大手寡占のeバイク動力市場にセンターモーターで挑む 「eバイク界のボッシュ」の先見据える中国企業

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大手寡占のeバイク動力市場にセンターモーターで挑む 「eバイク界のボッシュ」の先見据える中国企業

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電動アシスト自転車(eバイク)業界が活況を呈しており、人気の投資分野となっている。

特に欧州や北米などの海外市場で広がりを見せており、成長が著しい。大手会計事務所デロイトによると、欧州と北米の2021年のeバイク販売台数は17年に比べ156%増加の640万台。中国企業にとって海外進出の好機で、「大魚智行(DYU Bicycle)」は同年米国で90万台販売され、深圳発で主に海外で展開する「Urtopia」も10億円超の資金を調達している。

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ブランド間の競争が加熱するなか、サプライチェーンの川上での動きも目を引く。eバイクは簡単に言うと、普通の自転車に動力システムを搭載したものだ。電気モーターを中心とする動力システムは車体のコアとなる部分で、コストは全体の40~50%を占め、自転車の変速機のようにeバイクの性能を決定づける。

eバイクモーターの市場は現在、独自動車部品ボッシュとスポーツ自転車シマノでシェアの大部分を占める寡占状態だが、コストが高い、適合性が悪い、使用感が良くないといった問題もある。

「川克智能電機(Truckrun)」は江蘇省無錫市で2017年に創業され、eバイクのモーターシステムの研究開発、製造・販売を中心に手掛ける。同社を創業した卓嵐氏は二輪車業界で20年近い経験を持ち、電動バイク大手の「新日(SUNRA)」でモーターやシャシーなどを手掛けたことがある。2013年の自転車展示会「Eurobike」でボッシュが出展した初のセンターモーターを目にし、いずれセンターモーターがトレンドになると考え、eバイクモーターの会社を設立したわけだ。

15年に中国でシェアサイクルの競争が激化するなか、「モバイク(Mobike、摩拝単車)」に最も早い時期にモジュールを提供したメーカーのひとつだった。最終的にモバイクにモジュールを300万点、米「Lime」にキックボード用モーターを60万点提供した。ここから得たデータが川克智能の技術開発の基礎となり、量産や品質管理などの経験を積み重ね製品の安全性と快適性をより確かなものとした。

eバイクのモーターには、車体の中央部付近に搭載されるセンターモーターと車輪内部に設置されるインホイールモーターがある。両者は性能も使用されるシーンも異なり、通勤に使用するeバイクのモーターは一般的に500W以下で、インホイールモーターで用が足りるが、道路の走行やオフロードなどでは500~1000Wのモーターが必要となり、センターモーターのほうが適している。

卓氏によると、センターモーターのトルクセンサーはボトムブラケットシェルに搭載され、トルクと速度に敏感で車体をより細かく制御できる。性能の良いセンターモーターを使うとドライバーは「人車一体」の感覚を体験できるという。eバイクのボトムブラケットシェルは小さく、力が集中するため、センターモーターの構造と部品の設計に対する要求は厳しい。

また価格にも開きがある。インホイールモーターの客単価は平均で300~400元(約6000~7000円)なのに対し、センターモーターは2000元(約4万円)ほどになる。

eバイクのセンターモーターの普及率は現在市場全体の20%程度でしかないが、欧州市場では25年に57%にまで上昇すると予測されている。ところが市場の急激な拡大にもかかわらず、ボッシュやシマノなど海外メーカーのセンターモーターの生産量は少なく、価格も高い。また中国ではインホイールモーターが中心で、センターモーターには競争力がない。つまり市場のニーズに応えられていないので、センターモーター拡大のチャンスということだ。

川克智能は現在センターモーターを中心に、インホイールモーターやキックボード用モーターなども扱っている。一体化とパッケージ化が同社の基本理念であり、卓氏は「製品の統合性が高まれば、車両全体としての性能が向上するだけでなく、製品1セット当たりの客単価と粗利率も高くすることができる」と語る。また製品が適合性や安定性に優れ、歩留まりの良い点は同社の特長だ。その背景には製造技術の確かさと12項目の指標を設けた検査システムがある。

技術面では、プラットフォーム化した研究開発システムを採用している。研究開発・製造・アフターサービスまで全てが揃い、重要な指標となるモーター効率、トルク、変速比、トルク制御、フィードバックの正確性などは、いずれも国内同業他社を上回る。スマート化の面では、モバイクやLimeなどに提供した製品のデータを基に異なる利用シーンの状況をまとめ、データドリブン方式で乗車体験を最適化する。

取引先は競技用自転車のトップブランドや海外ハイエンドブランド、シェアサイクルなど100社以上になる。卓氏は今後欧州や米国でアフターサービス体制を整え、欧米市場でシェアを伸ばしてブランドの知名度を上げるとし、「通勤用のニーズが高い欧州に対し、米国市場はレジャーやアウトドアといったシーンに集中しているため、高性能を売りにする製品にふさわしい市場だ」と語った。

(川克智能のモーターシステムを搭載したeバイク:同社提供)

川克智能はeバイクモーター以外に電動バイクや電動船、ロボット向け製品などを展開しており、電動バイクでは世界的有名ブランドと契約している。卓氏は、あらゆるものをモーターで動かすのが同社の使命で、モーターを必要とする機器は今後さらに多く登場するので、eバイク界のボッシュになるだけで終わるつもりはないとの考えを示した。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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