民生用ドローンで世界7割のシェアを握る「DJI」、産業用製品で次の成長狙う

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2013年に米国のガソリンスタンドで火災が起こった。現場に向かった消防士は炎がオイルタンクに迫る中、引火によるタンクの爆発で死傷者が出ることを恐れた。そこで中国ドローン大手「DJI(大疆創新科技)」製のドローン「Phantom(精霊) 2」を上空に飛ばし、炎からタンクまでにまだ安全な距離があることを確認した上で消火活動を開始した。同社はこの時、ドローンが空撮に使う民生用製品にとどまらず、消防業界で事故の防止・早期対応、迅速な意思決定の支援、取り残された人の安全な救助にも使えることに気づいた。DJIの高級戦略ディレクターを務める張暁楠氏はメディアブリーフィングで、同社が産業用ドローンを手掛けるきっかけについて語った。

DJIはこの2年間、業績を公表していない。しかしある調査によると、同社は民生用ドローン市場で70%ものシェアを握り、完全な業界最大手になっている。またフロスト&サリバンの予測によると、2019年から24年にかけて民生用ドローン市場の規模は2倍の成長にとどまるが、産業用ドローン市場の規模は10倍に成長する可能性があるという。

ドローン市場の成長予測をもとに、DJIは5年前の段階で農業、業務、車載など複数のシーンに対応する布石を打っていたようだ。社内には民生用、車載用、業務用、農業用のドローンを担当するビジネスユニット(BU)がある。

産業用ドローン市場の成長率

産業用ドローンの顧客と民生用ドローンの消費者は異なる。家電よりも複雑な構造を求められ、実際に問題を解決できなければならない。同社は消防、警察、地図作成などの業務用製品として、民生用とは異なる「新たな」ドローンを再定義し始めた。産業用ドローンの研究開発と顧客に対する最前線の担当者は就任後、顧客に寄り添うために現場を体験することになっている。緊急管理業務の担当者は毎月、山間部でドローンによる救助訓練を実施し、救援作業の習得を進めている。

業務用ドローンの応用シーン

DJIが民生用ドローンの新製品を発表する一方で、産業用ドローンの製品体系も構築していることはあまり知られていない。2017年以降に「M(Matrice、経緯)200」「Mavic 2 Enterprise」「M300 RTK」「M30」「Mavic 3 Enterprise」などを発表。農業用の「Agras」シリーズでは積載量に応じて「T40」「T30」「T25」「T20」「T10」などの製品と付属ソフトウエアシステムを展開している。

業務用ドローンは次の成長分野

ドローンは航空測量でセンチメートル級の精度を実現してから次第に普及していった。今年発生した中国東方航空の「3.21」墜落事故では、DJI緊急連盟責任者の張学良氏らがドローンを携えて現場へ向かった。破片が山間部に散乱していたため、手作業での測量は非常に時間がかかると思われた。彼らは薄暗い中、ドローンを飛ばして現場のデジタル画像を撮影、その画像をもとに運用プラットフォーム「FlightHub(司空) 2」を使って距離、面積、体積を測定し、破片の所在地を再現した。

DJIは2020年、救援作業の連携を強化するため、代理店が加入できる「DJI緊急連盟組織」を立ち上げた。現時点で緊急連盟組織の数は40に上り、26の省や地域に跨って年間100件の緊急救援に対応している。

36Krは11月初め、DJI業務用部門と消防士が雲南省昆明市北部の山中で実施した緊急救援模擬活動に同行した。捜索する消防士は小型で手軽なドローン「M30T」を使っていた。同機はカメラモジュールに広角、ズーム、サーマルカメラ、レーザー測距の機能を備え、ラウドスピーカーを搭載している。

ラウドスピーカー搭載のM30T

ドローンの操縦者は上空からカメラを近づけ、救援対象者の位置を確かめられる。また夜間救援ではサーマルカメラの機能が最大限に発揮され、体温と周囲の温度が大きく異なるほど、ドローンは救援対象者を特定しやすくなる。

ドローンの赤外線サーマルカメラ機能で救援対象者を見つける

DJIは2017年、M200シリーズを発表し、産業用ドローン市場に参入した。それから応用シーンを消防、地図作成、農業・林業・植物保護、電力検査などに広げている。

2019年には製品一般化の戦略を打ち出した。産業用地図作成製品エンジニアの鄧凱強氏によると、この戦略は3つに分かれている。まずは価格の一般化だ。ドローンによる地図作成と航空測量の費用は100万元(約2000万円)を超えることが多かったが、今ではドローン1台のコストが数万~十数万元(数十万~数百万円)に抑えられた。次に技術の一般化で、航空測量作業者は多くの訓練を受ける必要があり、ソフトウエアの使い方やドローンの操縦などを覚えるのに1週間かかっていたが、ドローンは小型化が進み使いやすくなった。そして応用シーンの一般化によって、単なる測量・地図作成だけでなく、建設、林業、水利、交通、緊急救援などのシーンでも使えるようになっている。

(翻訳・大谷晶洋)

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