火鍋チェーン「海底撈」の海外事業、切り離し上場。コロナ禍で損失拡大

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火鍋チェーン「海底撈」の海外事業、切り離し上場。コロナ禍で損失拡大

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中国の火鍋店チェーン「海底撈(カイテイロウ)」の中華圏以外の海外事業を運営する「特海国際控股(Super Hi International Holding)」が昨年12月、資金調達を伴わない紹介形式で香港証券取引所のメインボードに上場した。同社は海底撈を展開する「海底撈国際控股(Haidilao Internationall Holding)」からスピンオフしたが、株主には海底撈創業者の張勇氏と舒萍氏が名を連ねる。

海底撈の関連企業では調味料サプライヤーの「頤海国際(Yihai International)」が2016年7月に、海底撈国際が18年9月に香港上場。特海国際は3社目の上場企業となった。

海外の売上高は年間300億円以上に

海底撈は2012年にシンガポールでクラークキー店をオープンし、グローバル化の道を歩み始めた。

目論見書によると、特海国際は22年12月2日時点でシンガポール、タイ、ベトナム、マレーシア、日本、米国、カナダ、英国、オーストラリアなどアジア、北米、欧州、オセアニアの11カ国に110店を展開している。

海底撈の海外1号店となったシンガポール・クラークキー店(画像は公式サイトより)

フロスト&サリバンのリポートによると、特海国際は21年、中国発の中華料理ブランドとして国際市場での売上高が最も多かった。また21年末時点で、直営店を展開する国の数も最多の中華料理ブランドとなっている。

目論見書によると、19~21年および22年上半期の売上高はそれぞれ2億3300万ドル(約310億円)、2億2100万ドル(約290億円)、3億1200万ドル(約410億円)、2億4600万ドル(約320億円)に上り、19~21年の売上高は年平均で15.8%増加した。

特に東南アジア市場が最大の収益源となっている。22年上半期の売上高に占める東南アジア、東アジア、北米の割合はそれぞれ61.0%、10.5%、19.7%だった。

しかし特海国際はここ数年、コロナ禍の影響を大きく受けた。19~21年および22年上半期は純損失がそれぞれ3300万ドル(約45億円)、5380万ドル(約70億円)、1億5100万ドル(約200億円)、5570万ドル(約75億円)に上った。

簡単ではない「海外進出」

火鍋は国際市場で人気が高い中華料理カテゴリーの1つだ。海底撈のほかにも、老舗の「小肥羊(シャオフェイヤン)」、新興の「小龍坎(シャオロンカン)」「劉一手」など四川や重慶の火鍋ブランドも海外事業を拡大している。

画像は「Google マップ」より

外食産業はコロナ禍の影響から徐々に回復しつつあり、火鍋の国際市場規模は拡大を続けている。フロスト&サリバンのデータによると、火鍋の国際市場規模は2026年に465億ドル(約6兆1000億円)に上り、国際市場における火鍋店の数は21年の13万4000店から26年には16万9000店に増える見込みだ。

しかし異国では食文化、技術基準、食品安全、生活習慣など多くの面で違いがあるため、「海外進出」する中国の火鍋ブランドには至る所に試練が存在する。

四川省火鍋協会の責任者は「技術に問題はないが、度胸と自信を持って市場や現地で好まれる味を見極めなければならない。加えて十分な資金力も求められる」と語る。さらに、海外で火鍋店を開設するには500〜800万元(約1億~1億5000万円)ほどを要し、一般的には、経営のローカライズのために経験豊富な提携事業者も必要になると説明。管理体系と従業員研修も軽視できないとしている。

中国工業情報化部全国中小企業商業・株式研究センター(National Business and Equity Research Center)の邵鉄健氏は、火鍋産業のサプライチェーンもカギになると考えている。「海外進出は良い選択だが、強力なサプライチェーンの支えが無い火鍋企業はどこへ行っても制約を受け、品質と安全を確保できないため、海外進出には向いていない」と話した。

作者:WeChat公式アカウント「億欧網(ID:i-yiou)」、陳卓 編集:顧彦

(翻訳・大谷晶洋)

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