バイトダンスがソーシャルアプリ「飛聊」をリリース コミュニティを切り口に

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バイトダンスがソーシャルアプリ「飛聊」をリリース コミュニティを切り口に

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TikTokを運営する「バイトダンス(字節跳動)」がソーシャルアプリ「多閃(Duoshan)」をリリースしてわずか4カ月。同社は第2弾となるソーシャルアプリ「飛聊(flipchat)」をリリースした。同商品は2018年末に秘密裏に開発されていることが明るみに出ており、ようやく公開されたかたちだ。

ソーシャルアプリを手がける理由は

多閃などソーシャルアプリの新商品が3つも発表された今年1月15日の深夜、騰訊(テンセント)の馬化騰(ポニー・マー)CEOはSNSで「通信はソーシャルより強い。ソーシャルはコミュニティより強い。見知らぬ人と交流を持つソーシャルが難しいなら、興味別のコミュニティが国内でも力を持っているように、より細分化した垂直型コミュニティにも可能性はある」とつぶやいた。

この発言には、中国のソーシャルアプリ開発において目をそらすことができない現実が反映されている。つまり、見知らぬ人とは交流しにくく、親しい人との人脈はテンセントの中国最大手SNS、WeChat(微信)内で完結しているということだ。一方、コミュニティにはまだチャンスがある可能性が示唆されている。今回リリースされた飛聊はそのコミュニティを切り口としている。

ただし、コミュニティは入口に過ぎない。飛聊が他と異なるのは、ユーザーが追加した友達と、フォローしているグループの両方がいずれも「情報」ページに格納され、プライベートとパブリックのコンテンツが同列の扱いで表示される点だ。

業界関係者によると、飛聊はいわゆる「ごった煮」のような商品であり、WeChatやQQなど複数のソーシャル、コミュニティサービスアプリの影響が見て取れるという。その目的はただ一つ、最大限の豊富なコンテンツと使用体験でユーザーを引き留めることだろう。

人脈拡大に推薦アルゴリズム活用

人脈を作り、広げることがソーシャルの要のひとつであることは疑いようがない。飛聊もこの点に苦心している。既存の人脈を取り込むことに知恵を絞る一方、興味のある分野で見知らぬ人との関係を新たに築くことも想定している。この2点を踏まえ、飛聊では既存の親しい人/見知らぬ人の人脈をベースに友達を追加できるようにしている。

バイトダンスの商品の精髄は「推薦アルゴリズム」にあるといえるだろう。同社がソーシャル分野で成功できないとみられてきた原因もそこにある。アルゴリズムに基づく配信や推薦はソーシャルアプリでは重要視されないからだ。

だが、飛聊ではこの推薦アルゴリズムが人脈拡大に一役買っている。アルゴリズムが推奨コンテンツ(グループ)の精度と友達追加の効率向上に直接影響を及ぼしているのだ。

バイトダンスのソーシャルサービス戦略は

バイトダンスにとって、ソーシャルサービスが掌握すべき分野であることは間違いない。短期間のうちに多閃、飛聊を立て続けにリリースしたのもそのためであり、もっと多くのソーシャルアプリを出しても誰も驚かないだろう。

多閃のリリース当初、それがバイトダンスにとって唯一のソーシャルアプリになると思った人はいなかった。同社はショート動画市場に進出したときも、「西瓜視頻(XiguaVideo)」、「火山小視頻(Huoshan Short Video)」、TikTokの3つを相次いで公開し、実績を判断した上で最終的にTiktokに注力することを決めている。

現在のところ、先陣を切った多閃はほぼ失敗に終わったようにみえる。業界関係者によると、多閃の7日継続率はわずか2%で、現時点の1日当たりアクティブユーザー数(DAU)は350万前後で推移しているという。他のソーシャルアプリを上回っているとはいえ、2億5000万人のDAUを誇るTiktokと機能面で幅広く連携していることを考えると、この数字は明らかに満足のいくものではない。

多閃と比べると、飛聊は孤立しているようにみえる。バイトダンスが手がけるサービスの既存アカウントには一切依存しておらず、現時点でどの既存商品とも連携していない。飛聊は多閃よりも独立性が高く、成熟した商品だ。

趣味別のコミュニティからソーシャルサービスへの移行率は当初の高水準を維持できるのか。各グループ内の交流の純粋性や効率は確保されるのか。ユーザーやコンテンツの増加が規制を受けるリスクにつながるのか。飛聊には持続的なバージョンアップと運営によって、こうした問題を解消していくことが求められている。
(翻訳・池田晃子)

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