中国スタートアップ、水素自動車でグリーン物流推進 26年までに1000台運用へ

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水素を燃料とする燃料電池車(FCV)を運用する中国物流テック企業「羚牛新能源科技」はこのほど、南湖氢能産業基金が主導するプレシリーズAで5000万元(約9億6000万円)を調達した。

中国で「双碳(ダブルカーボン)」政策が進められる中、低炭素排出のグリーン物流ソリューションに注目する企業が増えており、水素自動車もその選択肢の1つとなっている。2021年に設立された羚牛新能源科技は都市のコールドチェーン(低温物流)、配送、港湾輸送などのシーンに焦点を当て、ブランド企業やハイエンド物流顧客向けに「水素自動車+エネルギー」ソリューションを提供すると共に、水素ステーションと水素供給も手掛けている。現在運用する車両の約7割は自社で購入したものだ。

同社は昨年12月時点で北京市、上海市、浙江省、江蘇省などに拠点を設け、300台近くの水素自動車を運用、累計走行距離は240万キロメートルを超えた。計画によると、2026年までに中国で少なくとも1000台の燃料電池トラックを普及させ、IPO(株式公開)に着手するという。

今回の調達資金は、同社と浙江省海港集団(Zhejiang Provincial Seaport)が嘉興港区で進める世界初のグリーンコンテナ輸送港湾の建設に充てられる。同プロジェクトは国家燃料電池自動車モデル運営プロジェクトであり、すでに50台の燃料電池大型トラックと水素輸送パイプラインの水素ステーションが完成した。

蒲紅霞CEOによると、水素自動車の運用サービスを手掛けるには水素エネルギー、物流シーン、車両スペックに高い専門性が求められる。顧客の使用シーンに適した車種に加え、燃料電池、システム、シャーシなどの中核部品を選び、車両の性能と安定性の要件を満たさなければならない。

上記プロジェクトの燃料電池大型トラックは、110キロワットの燃料電池システムと炭素繊維水素タンクシステムを搭載し、航続距離は400キロメートル、低温状態での始動が可能で、港湾コンテナ業務に必要なスペックを備えている。水素エネルギー消費量は業界平均の100キロメートル当たり13キログラムに対して7.91キログラムにまで減らし、ディーゼルエネルギーに比べエネルギー消費コストを20%近く削減できるという。

水素自動車の運用効率には中核部品の品質が大きく影響する。業界関係者によると、水素自動車を普及させる上でネックとなるのは性能不足と故障しやすいことだ。蒲CEOによると、羚牛新能源科技は水素エネルギーの研究開発および製造業界から多くの人材を採用すると同時に、川上の提携業者に対する総合評価システムを構築し、川上の部品に対する体系的な評価指標を設けている。また、車両を運用管理するデジタルシステムも構築した。

水素自動車の普及においてエネルギー補給が大きな障害となっている。そこで同社は顧客が活動する地域の近くに水素ステーションを建設し、水素プラントと提携してパイプラインを敷設することで、顧客が低コストで水素を使えるようにした。蒲CEOによると、顧客向けの水素価格は最低で1キログラム当たり35元(約670円)になっている。同社は2025年までに20カ所の水素ステーション建設に参加または投資する計画だ。

(翻訳・大谷晶洋)

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