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【新華社11月5日】中国上海市では2018年から毎年、中国国際輸入博覧会(輸入博)が開かれており、日本企業が積極的に参加し、多くの成果を上げている。第5回輸入博の開催に当たり、これまでの日本の出展企業と、製品の中国販売代理企業を訪ね、最も印象に残った「輸入博の瞬間」を振り返った。
小さな歯ブラシが大きな市場を「回転させる」
2018年、日本貿易振興機構(ジェトロ)の取りまとめにより、当時65歳の中島憲二氏は第1回輸入博で、自社のクルン株式会社が特許を持つ回転歯ブラシをプロモーションするため上海を訪れた。中島氏の名刺には、大阪府から授与された「匠」のロゴマークが丁寧に印刷されており、同氏はこの「匠」の字をとても大切にしている。
その後1年足らずの間に、この回転歯ブラシは中国の電子商取引(EC)サイトで購入できるようになった。興味深いことに同製品は歯磨き粉や水を必要とせず、また、朝と晩だけ使うものでもなく、洗浄や消毒をすればいつでも柔らかいロール状のブラシで歯と歯茎の表面がマッサージできる。
この「マッサージ歯ブラシ」は歯周病患者に効果があるという。中島氏は中国市場開拓の夢を続けようと、翌年の輸入博にも再び足を運んだ。
ロボットから顕微鏡まで、ハイテク製品ずらり
さまざまな形のロボットとそのスマートソリューションは、輸入博に出展する日本企業の注目点となってきた。過去の輸入博では、オムロンの卓球ロボット、不二越の自動車組み立てロボット、トヨタが展示した介護や散髪などの機能を持つコンセプトロボットが最も注目を浴びた。
輸入博において、ロボットが「丈夫な働き手」なら、顕微鏡は機敏な「妖精」と言える。
エビデント中国エリア最高経営責任者(CEO)で儀景通光学科技(上海)董事長の出射邦弘氏は「5年間出展を続けているが、輸入博というグローバル化したプラットフォームがもたらす中国と世界のチャンスを強く感じる」と振り返った。同社は過去4年間、オリンパスの科学事業部門として出展していたが、今年はオリンパスから分社化して新たに出展することになり、輸入博の「新しい友人」であり「古い友人」ともいえる。出射氏は「過去数年、豊富な成約を得ており、輸入博の波及効果や牽引力がますます顕著になっている」と述べた。
低炭素生活も一歩から
第1回輸入博開催時には、日本の複数の自動車メーカーが水素エネルギー車を展示したが、当時、このような移動手段はまだ中国の人々になじみがなかった。しかし驚くことに、第5回輸入博の開幕前に、上海市で中国初の水素エネルギー中量輸送路線バスの運行が開始された。
輸入博に連続出展し、水素エネルギー設備を展示している複数の日本メーカーが「水素エネルギーを交通手段に活用する理念は輸入博から広がったもので、中国の低炭素生活という現在の新しい理念の一部となり、中国社会に受け入れられつつある」と語ったのが非常に印象的だった。
ドイツのGROHEや米国のAmerican Standard、日本のINAXとLIXIL Kitchen Technology(LKT)などのブランドを傘下に持つ日本のLIXILは、今年で3年連続の輸入博出展となる。同社は「サステナビリティ」をテーマに出展を続けており、今年は傘下企業が世界各地で展開する炭素削減の成果や環境への新たな取り組みを、事前にメディアに向けて特別に紹介した。LIXILグローバル上級副総裁でグレーターチャイナCEOの陶江(とう・こう)氏は、同社が輸入博を通じて中国市場や世界各地の市場との関係を強化しており、貿易の発展と協力を深め、持続可能な居住の可能性を探っていきたいと述べた。
オンライン販売によって毎年新製品を発売
中国が世界貿易機関(WTO)に加盟して20周年に当たる21年の第4回輸入博では、それまで3年連続で出展していた日本の化粧品・健康食品大手ファンケルが初めてライブ配信を試み、良好な成果を収めた。
同社海外マーケティング部の田中毅史部長は「インフルエンサーを招いて行ったライブ配信で、輸入博の会場が大いに盛り上がり、オンラインでも多くの視聴者がアクセスし、ブランドの認知度が高まった」と語った。
それまでの輸入博でも、同社は越境ECを通じて、さまざまな新しい保健食品を中国市場に紹介してきた。同社の島田和幸社長は、中国市場の需要に対応するため、静岡県三島市に新工場を稼働させ、生産能力を大幅に増強したと述べた。
5年連続で輸入博の日本企業の出展を取りまとめるジェトロも、ここ数年は上海の輸入博会場を訪れることのできない多くの日本企業が中国の顧客や消費者と「対面」できるよう、オンライン販売の推進に力を入れている。
「RCEP+輸入博」で日本酒メーカーにさらなるチャンス
ジェトロ上海事務所の水田賢治首席代表は、ジェトロが今年、280社近くの日本企業の出展を取りまとめると説明した。
日本酒は今年の輸入博出展の目玉の一つとなっている。水田氏によると、消費財の総合ブース「JAPAN MALL(ジャパンモール)」に設置される日本酒試飲スペースでは今年、昨年の70銘柄を大きく上回る172銘柄が紹介される。また、中国の消費者に人気の高い日本酒ブランド「獺祭(だっさい)」が、会場で「獺祭」フェイシャルマスクを披露する。
過去5年間、中国はハイレベルな対外開放を維持し、日本企業に多くの利益をもたらした。水田氏は、日本酒の関税率を例に挙げ、以前は40%だったが、地域的な包括的経済連携(RCEP)協定の発効に伴い、初年度の今年は38.1%となり、20年以内に段階的にゼロまで引き下げられると説明。日本酒メーカーに無限のビジネスチャンスを与えていると述べた。中国各地のスーパーマーケットやショッピングモールでは現在、さらに多くの日本酒が見かけられるようになっている。
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