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現在の中国で、0~3歳の乳幼児を預かる保育事業は、ニーズが高く政府の後押しがあるものの、供給が追いついていない状態だ。
36Krでは、保育業界大手「紐諾教育(neuroo)」創業者の王栄輝氏に、保育業界の現状や課題、収益化のポイントについて話を聞いた。以下は質問に対する王氏の回答をまとめたもの。
保育事業の現状は?
保育事業が脚光を浴びるようになった理由について、出生率向上のため政府が打ち出す少子化対策の一つが保育サービスであることや、家族構成の変化や定年延期などにより子どもを預ける先の選択肢が狭まってきたことが挙げられる。
欧米の保育園の入園率は、40年ほどの期間を経て50~70%に達している。今の中国経済から考えると、入園率50%に達するのに30~40年もかからないはずだ。とはいえ事業者と政策リンクするようになるには、ある程度の時間が必要になる。
データによると、過去3年間の出生数は毎年1500万~1700万人で推移しており、この先出生率が低下したとしても、毎年1300万~1500万人は維持できるとみられる。対象年齢の乳幼児4000万人と、平均1歳半から保育園に預けるという大部分の保護者の意識を総合すると、保育事業のサービス対象は1500万~2000万人で、市場規模は2100億~4000億元(約3兆~6兆円)となる。
保育業界の課題は?
保育業界にとって最大の課題は消費者の意識だ。大多数の保護者は保育園に預けるという意識を持っておらず、認識のある一部の保護者は保育業界を信用してない。
欧米に比べて中国は事業用地の賃料が高く、コストがかさむことも問題だ。さらに深刻な人材不足もある。現状では中国全体で幼稚園の教諭が300万人不足しており、新興業界の保育園が参入すれば、人材不足に拍車がかかる。
保育業界は労働集約型産業で、運営コストの40%を人件費が占めるため、教諭のパフォーマンスを向上させることが急務だ。
解決策の1つは運営規模の拡大だ。紐諾教育では、展開している保育園間の距離がわずか2キロメートルほどと近い地域があるので、園の連携などにより教諭の配置効率を大幅に向上させることができる。
財務や人材など本部のサポート体制に加え、保育園が監督管理体制を整備し、保護者が最も気にかけている安全と質を確約することも不可欠だ。
収益化のポイントは?
収益を考えると、集客コストは最高でも25%に抑えなければならない。
保育園は早期教育とも幼稚園とも異なる。幼稚園のように地域的な独占状態を造り出すことはできず、早期教育のように客単価が高いわけでもない。
そこで紐諾教育は4年をかけて、コンテンツによるフォロワー活用と多種サービスというモデルを作り上げ、これにより集客コストを大幅に削減した。
同社は2014年からセルフメディアでコンテンツの発信を開始、WeChat(微信)の公式アカウントや「今日頭条(Toutiao)」などで合計300万人を超えるフォロワーを獲得し、そのフォロワーコミュニティを活用した運営を行っている。
良質なコンテンツとフォロワーコミュニティは非常に重要だ。コンバージョン率が高いことに加えて、サービス周期が2~3年と短い保育業界では、コンテンツで新たな利用者を獲得し続けることが必要だからだ。
また0~3歳児を対象にしたサービスとして、保育園の開設以外に、オンラインレッスン、訪問保育サービス、職業訓練のサービスも展開している。これらのサービス利用者は多くが重複しているため、集客コストを節約することができる。
まとめると、人件費の削減と多種サービスの展開が収益化のポイントだ。また運営効率を高めることで、運営管理コストの削減につなげることができる。
(翻訳・畠中裕子)
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