不景気はむしろ追い風。サイゼリヤ、コロナ禍の中国で一人勝ち

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不景気はむしろ追い風。サイゼリヤ、コロナ禍の中国で一人勝ち

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リーズナブルな価格が魅力のレストランチェーン「サイゼリヤ」が、コロナ禍をはねのけるほどの底力を見せている。10月12日発表の2022年8月期(通期)決算(2021年9月~2022年8月)では、売上高が前年比14%増の1442億7500万円となり、純利益は56億6000万円と前年の3.2倍に増加した。その好調を支えたのが中国市場だった。

決算報告書によると、現在サイゼリヤの店舗数は1547店舗、全てアジアで展開している。うち日本が1069店舗、中華圏に449店舗(中国本土371店舗、香港58店舗、台湾20店舗)となっている。

中国国家統計局のデータによると、中国の外食産業売上高は2022年1~8月に前年同期から5%減少した。日本ブランドの味千ラーメンや吉野家、サイゼリヤと似たジャンルのピザハットやケンタッキーフライドチキンなども軒並み減収や赤字となった。

一部ブランドは2022年第2四半期の業績と比較(*印は営業利益、作表:36Kr)

成長の中心地は中国三大都市

この2年ほどの間に、コロナ禍による赤字から黒字転換を果たしたサイゼリヤにとって、重要な役割を果たしたのが中国市場だ。

決算報告書によると、日本国内事業は2022年8月期に21億100万円の営業損失を計上しており(前年の営業損失は72億1000万円)、新型コロナウイルス感染症流行に伴う客数の減少によるものと説明している。アジアの他の地域では22億3400万円の営業利益を達成しており、その主戦力となったのが中国だ(日本とシンガポール31店舗を除いて、アジアの店舗は全て中華圏にある)。

中国本土市場では、北京、上海、広州に設立された3つの子会社がそれぞれのエリアの運営管理を担っており、店舗の大部分がこの3都市に集中している。サイゼリヤはフードデリバリー業務を行っていないため、今年前半はロックダウンやレストラン営業停止の影響をまともに受けた。しかし2022年通期の売上高を見ると、北京と上海がそれぞれ前年比13.4%と0.5%減少したのに対し、広州は28.9%増加している。

サイゼリヤの中国市場の成長は、消費者の意識の変化と関わりがある。

例えば上海では、2003年にサイゼリヤ1号店をオープンすると一躍大人気となり、2016年までに120店舗を展開した。しかし中国に消費アップグレードの波が押し寄せると、多くの新たなブランドが大きな市場を占めるようになったため、サイゼリヤの新規出店は大幅にペースダウンし、2016年から2020年にかけての新規開店はわずか23店舗にとどまった。

より高級感を出したサイゼリヤのプレミアム店舗(画像は広州サイゼリヤ公式サイトより)

そしてここ数年の新型コロナウイルス感染症の大流行を受けて、消費者が冷静に「コスパ」を見極めるようになったことで、サイゼリヤが再び注目を集めることとなった。

サイゼリヤが苦境のもとでも成長する底力を見せたのはこれが初めてではない。日本のバブル経済が崩壊した90年代、多くのレストランが倒産するなか、サイゼリヤは低価格を武器に不景気をチャンスに変えて急成長を遂げた。90年代末には国内に300店舗近くを展開し、営業利益率は20%近くに達した。

「景気が悪くなっている時ほど市場はかえって成熟し、衣食住関連の消費もいっそう理性的になる」と、ある飲食店創業者は語る。「サイゼリヤのような昔からある低価格のレストランは生き抜くことができる。効果的なコストコントロールと高いコストパフォーマンスを実現できるうえ、常連客が多いことも相まって、安定した利益率を維持できるからだ」。

(翻訳・畠中裕子)

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