「食」に革命もたらす欧州フードテック企業5社 ベンチャー・キャピタルが熱い視線

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食とITが融合した「フードテック」が欧州ベンチャー・キャピタル(VC)の注目を集めている。欧州には「食」を取り巻く問題の解決を目指すスタートアップが数多く存在する。ミシュランガイド誕生の地フランスでは、2016年からパリでスタートアップとテクノロジーのイベント「VIVA TECHNOLOGY」を開催しており、マクロン大統領など毎年そうそうたる顔ぶれが参加する。今年、特に目を引いたフードテック企業5社を紹介したい。

食事を作る時間がない人に、フードデリバリー以外の選択肢

■スマート冷蔵庫でフードロスを解決する「Karma」

テクノロジーを用いてフードロス問題の解決を目指すのは、スウェーデン発の「Karma」だ。レストランや小売店で売れ残った食品を半額以下に値引きして販売するソリューションを展開する。

デリバリーサービスは提供しておらず、利用者は食品を受け取りに自らレストランなどに出向く。スウェーデンの家電メーカー「エレクトロラックス」と共同開発したスマート冷蔵庫「Karma fridge」が各店舗に置かれ、そこに保管された食品を利用者がQRコードを読み取って取り出すという仕組みだ。

サービス範囲はパリやロンドンのほか、スウェーデンの150を超える都市に広がっている。このほかにフードデリバリーサービスを手掛ける「Deliveroo」の提携先が抱えるフードロス問題もサポートしている。

■「Mijo」 忙しい人にご近所さんの作る家庭の味を

家庭料理を食べたい人と料理自慢の近隣住民を結ぶサービスを手掛ける「Mijo」。社名の由来は、フランス語でじっくり煮込むという意味の「Mijoter」からきている。「ご近所シェフ」はプロ・アマ問わず登録可能。利用者は購入した料理をシェフの自宅まで取りに行くというシステムだ。Mijoは、食べる人と作る人が直接顔を合わせることで近所同士の交流が図れ、信頼関係が生まれると考える。登録シェフの数は400人に達しているという。

食のパーソナライゼーション

DietSensor公式サイトより

■お店から食卓まで、個々に合わせたメニューを提案する「DietSensor」

ユーザーに健康的な食生活を送ってほしいと願う「DietSensor」は、食品の購入や料理についてアドバイスを提供する。同社のアプリを使って店頭で食べ物のバーコードをスキャンするだけで、栄養成分に基づき体によい食べ物かどうかを判定。栄養評価が低い食品に対しては代替品や分量を提案する。アプリに食べ物の好みやアレルギー、痩せたいなどの目標を設定しておけば、それに合わせたメニューや食べる量を提案してくれる。

ユーザーは自分が食べた食事を記録し、カロリーや脂肪、炭水化物などの摂取量を把握することができる。データを医師に提供して治療に役立てることも可能だ。さらにポケット分子センサー「SCiO」と接続することで、食品の栄養成分を測定して表示することもできる。

Edovino公式サイトより

■オーダーメードワインを製造する「Edovino」

数あるワインの中から自分好みの1本に出会うにはどうしたらよいか。「Edovino」では様々なワインのテイスティングのほかに、好みに合ったワインをオーダーメードで注文することができる。

注文の流れはこうだ。試飲セットを購入したユーザーが、それぞれのワインを飲んだ感想をEdovinoにフィードバックする。Edovinoはそれに基づき、異なる品種のワイン同士をブレンドする「アッサンブラージュ」という手法でユーザー好みのワインを造る。それが注文から7~10日以内にユーザーの手元に届く。

アッサンブラージュは古くからある手法で、有名なボルドーワインもこの手法で作られる。Edovinoは完成された技術を用いて、好みにうるさい顧客のニーズを満たしている。ブレンド比率などはアルゴリズムに基づいており、現在はユーザーや顧客満足度に関するデータの蓄積をしている段階だという。

自分で野菜を育てる楽しみ

■スマート温室で垂直農法を提供する「Myfood」

「Myfood」はスマート温室を利用して、ユーザーに農業の楽しさと新鮮な野菜や果物を味わう喜びを広めたいと考えている。同社のスマート温室は垂直農法、水耕栽培と水産養殖を融合させた「アクアポニックス」で、IoT技術を採用し、限られた空間で最大限の収穫を可能にした。スマートフォンやパソコンを使って温室内の温度、湿度などの数値や植物の生育状況を監視することができる。温室の屋根にソーラーパネルを取り付け、エネルギーを自給するという選択肢もある。

Myfoodが提供する温室は、狭い場所でも設置できる「City」と広い場所向けの「Family」の2種類。温室の外で使える垂直農法用のツールも販売する。同社は「手ごろな価格」の有機水耕栽培システムとしては業界初だと胸を張る。とはいえ、最低価格が4590ユーロ(約56万3000円)と、本当の意味で大衆市場に浸透するには、もうしばらく時間がかかると思われる。
(翻訳・鈴木雪絵)

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