「二輪界のテスラ」を目指す中国発電動バイク「HORWIN」、約20億円調達 欧州を中心に世界展開

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世界がスマート化とカーボンニュートラルへと向かうなか、二輪車市場ではガソリンから電気への動きが盛んになっている。さらに世界では自転車、バイクなど二輪車が毎年2億台余り増加しており、うちガソリンバイクは5000万台の増加となっていることから、電動バイクの市場は今後も有望だ。

電動バイクブランド「HORWIN(号外)」を展開する「常州浩万新能源」はこのほど、エンジェルラウンドで1億元(約20億円)規模の資金を調達したと発表した。ベンチャーキャピタル「XVC」など複数の投資機関が出資した。

浩万新能源は2016年設立、HORWINブランドを次世代の世界的パラダイムと位置づけ、主に高性能電動バイクを展開する。中国から世界に進出したメーカーの多くは「小牛電動(Niu Technologies)」のように、EUのカテゴリーL1e、排気量50cc以下の軽量タイプに注力している。これに対し同社は、市場の7割を占めるカテゴリーL3e、排気量が50ccを超える電動バイクの市場を狙う。

同社は既に欧州で認証を取得、今年の受注は5万台に達するとみられ、現在2万台近くが納入済みだ。創業者でCOOの劉平氏によると、欧州では製品の品質に対する要求が厳しく、ブランド意識が強い。HORWINは欧州でローカライズ戦略をとり、オーストリアに現地本社と中心となる物流拠点を設けた。

エンドユーザーが求めるのは、航続距離が長く、性能が良く、価格が安い電動バイクだ。しかしこれまでの96V、72V、48Vなど中・低圧の電動バイクがガソリンバイクと同等、あるいはガソリンバイクを凌ぐ性能を実現するのは容易ではない。できたとしても、価格はガソリン車の2倍から3倍になってしまう。劉平氏は、これが電動バイクがガソリンバイクを超えられない最大の理由で、電動バイクの普及を妨げるボトルネックになっていると指摘した。

HORWINはミドルレンジからハイエンドの製品に絞り、スマート化という要素を加えることでガソリンバイクとの差別化を図ってきた。これまでの電動バイクはいずれも、コアとなる3つの要素、モーター、コントローラー、バッテリーをばらばらに配置していた。HORWINが独自開発した「IM 一体型スマートシャシー」は、新エネルギー車のシャシー設計を参考に、3つの要素をブロックのように組み合わせて一体化したものだ。構造を最適化し、車体重量を減らしただけでなく、熱管理を一元化して電気抵抗を大幅に下げ、エネルギー利用効率を向上させた。

「IM 一体型スマートシャシー」

このスマートシャシーにより、同社の新型モデル「Senmenti 0」は出力45kW、400Vの高圧プラットフォーム、バッテリー容量16.2kWhで、同クラスのガソリンバイクなら乾燥重量が通常230kg以上になるところをわずか185.5kgに抑えた。推力重量比は0.32hp/kgで、同クラスのガソリンバイクに比べ28~37%高く、同クラスの電動バイクよりも44%高い。最高速度200km/h、航続距離は300kmを超え、100km/h加速が2.8秒という運転性能を実現した。小売価格は12~14万人民元(約240~280万円)と、同クラスのガソリン車より3割安い定価が設定されている。

また、このモデルには30個以上のセンサーが搭載されている。温度センサー、速度センサー、気圧センサー、空間速度センサー、スマートカメラ、9軸IMU(慣性計測ユニット)、ミリ波レーダーなどあらゆる主要部品に及び、運転・コーナーリング支援や障害物緊急回避などの安全運転機能搭載を可能にした。

「二輪界のテスラ」として、電気自動車の交流・直流充電設備につなげられるようにしたほか、屋外用モバイル電源にもなる。電気自動車や同ブランドのバイクに給電することができ、また屋外でモバイルマイクログリッドとして他の機器に電気を供給することもできる。電動バイクがモバイルエネルギー供給ステーションにもなるのだ。

今後について劉平氏は、スマート化を基礎にアルゴリズムのバージョンアップを続け、ソフトウェアの機能を通じて操作のカスタマイズを目指すとした。AI(人工知能)の深層学習とビッグデータクラウドサービスプラットフォームを繋いで、スマートマン・マシンシステムを使いユーザーとのインタラクティブな関係を実現、バイクにユーザーのドライビングスタイルを記憶させるよう訓練を繰り返し、トルク特性の出力曲線を個人に合わせて変え、本当の意味での自分専用の運転体験とするカスタマイズを目指す。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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