車が存在しており、充電における安全確保はきわめて重要だ。2013年から2017年の間に、メディアで報道された国内の電動自転車を原因とする火災は1万件あまり、さらにその火災による死者は233人にものぼる。死傷事故が頻発していることから、政府の関連部門や不動産管理会社には安全管理と職業的責任をめぐって多大なプレッシャーがかかっている。安全管理と職業的責任を両立させるためには、屋外に公共充電設備を設置することが必要だった。

小緑人はそこに目をつけた。屋外の公共充電設備を皮切りに、商業施設やサイエンスパーク、工業団地、大学キャンパスやその周辺、住宅地などの建物のある場所に低コストで幅広く進出し、スマートインフラに基づく充電ネットワークを構築し、IoE(エネルギーのインターネット)システムや不動産管理会社、億単位のユーザーを結びつけた。設置型充電設備による地域密着型のサービスを構築し、1日あたりの充電利用回数が延べ1千万回を超えるという頻繁な利用シーンを生み出している。

電気自動車(EV)の充電ネットワークと比較すると、電動自転車の充電ネットワークはパイが非常に大きい市場であり、産業の発展ではなく、安全管理のニーズから形成されている。そして設備の製造・設置にかかるコストが小さく、専用の場所も必要とせず、使用電力も小さい。これらの特徴から、迅速な規模の拡大が可能であり、同社の黒字転換にも有利だといえる。

現在、小緑人は北京、広州、深圳、海南省海口市など100以上の都市で事業を展開しており、全国に30万近くの充電コネクタを設置している。ユーザーのコンバージョン率は92%に達しており、3回以上利用したことのあるユーザーは78%、2018年の売上は1億5000万元(約24億円)に達した。

最新のデータによると、ここ1年で同社の設備規模は4倍に拡大。売上高は4.5倍、ユーザーは7倍に増加した。設置都市は109都市、同社直営の都市は16都市にのぼり、年平均で350%増加した。

市場全体で充電ニーズが年間約千億回あるうえ、政府も関連支援政策を継続的に打ち出している。背後に大きなチャンスが垣間見えることから、この業界は多くの企業を惹きつけている。その分競争も激しく、「維岳科技(VYEAH)」、「長城金点(GOLDENET)」が手がける事業の一つである「金点駅充」、「易快充(FAST CHARGING)」など数多くのライバルも存在している。

小緑人と同じく電動モビリティの充電サービスを手がける「趣充電(QPOWER)」創業者兼CEOの蒋元珠氏は以前、「カギとなるのは運営で、地道な営業活動と管理能力が企業の成長スピードを決める」と語っていた。小緑人の創業者である蔡篤満氏も運営の重要性を強調しているが、それと同時に、先発者優位とコアテクノロジーが企業の発展には重要な役割を果たすと考えている。蔡氏はまた、同社には先発者優位性、コアテクノロジーと製品、そして運営体系という市場における三つの強みがあるとして、同社は業界内で主導的な地位を1~2年は保つことができるとの見通しを示している。

今回の資金調達後、小緑人はプラットフォームの構築に乗り出す。すでに定着している高頻度の充電利用から、低頻度・高単価の利用まで、地域密着型のサービスを開始する。

出資者の復星基礎設施産業発展集団は小緑人について、IoEに関わるコア・コンピタンスを確立しており、新エネルギーの応用技術を利用したイノベーションとハードウェアのソリューションをベースとして、インターネットを活用した生産、拡張、運営能力を形成しているとの見方を示した。また、小緑人への戦略的投資は同社にとってモビリティ分野での重要な布石でもあり、同社の掲げるC2M(Customer to Maker)戦略とも合致しているとした。
(翻訳・山口幸子)

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