EV市場減速下でテスラ値下げ、狙いは中国メーカーの窒息

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米EV大手テスラが2023年1月6日、中国で再び販売価格を引き下げた。値下げ幅は2万~4万8000元(約40~96万円)で、同社の公式サイトによると現在の販売価格はModel 3が22万9900元(約460万円)から、Model Yは25万9900元(約520万円)からと、過去最低価格となった。

テスラ、中国で再値下げ モデル3とモデルYが世界最安値に

中国のEVメーカーは手の打ちようがない。新エネ車への補助金が終了したばかりで、まさに値上げをして利益を確保しようとしていたところに、テスラが2車種で大幅な値下げを実施。BYD(比亜迪)の「漢」、ファーウェイのスマートカーブランド「AITO」の「問界M5」、「小鵬汽車(XPeng Motors)」、「NIO(蔚来汽車)」など同クラスのモデルにとっては大きな打撃となる。

これに対し、まずAITOが対抗措置をとった。同社の「問界M5 EV」の販売価格が28万8600~31万9800元(約580~640万円)だったものを、2万8800~3万元(約58~60万円)値下げ、「問界M7」は31万9800~33万9800元(約640~680万円)から3万元(約60万円)値下げした。小鵬汽車も1月17日、これに続いた。「P5」は17万9900~22万5900元(約360~450万円)から2万3000元(約46万円)値下げ、「G3i」は16万8900~20万1900元(約340~400万円)から2万~2万5000元(約40~50万円)、「P7」は23万9900~28万5900元(約480~570万円)から3万~3万6000元(約60~72万円)、それぞれ値下げした。

新エネ車業界の関係者は、テスラから始まった値下げの動きはAITOや小鵬汽車へ波及したにとどまらず、さらに多くのメーカーが価格戦争に巻き込まれていくだろうと語った。

BYDはテスラの値下げ前の1月1日に、一部モデルを対象に2000~6000元(約4~12万円)の値上げを実施している。しかしBYDの関係者によると、当時と今とは状況が異なり、今後は値下げする可能性が極めて大きいという。

メーカーが値下げをしているのは、新エネ車の販売が伸び悩んでいることが原因だ。需要が減れば、メーカーは価格競争によって販売を促進せざるを得ない。モルガン・スタンレーのレポートは、中国では22年に補助金政策の効果で需要がある程度満たされたとして、「中国ではEVの普及率が20%を超えたこともあり、23年は今のようなスピードでの成長は難しい」との見通しを示した。

車が売れなくなる兆候はテスラでも見られた。22年10-12月期、テスラの世界納車台数はアナリストによる予測の平均で42万台だったが、40万5278台にとどまった。

それでも強いテスラ 上海工場一時閉鎖も22年EV販売世界トップ、中国市場が3分の1占める

値下げすれば直接的に販売量を押し上げられる。しかしテスラは、規模の経済をフル活用して販売台数と利益のバランスをとることができる。22年7-9月期の純利益は32億9200万ドル(約4300億円)で、自動車の利益率は27.9%、1台当たりの利益は9570ドル(約125万円)と、ホンダ車1台当たりの利益1200ドル(約15万6000円)の8倍となった。

スイス大手銀行UBSの中国自動車産業研究担当者はある会合の席で、テスラは値下げ以降も中国市場で依然として約20%の利益率を維持しており、さらに値下げする余地があるが、AITOの提携メーカー「賽力斯(SERES)」や小鵬汽車にとっては対応するために大きな代償が必要になると語った。

小鵬汽車の22年7-9月期売上高は68億2000万元(約136億円)で、前年同期比8.2%減少、赤字は若干減ったものの23億8000万元(約480億円)にのぼった。SERESの同期売上高は107億700万元(約2100億円)、赤字は9億4700万元(約190億円)で前年同期比57.3%の増加となった。

1台あたり200万円の赤字 それでも中国新興EVが資金に困らないわけ

中国の新エネ車メーカーはいずれも利益を出せず、研究開発費がかさんで赤字の状態が続いている。もしさらに値下げするとなると、もともと大きくない利益がさらに減ってしまう。結果として、新エネルギー車メーカーの淘汰がより一層加速するかもしれない。

(翻訳:36Kr Japan編集部)

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