スタバを猛追する「瑞幸咖啡」がナスダック上場を申請、黒字転換は可能なのか?

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スタバを猛追する「瑞幸咖啡」がナスダック上場を申請、黒字転換は可能なのか?

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中国の新興コーヒーチェーン「瑞幸咖啡(luckin cofee)」が4月末、設立2年足らずで米ナスダック市場にIPOを申請した。同社は大々的な出店攻勢でスターバックスを猛追する、中国コーヒー市場の台風の目だ。

評価額約200億元(約3200億円)、2018年の年間商品販売数9000万点(うちコーヒーが7150万杯)、利用者数のべ1680万人にまで成長した「ニューリテール(新小売)」企業だ。目覚ましい営業成績で投資家からも熱い視線を浴び、過去1年で3回の資金調達に成功している。出資者にはスターバックスの2位株主で世界最大の投資会社ブラックロックも名を連ねる。

ただし、店舗数、来客数、販売数のいずれも急成長を遂げた裏で、巨額の赤字や厳しい資金繰りといった危うい面も併せ持ち、その動向に注目が集まっている。

デリバリー主体からテイクアウト主体へ

中国に進出して20年のスターバックスを筆頭に、複数のコーヒーチェーンがしのぎを削る中国市場だが、瑞幸咖啡は競合他社の動きに反し、店舗数拡大にまい進中だ。昨年は1783店を開業させている。

瑞幸咖啡の店舗数推移

瑞幸咖啡のIPO目論見書では、同社の店舗形態は3つに分類されている。従来のメインを占めていたデリバリー専門店に加え、テイクアウト専門店、空間UX(店内体験)に的を絞ったカフェの3つだ。そのうち、店舗面積も小さくて済み、オペレーションもシンプルなテイクアウト専門店が割合を増やしており、2019年第1四半期時点で2163店に達し、全店舗の91.3%を占めている。これに対して、デリバリー専門店は縮小傾向にある。

瑞幸咖啡の店舗形態の推移

店舗構成の変化に伴い、チャネル戦略も明確化してきた。創業当初は微信(WeChat)などのSNSを通じて集客し、「アプリ注文で30分以内にデリバリー」を掲げていた同社だが、受注件数が増加し、市場への影響力を増してくるとブランディングへ注力しはじめる。オフィスビルやビジネス街へ集中的に出店し、テイクアウト主体へ方向転換した。

IPO目論見書によると、2018年第1四半期時点で販売数の61.7%を占めていたデリバリーは2019年第1四半期に27.7%まで縮小し、テイクアウトが60%以上を占めるまでになっている。この戦略転換は、配達コストの縮小を目的にしたものだろう。同目論見書でも、販売・マーケティング費用の支出において、配達コストが最大の比重を占めていることに言及している。

瑞幸咖啡のマーケティング費用内訳(広告、無料クーポン、デリバリー、その他)

結果的に、2019年第1四半期のデリバリー業務の経費率は前年同期の40%から20%にまで抑えられた。また、店舗賃料と人件費の経費率は同じく153%から59%にまで圧縮されている。

ニューリテール企業としてのさらなる課題は、実店舗運営とデリバリーのうち、どちらの効率が高いのかを見極めることだ。

瑞幸咖啡の場合、現状では店舗賃料とその人件費にかかるコストが配達コストの3倍となっている。ただし、物件賃料は固定費なので、受注件数が増えれば増えるほど経費率は下がっていく。しかし、配達コストは受注件数の増加に伴って増えていくものだ。受注件数を継続的に伸ばし、大規模化の恩恵にあずかれるかどうかが、同社の今後を握るということになる。

配達コスト、店舗賃料の経費率の推移

瑞幸咖啡の資金投入は本当に「大胆すぎる」のか?

スターバックスが中国進出後約20年かけて達成した販売数をわずか1年余りで達成した瑞幸咖啡だが、同社がそのために過去5四半期でマーケティングに費やした費用は10億元(約160億円)に上る。

とはいえ、同社の集客コストは1人当たり25元(約400円)だ。これがオンラインを主体とするECなどとの大きな違いで、実店舗を増やせば増やすほど、店舗そのものが広告の役割を果たし、自然と集客につながるのだ。

瑞幸咖啡の集客コストと無料クーポンにかかる費用の割合
コーヒー1杯にかかる集客コストの割合

無論、同社の目標は顧客数を拡大し続けることであり、新規客を獲得するには相応のマーケティング費用も必要だ。しかし理論上は、経営規模が拡大すればより多くのマーケティング費用が投入できるようになるうえ、その経費率も下がっていく。

瑞幸咖啡のマーケティング費における経費率の推移

瑞幸咖啡は黒字化できるのか?

さまざまなコスト削減策を経て、同社の純損失率も改善している。2018年第1四半期の純損失率は1000%だったが、1年後の2019年第1四半期は100%に収まっている。

とはいえ、2017年6月から2019年3月まで21カ月間の純損失額は累計22億元(約350億円)だった。売上高に見あわない経営コストが主因だ。昨年は総売上高が4億7800万元(約76億円)だったのに対し、経営コストは17億7500万元(約280億円)だった。これは深刻なリスク要因と言わざるを得ない。

2018第1四半期~2019年第1四半期の純損失額

瑞幸咖啡が黒字化を図るには、利益率の高い商品を取り扱うか、売上に影響しない範囲でコーヒーの単価を上げるしかないのではないか。
(翻訳・愛玉)

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